スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

欧州委員会が「EU域内緊急セキュリティ強化行動戦略目標」等を採択(第1回目- その1)

    2010年11月22日、欧州委員会(域内人権担当委員:セシリア・マルムストロム(Cecilia Malmstrom))はEU市民の保護強化のためのEUが直面する緊急的なセキュリティ脅威に対処すべく長期的な 「EU域内セキュリティ強化のための行動戦略目標(EU Internal Security Strategy in Action)」(全41項目)(以下「戦略目標」という) を採択した旨 公表 した。  テロを含むサイバー・セキュリティ対策はこのところ世界的な傾向として強化されており、これに関するEUを中心とした取組みはこの戦略目標以外にも多くのEU機関の具体的な検討が始まっている。これら最新のEU機関の活動についてはわが国で具体的にかつ専門的に論じたものは極めて少ないことも事実であり、また、人権問題としての取組みについてのレポートも少ない。例えば、「乗客氏名等顧客記録(Passenger Name Records)」とわが国が2005年1月4日から米国、カナダ、豪州、ニュージーランド、メキシコと共に運用を開始した「事前旅客情報)システム(Advance Passenger Information System:APIS)  (筆者注1) の具体的データ内容とプライバシー問題等への懸念等である。  このため本ブログではこれらのキーワードをとらえつつシリーズで取上げることとした(あくまで暫定訳であり、訳語の不統一等は後日整理したい)。  いずれにしても、EUの行動戦略目標はEUにおけるサイバー犯罪の中期的な取組み課題が網羅されており、米国等との協調関係を踏まえた今後の動きを予測する上で重要なキー情報といえる。  このような状況の中でEUの人権擁護団体である“statewatch”等から最新情報が届いたのであわせて紹介する。また、EU委員会の担当委員 セシリア・マルムストロム    (筆者注2) が 自身のブログ(スェーデン語) でWikiLeaksへのサイバー攻撃に対する強い懸念を提起している。  また、欧州連合理事会のテロ対策調整・推進役(EU Counter-terrorism Coordinator)ジル・ドゥ・ケルコフ(Gilles de Kerchove)が欧州理事会に対し報告「EUテロ対策行動計画(EU Act...

米国連邦司法省、FBI、SEC、郵政監察局、連邦内国歳入庁等が全米「投資詐欺撲滅強化活動」の成果を発表

    2010年12月6日、米国連邦司法省(DOJ)、FBI、SEC、郵政監察局、連邦内国歳入庁犯罪捜査局およびCFT等はこの3ヶ月半の間にオバマ政権が指示し、初めて全米で展開した「投資詐欺撲滅強化活動(Operational Broken Trust:Operational Targeting Investment Fraud )特別作業部会」の具体的成果を 発表 した。  全米での被害者数は約12万381人、うち刑事事件の推定損失額は83億8,450万54ドル(約6,889億円)、起訴被告数は343人、また民事事件の推定損害額は21億3,468万1,524ドル(約1,743億円)、民事裁判被告数は189人である。  今回の撲滅強化活動の中心となる関係省庁間金融詐欺法執行特別作業部会(The interagency Financial Fraud Enforcement Task Force)が2010年夏にオバマ大統領の強いリーダーシップの下で設置された。同活動は、2010年8月16日から始まり、12月1日までの約3ヶ月半の間に231件の刑事事件、60件の民事事件に取組み、その結果87人の被告が20年以上の拘禁刑を含む有罪判決を受けた(起訴件数158件、有罪104件)。  連邦司法長官を初め関係機関のトップがおしなべてこれら金融詐欺の被害予防のためのメッセージを送っている。その詳しい内容については本特別作業部会も含め詐欺阻止に関する連邦専用サイト “Stop Fraud .gov.”  を参照されたい。  今回のブログは撲滅活動で取り上げられた米国の長引く不況下で増え続ける「金融詐欺事件」の手口の傾向を解析することにある 。 (筆者注1)  なお、米国における詐欺の現状や”Ponzi scheme”の由来等は2009年4月17日の 筆者ブログ (筆者注7)でまとめている。   1.移民など少数民族の強い団結力等に基づく「ねずみ講(Ponzi scheme)」の被害が圧倒的に多い  今回取上げた事件17件中、明らかに手口が“Ponzi scheme”といっているのが9件である。確かにねずみ講の手口は被害者たる投資家を信用させるには最も容易な手段であり納得できるが、被害者側を一方的に攻められない点でもある。  わが国の「振り込め詐欺」と同様にター...

