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米国連邦司法省、FBI、SEC、郵政監察局、連邦内国歳入庁等が全米「投資詐欺撲滅強化活動」の成果を発表

 


 2010年12月6日、米国連邦司法省(DOJ)、FBI、SEC、郵政監察局、連邦内国歳入庁犯罪捜査局およびCFT等はこの3ヶ月半の間にオバマ政権が指示し、初めて全米で展開した「投資詐欺撲滅強化活動(Operational Broken Trust:Operational Targeting Investment Fraud )特別作業部会」の具体的成果を発表した。
 全米での被害者数は約12万381人、うち刑事事件の推定損失額は83億8,450万54ドル(約6,889億円)、起訴被告数は343人、また民事事件の推定損害額は21億3,468万1,524ドル(約1,743億円)、民事裁判被告数は189人である。

 今回の撲滅強化活動の中心となる関係省庁間金融詐欺法執行特別作業部会(The interagency Financial Fraud Enforcement Task Force)が2010年夏にオバマ大統領の強いリーダーシップの下で設置された。同活動は、2010年8月16日から始まり、12月1日までの約3ヶ月半の間に231件の刑事事件、60件の民事事件に取組み、その結果87人の被告が20年以上の拘禁刑を含む有罪判決を受けた(起訴件数158件、有罪104件)。

 連邦司法長官を初め関係機関のトップがおしなべてこれら金融詐欺の被害予防のためのメッセージを送っている。その詳しい内容については本特別作業部会も含め詐欺阻止に関する連邦専用サイト“Stop Fraud .gov.” を参照されたい。

 今回のブログは撲滅活動で取り上げられた米国の長引く不況下で増え続ける「金融詐欺事件」の手口の傾向を解析することにある
(筆者注1)
 なお、米国における詐欺の現状や”Ponzi scheme”の由来等は2009年4月17日の筆者ブログ(筆者注7)でまとめている。

 
1.移民など少数民族の強い団結力等に基づく「ねずみ講(Ponzi scheme)」の被害が圧倒的に多い
 今回取上げた事件17件中、明らかに手口が“Ponzi scheme”といっているのが9件である。確かにねずみ講の手口は被害者たる投資家を信用させるには最も容易な手段であり納得できるが、被害者側を一方的に攻められない点でもある。
 わが国の「振り込め詐欺」と同様にターゲットとされるろう高齢者や社会的に恵まれない人々への早期の相談やメディア等を利用した警告を優先すべきであろう。

2.詐欺撲滅強化活動の対象を長期的かつ複雑な法人詐欺より一般投資家を直接とした背景(FBIや司法省のコメント)
 多くの事例では犯罪者は比較的近くの人―近所、仕事仲間、礼拝参加仲間(fellow church goers)―である。そして被害者は貯蓄、家や暮らしを失った。
今回の詐欺一掃作業に含まれた各事例において完全に架空または広告されているとおりのビジネスとして構造化されていない「投資機会」の提案で騙したのである。大多数の事例は「超高利回り」と「ねずみ講」である。
 その他は「商品先物詐欺(commodities fraud)」、「外国為替証拠金取引詐欺(foreign exchange fraud)」、「違法な株式売り逃げ詐欺(pump-and-dump scheme)」 (筆者注2) 、 「不動産投資詐欺」、「ビジネスチャンス詐欺」、「親近感詐欺(affinity fraud)」(筆者注3)等である。

 FBIは、投資詐欺とりわけ「ねずみ講」と「株式市場操作詐欺(market manipulation schemes)の確固たる増加傾向に注目した。2009年1月以来、われわれは200件以上のねずみ講事件、その多くは2千万ドル以上の損害を生じている。現在の取扱件数に基づき、われわれは米国内のねずみ講の多発地域(hot spot)がロスアンゼルス、ニューヨーク、ダラス、ソルトレイクシティおよびサンフランシスコであると見ているが、これ以外どこでも起こりうることを記憶しておいて欲しい。

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(筆者注1)今回作業部会が取上げた事件はある意味では氷山の一角である。
例えば筆者がブログ原稿執筆中であるイスラム金融の柱を逆手に取った次の“Ponzi scheme”は今回の事例には含まれていない
「FBIおよびイリノイ北部地区司法省の共同リリースは、11月17日にイスラム法を厳格に遵守すると称し、シカゴ地区ならびに全米の3百人以上の個人から不動産投資資金(約4,000万ドル(約32億8,000万円))を「ねずみ講詐欺(Ponzi scheme)」の手口により詐欺的に集めた、またシカゴ地域の3銀行から詐欺的な手法で融資(約2,900万ドル(約23億7,800万円)を受けた不動産開発会社(サンライズ・エクイティ・INC)の経営者3人(サルマン・イブラヒム(Salman Obrahim,37歳(パキスタン国籍)、モハマド・アクバル・ザヒッド(Mohammad Akbar Zahid,59歳(米国籍)、アムジェド・マハムッド(Amjed Mahmood、47歳,イリノイ州のデスプレーンズ住)を起訴した旨報じた。

 個人投資家の被害額は約3千万ドル(約24億6,000万円)、銀行の損失は約1,370万ドル(約11億2,300万円)であった。

 イスラム教・イスラム金融の柱(pillar of Islamic Finance)では「利息」は禁止されており、被告は不動産開発のみから生じる年間15%~30%の「利益(profit)」を受け取ることで被害者に働きかけ約束手を振り出させた。

 11月17日、連邦大陪審は検察側の証拠にもとづき審理の結果、起訴を相当とし、イリノイ連邦判事に対し計14の訴因に基づく正式起訴状発布の答申を行った。

 この事件はシカゴのパキスタン人の極めて強力なコミュティ社会とイスラム教の柱を悪用した投資資金詐欺事件であり、この種のものとしては初めてであるとFBIは述べている。
 被告であるサンライズ・エクイティの所有者・CEOであるサルマン・イブラヒムおよびモハマド・アクバル・ザヒッドは、サンライズが破綻し債権者による破産手続後は国外に逃亡中で現居場所は不明でありFBIはその情報提供を奨励している。(以下略)

(筆者注2)違法な株の売り逃げ詐欺(“Pump-and-Dump”" Schemes(“Pump and Dump” とは、投資機会詐欺(Investment Opportunities)の1つである。
 仕手筋が特定企業に関する虚偽情報を流して株価を操作し、その際に生じる利ざやを稼ぐ証券(株価操作)詐欺をいう。例えば特定銘柄を株価が安い時期期に仕込んでおき、ある段階でスパムメール等を利用して当該企業の偽の新製品情報やプラス材料を不特定多数の人物へと大量にばらまく。もし、この偽情報に投資家が反応すれば株価は急騰するため、そこで仕込んだ株を売り抜ける。情報は偽物であるため、一時的に上昇した株価はすぐに急落し、元の水準、あるいはそれより下の水準へと落ち込むことになる)(筆者ブログの解説参照)。なお、より詳しくは、米国証券取引委員会サイトの“Pump and Dump Schemes”参照。

(筆者注3) 親近感を利用した詐欺(affinity fraud)」とは、特定の人種や宗教の教義に基づき意図的に当該グループの人々を騙すものである。(筆者注1)で取上げた例もそれに該当する。詳しくはSECの解説“affinity fraud”を参照されたい。

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