スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

NISTからこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン草案」に対するパブリックコメントの背景と意義

   2023.12.12 筆者の手元にNIST (注1) からこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー(differential privacy) (注2) 保証 を 評価するためのガイドライン草案」に対するブリックコメントの要請メールが届いた。  今回のブログは、まず(1)NISTのメールを仮訳するとともに、 (2)大統領令(EO: 14110)の概要・意義にかかるFact Sheetの内容、(3) NIST 特別刊行物 (SP) 800-226 の初期公開草案 (Initial Public Draft :IPD)の概要・意義、(4) 差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン草案の概要・意義等をまとめる。  なお、今般のNISTガイドライン草案についてのわが国で本格的解説は、現時点では皆無と思われる。また、2021年12月にスタートした” U.S.-U.K. PETs Prize Challenges”制度やその後の受賞者の動向等についても言及したものもない。今回のブログでは筆者なりに補足説明を加えた。 1.NIST のメールの内容  注訳付きで以下、仮訳する。 「親愛なる同僚研究者の各位  NIST 特別刊行物 (SP) 800-226 の初期公開草案 (Initial Public Draft :IPD)、および差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン草案のリリースを発表できることを嬉しく思う。  これは、個人の情報がデータセットに表示されるとき、プライバシー・リスクを定量化するプライバシー強化技術である「 差分プライバシー保証 」に関するものである。 人工知能の安全、安心、信頼できる開発と使用に関するバイデン大統領の 大統領令「安全・安心・信頼できる人工知能の開発と利用に関する大統領令」 に応え、SP 800-226 は、政策立案者、経営者、製品マネージャー、IT 技術者、ソフトウェア開発者などあらゆる背景を持つ政府機関や実務家を支援することを目的としている。  これら草案によりエンジニア、データ・ サイエンティスト、研究者、学者は、プライバシー保護の機械学習など、差分プライバシーを導入する際に交わされた約束(およびされなかった約束)を評価する方法をより深く理解できる。さらに、この刊行...

米国防総省(DOD)の緊急リリース:米国の対ウクライナ安全保障支援に関するファクトシートの内容と新たな現代戦争軍事装備の変化を見る

  筆者は、ロシアのウクライナ侵攻に関し軍事面から「フィンランドとスウェーデンの軍事同盟NATO 加盟問題と両国のわが国の軍事面の関わり、さらにNATO事務総長来日の真の目的は?を2回( (その1) 、 (その2完) にわたりを取り上げた。   今回のブログは、筆者の手元に届いた 12月6日付けの国防総省の速報 で ロシアのウクライナ侵攻に関し最新情報Fact Sheet を読んだ。米国のバイデン政権発足以来、ウクライナに448億ドル(約6兆5,785億円)以上の安全保障支援を約束しており、その中には2022年2月24日にロシアによるいわれのない残忍な侵略が始まってからの442億ドル(約6兆4,905億 円)も含まれる。  ここで、筆者が問題視するのは、その金額ではない。無人ドローン兵器の多様化とそれに伴う対ドローン兵器の開発や駆動手段の小型化、携帯性兵器の強化、戦車に代わる一般車両の改良型ミサイル発射装置等である。  最近、これらを集約した解説サイト “Anti-drone “gun trucks,” a Patriot Battery, Stinger missiles – Ukraine’s modern air defense” を読んだことも影響して改めてDODのニュースを仮訳するとともに、これらの情報をより詳細に補足、整理した。 1. 防空兵器 (Air Defense) ① パトリオット防空砲台 と弾薬 1 基(One Patriot air defense battery and munitions) ② 12 基の国家先進地対空ミサイル・システム (NASAMS) と弾薬(12 National Advanced Surface-to-Air Missile Systems (NASAMS) and munitions) * NASAMS (National/Norwegian Advanced Surface to Air Missile System)は、ノルウェーとアメリカが開発した中高度防空ミサイル・システム。AIM-120 AMRAAM空対空ミサイルを地上発射化したシステムとしては初のものであり、分散・ネットワーク化されている。ミサイル本体の名称はSL-AMRAAM(Surfaced Launched AMRAAM)。 ...

スタンフォード大学ロースクールの法支配影響研究所のグアテマラ憲法裁判所に対し元グアテマラ米国大使に代わり法廷準備書面で民主主義を保護するよう要請問題とグアテマラの憲法裁判所の実態