米国国防総省が「1993年Don’t Ask,Don’t Tell Act」の廃止に伴う包括的見直し報告を発表

  Last Updated:February 19,2021     2010年11月21日の本ブログ で詳しく紹介した、さる10月12日にカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所(判事:バージニア・A・フィリップ)が判示した「1993年同性愛公言禁止法(Don’t Ask,Don’t Tell Act:DADT)」の連邦憲法違反判決等を受けて、国防総省(DOD)における軍事戦略面や人事面への影響に関する見直し作業部会(hight-level working group:部会)報告書およびその廃止に対応した実施計画がさる11月30日、DODのゲイツ長官やマレン統合参謀本部議長(Chairman, Joint Chiefs of Staff)の声明等とともに公表された。 (筆者注1)  この問題につき、筆者はオバマ政権が支持した「外国人若年層の人材開発・支援・教育法(Development, Relief and Education for Alien Minors Act: DREAM ACT法案)につき連邦議会上院が否決した一方で、政権は年内に下院での成立を目指す等の問題についてまとめつもりで作業していたが、この作業部会報告書が先行する形で発表されたので、今回はこの報告書の要旨につきゲイツ長官の声明およびDOD等の議会に対するDADTの廃止に向けた働きかけ強化と司法主導への牽制姿勢について紹介する。 (筆者注2)  なお、11月30日の報告書発表に引続きDODや各軍幹部の連邦議会上院軍事委員会での証言が行なわれている。報告書の要旨および議会証言の詳細な内容については別途まとめる予定である。 1.11月18日、DOD報道官ジェフ・モレル(Geoff Morrell)が報じたDODでの検討内容  DODのいわゆる「“Don’t Ask,Don’t Tell Act”廃止に関する包括的見直し作業部会」の報告は12月1日に完全なかたちで公表する予定である旨 公表 した。その際、同報道官はオバマ政権が支持した「外国人若年層の人材開発・支援・教育法(Development, Relief and Education for Alien Minors Act: DREAM ACT法案)につき連邦議会上院が否決した件で連邦議会上院民主党(多数派)院内総務である ハリー・ライ...

米国刑務所独房服役中の元ロシア・スパイ被告が息子を使いスパイ活動見返り金要求裁判で有罪答弁(その2完)

  (4)ニコルソンのCIAでの任務と刑事告訴の具体的な内容 ①ニコルソンは16年間CIAに勤務し、機密取扱資格(セキュリティ・クリアランス)における「最高機密(Top Secret)」および「取扱注意で断片的にのみ開示されうる諜報成果(Sensitive Compartmentalized Information:SCI)」資格を有していた。 (筆者注6)  被告は、仮に無権限アクアセスして開示したときは米国の国家安全に対する修復不可能な損失を生じさせたり、外国国家に有利な情報を与えるという高いレベルの情報を保持していた。被告はこの点に関し無権限開示は犯罪行為であり、不適切に秘密指定情報の開示を絶対に行わない旨誓約・同意していた。 ②告訴状では次の違法行為を具体化した。 ・1995年10月1日前後、被告は定期的なセキュリティ検査としてCIAが管理する嘘発見器による一連の検査(polygraph examinations)を受けた。これの検査の分析では、外国謀報機関との無権限の接触についての未解決の問題が起きた。 ・CIAの記録分析により、被告の個人旅行の解析と預金の入手金を見る限り、説明がつかない金融取引後に外国への旅行するパターンが見られた。 ・マレーシアのクアラルンプール勤務時、被告はロシアの謀報機関(Rissian intelligence service:SVRR)との接触が認められていた。1994年6月30日、被告が最後の接触時の1日後、金融残高記録をみると被告は米国の取引銀行の貯蓄口座に12,000ドル(約984,000円)を送金しているが、その根拠となる合法的な資金源は見出しえなかった。 ・1994年12月、被告は個人旅行でロンドン、ニューデリー、バンコクおよびクラルンプールにアメリカから出かけている。クアラルンプールにいた時、貯蓄口座に9,000ドル(約74万円)を振り込み、またクレジットカード口座に6,000ドル(約49万円)を入金した。帰国後被告は100ドル札130枚を使って債務を返済したが、これらの資金の合法的な資金源は見出し得なかった。 ・1995年6月、7月、被告は年次休暇を使って再度クアラルンプールに旅行したが、その時および直後に合計23815.21ドル(約195万3千円)の金融取引を行った。しかし、これらの資金の合法的な資金源...

