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連邦準備制度理事会(FRB)はマイケルS.バー連銀監督担当副議長が、シリコンバレー銀行の経営破綻に照らして、監督と規制のレビューを主導していることを発表

 






 本日(14日)未明、中央銀行であり銀行監督機関である米国FRBから筆者宛てにリリースが届いた。その内容は取り立て.大きなことでないかもしれない。しかし、はたしてそうであろうか。シリコンバレー銀行は本来サンフランシスコ地区連銀が監督機関である、それにもかかわらずFRB副議長が指揮を執る意味は何であろうか。  

 偶然にも筆者は2022年12月25日のブログ「米国の連邦準備制度(Federal Reserve System:FRS、Federal Reserve Board:FRB、Federal Reserve Bank:FRB)の正確な理解とは?」でFRSやFRB組織の経営実態ならびにニューヨーク連銀の解説を取り上げている。今回の銀行破綻の原因追及に関し、興味深い内容である。併読されたい。

Michael S. Barr氏

 連邦準備制度理事会は3月13日(月)、マイケル・S・バー銀行監督副議長(Vice Chair for Supervision Michael S. Barr)氏がシリコンバレー銀行の監督と規制の失敗に基づく破綻に照らして、その見直しを主導していると発表した。そのレビュー結果は5月1日までに公開される。

 「シリコンバレー銀行を取り巻く出来事は、連邦準備制度による徹底的で透明かつ迅速なレビューを要求している」とジェロームH.パウエルFRB議長は述べている。

「我々は謙虚さを持ち、この会社をどのように監督および規制したか、そしてこの経験から何を学ぶべきかについて慎重かつ徹底的なレビューを行う必要がある」とバー副議長は述べている。

【追加説明1

FRBの検証実施は、FRBが監督方針を修正する可能性を示唆している。

現行のシステムでは、資産が1000億ドルを超える銀行をFRBが直接監督し、ワシントンのFRBスタッフや理事が監督の方向性を決定。日々の実際の監督は地区連銀が担当する。SVBはサンフランシスコ地区連銀の監督下にあった。

米議会の一部議員からは、SVBがなぜ急速に規模を拡大し、約90%の預金が保護対象外となる事態に至ったのか問う声が上がっている。

 例えば、共和党のビル・ハガティ上院議員は、インタビューで「サンフランシスコ地区連銀にはこの事態を防ぐあらゆる手段があったはず」とし、なぜその手段を活用しなかったのか、監督の観点から理解する必要があると述べた。(ロイター通信(日本語版)から抜粋)

連邦準備制度の構造解説のURL

https://www.federalreserve.gov/aboutthefed/structure-federal-reserve-banks.htm

【筆者による補足説明2

  補足説明1のみではFRBや地区連銀の監督責任に関し、なお理解できない点が多かろう。FRBサイト解説を抜粋、仮訳する。

コミュニティバンク」および「地域バンキング」

  コミュニティ・バンクは全国の企業と消費者にサービスを提供している。連邦準備制度理事会は、「コミュニティバンキング組織」を資産が100億ドル未満である組織として定義し、地域バンキング組織を総資産が100億ドルから1,000億未満の金融組織として定義している。

 連邦準備制度理事会は、コミュニティバンクを監督する際に、リスクに焦点を当てたアプローチに従う。これは、各銀行の業務のリスクの高い分野に調査リソースを絞り込み、銀行がその規模と複雑さに適したリスク管理能力を維持できるようにすることを目的としている。

大規模な金融機関

  大規模な金融機関には、資産が1,000億ドルを超える米国金融機関と、米国での資産が1,000億ドルを超える米国外の銀行組織が含まれる。大規模な金融機関の監督は、以下のことを目的としている。( ⅰ )これらの企業の回復力を高め、経営破綻または金融仲介機関として機能できない可能性を低下させる, ( ii )は、金融企業の破綻または重大な脆弱さが発生した場合に、金融システムとより広い経済への影響を軽減させる。大規模な金融機関に対する連邦準備制度の監督枠組みは SRレター12-17 / CAレター12-14 および「大規模金融機関向けの統合監督フレームワーク」参照。

 連邦準備制度は、監督業務を機関の規模と複雑さに拡大することにより、リスクに焦点を当てたアプローチに従う。金融機関の監督では、リスクに焦点を当てた監督アプローチがより効率的であり、金融システムにリスクを増大させる金融企業のより厳密な監視をもたらす。連邦準備制度は、大規模な金融機関の監督を、以下に説明する2つの監督プログラムに編成する。

 ①大規模な機関監督調整委員会( Large Institution Supervision Coordinating Committee :LISCC )監督プログラム

 米国の金融の安定にリスクが高いと特定された企業は、大規模機関監督調整委員会(LISCC)の監督プログラムによって監督されている。LISCC監督プログラムの対象となる金融機関には、以下が含まれる。( i )理事会の調整フレームワークに基づくカテゴリーI基準の対象となる企業、( ii )非営利, 銀行持株会社の場合、カテゴリーIの基準で識別される非保険貯蓄およびローン持株会社, ( iii )金融安定監視評議会(Financial Stability Oversight Council :FSOC))よって体系的に重要であると指定されたノンバンク金融機関。

②大規模銀行組織および外国銀行組織(Large Institution Supervision Coordinating Committee: LFBO )監督プログラム

 大規模外国銀行監督(Large and Foreign Banking Organization :LFBO)プログラムは、LISCCプログラムに含まれていない他のすべての大規模金融機関を監督する。LFBOプログラムには、いくつかの企業間監督活動が含まれているが、地元の準備銀行の企業固有のチームが、理事会による監督を条件として、監督業務のほとんどを行っている。国内金融機関向けのLFBO監督プログラムの詳細については ここをリンク。外国金融機関向けのLFBO監督プログラムの詳細については ここをリンク

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(注) FRB(Federal Reserve Board、連邦準備制度理事会)は、米国の中央銀行制度であるFRS(Federal Reserve System、連邦準備制度)の最高意思決定機関である。FRSにおいては、12の主要都市に散在する連邦準備銀行(Federal Reserve Bank)をFRBが統括している。FRBは、ワシントンD.C.に本拠が置かれ、7名の理事(うち議長1名、副議長1名)から構成される。メンバー:理事7人によって構成され、任期は14年。議長と副議長を含め、大統領が上院の助言と承認にもとづいて任命する。

 FRBの主な業務は、公開市場操作を含む金融政策の決定のほか、連邦準備銀行の統括・監督、市中銀行に対する支払準備率の設定、連邦準備銀行が設定する割引率(公定歩合)の審査・決定などがある。

 また、金融政策の手段である公開市場操作を決定するのはFOMCで、これはFRBの7名の理事の他、5名の連銀総裁(ニューヨーク連銀総裁のほかは、11地区連銀からの輪番制)で構成され、約6週間ごとに年8回、定期的に開催されるほか、必要に応じて随時開催される。連邦準備銀行は、実際の中央銀行業務を行う。

(みずほ証券×一橋大学:ファイナンス用語集から抜粋)

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