   2023.12.5更新    かつて筆者は米国大学やロ―スクールの先進性や特徴を取り上げた。例えば、 「米国のトップレベル大学の統治ガバナンスの特徴を踏まえたわが国大学の先進的改革の在り方を考える」 、 「スタンフォード・ロー・スクールはCOVID-19による住宅賃借人の立ち退き要求の津波危機に対処する司法長官の呼びかけに応える」 等を取り上げた。  最近、筆者の手元に届いた スタンフォード大学ロースクールのニュース は、丁寧に読むとかなり興味深い内容であった。その内容は、「元グアテマラ米国大使の スティーブン・ジョージ・マクファーランド (Stephen George McFarland) 氏 は、スタンフォード大学ロースクール(SLS)の「法の支配影響研究所(Laboratorio de Impact on the rule of law of Stanford Law School)」所長アムリット・シン(Amrit Singh)氏が11月30日に提出した準備書面の中で、グアテマラ憲法裁判所(Corte de Constitucionalidad de Guatemala)に対し、民主主義と法の支配を保護するよう要請したというものであった。 Stephen George McFarland氏  それだけでなく、筆者が独自に調べた結果、とくに、①米国大学の学生向けのロースクール進学に向けた適正ガイダンスの独自性、② SLSの 「法の支配影響研究所(Amrit Singh:former U.S. Ambassador to Guatemala Executive Director, Laboratorio de Impact on the rule of law of Stanford Law School)」 の活動内容や2022 年に設立された SLS「ノイコム法の支配研究センター(Neukom Center for the Rule of Law)」 は、学際的な内容を有し、グローバルな研究、教育、コラボレーション、公開討論、政策研究室、実践的な取り組みの拠点であり、そのすべてが共通の目標を共有し、その活動内容はわが国のロースクールとは大きく異なる点、③戦略的人権訴訟やその他の法律業務を通じて、その広範な使命と価値観に対す...

ペンシルバニア州の介護資格管理人に対し死亡発作につながった患者の薬の更新を怠ったと過失による起訴事件と同州のパーソナル・ケア・ホーム管理者教育等の実態

  ペンシルバニア州のミシェル・A・ヘンリー(Michelle A. Henry)司法長官は、ローレンス郡のパーソナル・ケア・ホーム管理者 (注1) が住民に対し、薬を適切に提供しなかったため、発作を引き起こし、2021年に当該男性が死亡したことを告訴すると 発表 した。 Michelle A. Henry司法長官  一方、そもそも同州のパーソナル・ケア・ホーム管理者の任務と責任、資格内容を知らないとこの被告裁判の正確な理解ができないこととなろう。このため筆者は、まず同州の医療認定資格内容やトレーニング・プログラム等の内容を調べた。  今回のブログは、初めに同州の医療認定資格とトレーニング プログラム等を取りまとめ、後段で司法長官府のリリース内容を米国刑法の解説を踏まえ概観する。特に、前者はその内容はわが国の介護者教育内容の更なる課題、また介護資格者の語学教育の在り方、自殺予防等学ぶべき点が多く含まれる。 1.ペンシルバニア州の医療および福祉の研修プログラム  同州は、成長を続けるヘルスケアおよび福祉サービスのさまざまな分野で新しいキャリアを始めるため、主に以下の利便性のある各管理者育成クラスにつき教育プログラムを提供する。 ①生活介護管理者(Assisted Living Administrators) ②介護老人ホーム管理者(Nursing Home Administrators) ③パーソナル・ケア・ホーム管理者(Personal Care Home Administrators) ④医療専門家向けの継続教育の承認(Approved Continuing Education for Healthcare Professionals) ⑤PCHの能力試験(有資格者対象)(Competency Exam for Personal Care Home Administrator (PCHA) (for those that are qualified)) (1)15時間の 生活介護管理者(Assisted Living Administrator 15-Hour Training (for PCHAs))教育プログラム  生活支援管理者は、食事、入浴、服薬、その他の基本的な機能に支援が必要な高齢者を対象としたサービスを管理、概要とりまとめ、調整等を行う。この...

SECは、暗号資産起業家のジャスティン・サン氏と彼の会社を詐欺およびその他の証券法違反で起訴:8人の有名人もサン氏の暗号資産証券の違法な宣伝に関与しかつ報酬額を秘匿したとして起訴

 証券取引委員会は3月22日、暗号資産起業家のジャスティン・サン(Justin Sun)氏 (注1) と、彼の完全所有企業である保証有限責任会社トロン・ファウンデーション・リミテッド(Tron Foundation Limited)、ビットトレント・ファウンデーション・リミテッド(BitTorrent Foundation Ltd.) (注1-2) 、レインベリー・インク(Rainberry Inc.)(旧BitTorrent)の3社を、暗号資産証券であるトロニクス(TRX)とビットトレント(BTT)のSEC未登録の募集と販売したとして、3月22日にニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴したと 発表 した。 告訴状原本 参照。 Justin Sun 氏  また、SECは受益所有者の実際の変更なしに証券が活発に取引されているように見せるための証券の同時またはほぼ同時の売買を含む広範な ウォッシュ・トレード(wash trading) (注2) (注3) を通じてTRXの流通市場を不正に操作し、いわゆる有名人に報酬額を一般に開示せずにTRXとBTTを宣伝するために支払うスキームを調整したとして、サン氏と彼の会社を起訴した。   また、SECは同時に、TRXおよび/またはBTTを違法に宣伝したとして、次の8人の有名人を、報酬を受けたことと報酬額を開示しなかったことを理由に起訴した。  筆者が補足すると、この8人のいわゆる「有名人」は決して「著名人」ではない。 (注4) その職業内容につき、わが国では必ずしも十分知られていない。筆者なりに本ブログで補足する。 なお、 わが国でも何十万人ものソーシャル・メディア・フォロワーを持つがゆえに毎日テレビやネット広告に出来るいわゆる有名人が多いが、規制法違反に関し、その報酬に関し被告詐欺企業と連帯責任を問われる可能性はたして皆無といえるのか? ① リンジー・ローハン(Lindsay Lohan :1986年7月2日 生まれ( アメリカ合衆国の女優、歌手。 以前は「リンゼイ・ローハン」と表記されていたが、日本でのCD発売に際し、「リンジー・ローハン」に統一された。)(Wikipedia ) 。ロサンゼルス郡保安官事務所(Los Angeles County Sheriff's Department)は...