米国刑務所独房服役中の元ロシア・スパイ被告が息子を使いスパイ活動見返り金要求裁判で有罪答弁(その1)

    11月8日、米国連邦司法省(DOJ)とFBIはスパイ映画でもありえないようなプレス・リリースを行った。  内容は、標題のとおりであるが、この裁判の被告ハロルド・ジェームズ・ニコルソン(Harold James Nicholson,1950年生れ)は元ベテランCIA上級職員でDOJいわく米国内でスパイ活動で有罪判決を受けた最も高いランクの1人である。 Harold James Nicolson被告  これが事実であるならば、米国の刑務所内での収監者の情報・行動管理とりわけ国家反逆罪( 米国連邦現行法律集U.S.C.第18編パートⅠ章第794条  (筆者注1) の有罪受刑者の管理はいったいどうなっているのであろうか疑いたくなってくる。(794条(c)項が「共謀罪」規定である)  しかし、事実関係はもっと泥臭いもののようである。  簡単に言うと、離婚後自分を育ててくれた父を最も尊敬する息子がアルバイト先であるピザ・ハットのパートとしてピザを届けるため父親のいる刑務所に出入りし、面会所で渡された父親のテッシュやキャンディー包み紙に走り書きしたメモを届けるためにキプロス、ペルー等を廻りロシア連邦の謀報員に会い札束を受け取っていたというものである。  新たなスパイ活動は行っていた事実はなく、過去においてロシアに提供した美防諜情報の対価を「年金」としたロシアに要求したこと等を検察も起訴にあたりその点は配慮したようである。  オレゴン連邦裁判所のアンナ・ブラウン判事は、本件における検察とニコルソンとが取り決めた「司法取引」に応じたとすれば既存の刑罰(拘禁刑)に8年追加するのみということになろう。すなわちニコルソンは外国政府のためのスパイ行為およびマーネー・ローンダリングの既遂に関する訴因各1つを認め、一方その交換条件として連邦検事は2009年の告訴時の5つの重罪(felony charges)にかかる訴因を破棄することに同意した。  同リリースに関するコメント数等を見る限り、この問題に関する米国民の反応は今一弱いようであるが、事実関係を1996年の起訴や裁判までさかのぼって本スパイ裁判の経緯と今回の有罪答弁から得られた事実関係のみとりあえず紹介する。  なお、過去・現在において米国のCIAやFBI等の職員が外国謀報機関から金銭等を対価に国防の機密情報を提供...

米国SECやFDICが「ドッド・フランク法」等を背景としたよる役員報酬の規制強化解釈ガイダンス(案)等を提示

    本ブログでは、 2009年9月12日付け で政府からの不良資産救済プログラム(TARP)に基づく資本注入を受けている金融機関の役員報酬規制強化に関する連邦財務省の暫定規則やガイドランの内容を詳しく紹介した。   また、本年7月21日に成立した「ドッド・フランク・ウォールストリート金融街改革および消費者保護法(Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act:H.R.4173)(以下、「ドッド・フランク法」)」の主要な改革のポイント事項について 解説 してきた。  ドッド・フランク法は本ブログでも解説してきたとおり、米国の銀行、証券、保険、金融先物等の金融監督面での影響が極めて大きくまた条文数も多い法律であるが、連邦監督規制機関 ( 筆者注1) はこれを受けた規則案や金融機関における具体的対応に資するためのガイダンスの策定が進んでいる。  筆者は、この膨大な条文にわたる法律の内容についてまとまった解説を行うべく準備は進めているが、何にせ関係する金融監督機関が個々に対応をとっており、また同法は上院・下院の多くの関係法案との調整結果を踏まえて1本化されたものであり、内容的な批判を含めた包括的な資料は極めて少ないことから、さらに時間がかかると思われる。  (筆者注2) (筆者注3)  そのような状況下で最近時、アメリカ銀行協会(American Bankers Association:ABA)が 「ドッド・フランク法の本格実施に向けた銀行員のための重要テーマに関する施策」 と題するウェブサイトを立ち上げた。  その中では、「預金保険」、「消費者金融保護局(BCFP)」、「OCCとOTSの併合」、「FRBの金融監督機能」、「新たな貯蓄組合規則」、「不動産抵当ローン市場」、「デビットカード処理における適切な手数料への置き換え等に関する規則の策定」、「証券、スワップデータならびにその金融派生商品の適正化ルール」、「役員や従業員の報酬の公開性」、金融システム全体とした監督制度改革問題である「金融安定化監督委員会(FSOC)」、「システミックな監督体制」、「金融調査局創設」等があげられている。  ABAは金融実務面からこれらの個々のテーマにつき金融界への最新の情報提供や連邦議会対策サミット (...

米国国防総省が緊急対応した“Don’t Ask,Don’t Tell Act”差止命令と連邦憲法上の諸問題(その1)

  Last Updated:February 20,202   筆者の手元に2010年10月12日にDODから初めは意味不明の プレス・リース が届いた。 「1993年 同性愛公言禁止法(Don’t Ask,Don’t Tell ACT)(DADT)」 (筆者注1) に対するカリフォルニア中央地区連邦地方裁判所判決(判事:バージニア・A・フィリップ(Virginia A.Phillips))による連邦憲法違反判決および国防総省による同法執行の恒久的差止命令(injunction order)への対応に関するリリースである。米国など外交・軍事等海外通の読者であればある程度その意味が分かろう。 Virginia A. Phillips判事  その後、DODは連邦司法省等との協議を進め、10月15日には先の地裁判決に対し控訴の検討を行う一方で、12日の判決は遵守する旨を 発表 した。  今回のブログは、米国オバマ政権の公約の1つである同性愛者やレスビアンと軍隊の問題であり、連邦議会をも巻き込んだ大きな社会問題となっているこの問題を取り上げる。  筆者は両分野につき専門家ではないし、コメントできる立場にはない。  しかし、国家機能とりわけ国防機能に関する問題となると話は別である。とりわけ“Don’t Ask,Don’t Tell ACT”そのものについて正確な理解と経緯、米国社会が現実にかかえる影の部分に正確に焦点を当てて検討すべき問題点を整理したいと考えた。  米国の大学を含め関係機関の情報を独自に調べて見た。とりわけ同法の人権上や憲法上の問題については制定当初から米国の人権擁護団体だけでなくロー・スクールや大学におけるDODの大学内でのリクルート活動とスカラーシップに関する「人を金でつる問題(Solomon Amendment)」   (筆者注2) に対する大学・研究機関の自治に関するフォーラム(Forum for Academic and Institutional Rights:FAIR)  (筆者注3) 等も問題視している点も明らかとなった。  特に、筆者が関心を持ったのはジョージ・タウン大学ロー・スクールの抗議グループ “SolomonResponse .Org” のサイトである。 (筆者注4)  大学の自治問題はわが国で...