連邦準備制度理事会(FRB)はマイケルS.バー連銀監督担当副議長が、シリコンバレー銀行の経営破綻に照らして、監督と規制のレビューを主導していることを発表

   本日(14日)未明、中央銀行であり銀行監督機関である米国FRBから筆者宛てに リリース が届いた。その内容は取り立て.大きなことでないかもしれない。しかし、はたしてそうであろうか。シリコンバレー銀行は本来サンフランシスコ地区連銀が監督機関である、それにもかかわらずFRB副議長が指揮を執る意味は何であろうか。    偶然にも筆者は2022年12月25日のブログ 「米国の連邦準備制度(Federal Reserve System:FRS、Federal Reserve Board:FRB、Federal Reserve Bank:FRB)の正確な理解とは?」 でFRSやFRB組織の経営実態ならびにニューヨーク連銀の解説を取り上げている。今回の銀行破綻の原因追及に関し、興味深い内容である。併読されたい。 Michael S. Barr氏  連邦準備制度理事会は3月13日(月)、マイケル・S・バー銀行監督副議長(Vice Chair for Supervision Michael S. Barr)氏がシリコンバレー銀行の監督と規制の失敗に基づく破綻に照らして、その見直しを主導していると発表した。そのレビュー結果は 5月1日までに 公開される。  「シリコンバレー銀行を取り巻く出来事は、連邦準備制度による徹底的で透明かつ迅速なレビューを要求している」とジェロームH.パウエルFRB議長は述べている。 「我々は謙虚さを持ち、この会社をどのように監督および規制したか、そしてこの経験から何を学ぶべきかについて慎重かつ徹底的なレビューを行う必要がある」とバー副議長は述べている。 【追加説明 1 】 FRBの検証実施は、FRBが監督方針を修正する可能性を示唆している。 現行のシステムでは、資産が1000億ドルを超える銀行をFRBが直接監督し、ワシントンのFRBスタッフや理事が監督の方向性を決定。日々の実際の監督は地区連銀が担当する。SVBはサンフランシスコ地区連銀の監督下にあった。 米議会の一部議員からは、SVBがなぜ急速に規模を拡大し、約90%の預金が保護対象外となる事態に至ったのか問う声が上がっている。  例えば、共和党のビル・ハガティ上院議員は、インタビューで「サンフランシスコ地区連銀にはこの事態を防ぐあらゆる手段があったはず」とし、なぜその手段を...

シリコンバレー銀行に始まる経営上特殊性持った米国の中堅銀行の経営破綻問題の行方を探る

 筆者は 3月12日付けブログ でカルフォルニア州の商業銀行シリコンバレー銀行の経営が行き詰まり、監督機関であるカリフォルニア州の銀行規制当局である「金融保護・イノベーション局(California Department of Financial Protection and Innovation (DFPI)」は、世界的な金融危機以来最大の米国の銀行破綻で、問題を抱えたハイテク貸し手のシリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank:以下、SVBという)、閉鎖し、法的権限にもとづき、引き継ぎ、担保としての資産と業務の一時所有にかかる DFPI commissioner(最高責任者)命令 を発出した旨解説した。   この情報は内外メデイアでも大きく取り上げられているが、同ブログで取り上げた「 シルバー・ゲート銀行(Silvergate Bank) 」の持ち株会社の「シルバーゲート・キャピタル(Silvergate Capital)」は3月8日、銀行業務を終了し、任意清算に入った問題、さらにはニューヨーク州の商業銀行である「 シグナチャー・ バンク(Signature Bank) 」の破綻に関し、州の金融サービス局が銀行法にもとづき同行を所有し、連邦預金保険公社FDICが承継銀行を決定したとの情報が、3月13日朝FDICから直接入ってきた。  今回のブログは、米国の連鎖的金融リスク問題とも強くかかわるため、連邦財務省やFDIC, ニューヨーク州の金融サービス局のリリースの概要を紹介するが、2008年のリーマン・ショックが起きないことを祈るのみである。  なお、カリフォルニア州だけでなく、ニューヨーク州の銀行監督法の内容が極めて類似している。我が国の問題とも関連する面があり、別途取りあげたい。 1.連邦財務長官、連邦準備制度理事会議長、および FDIC の議長の共同声明内容  3月12日、 連邦財務省リリース を以下、仮訳する。  次の共同声明は、ジャネット L. イエレン(Janet L. Yellen)財務長官、連邦準備制度理事会のジェローム H. パウエル(Jerome H. Powell)議長、および FDIC のマーティン J. グルエンバーグ(Martin J. Gruenberg)議長によって発表された。  3月...