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海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み(N0.10)

  Last Updated : March 5 , 2021  WHO等の統計では米国が1週間で6,268人(うち死者40人)の増加が確認されるなど米国大陸、オセアニア、英国等の確認累計感染者や死者数は引続き拡大傾向にある。今回は、WHOの6月29日公表の累計感染者数や死者数を中心に解説する。  6月26日比(No.9)で比較すると、これまで累計感染者数の多い国における死者の増加が依然高い水準にある一方で、オーストラリア、中華人民共和国、フィリピン、シンガポール等南半球や東南アジアの国々等の感染拡大が続いている。 1.わが国の最新情報  2009年6月29日現在の厚生労働省の発表では、日本の新型インフルエンザ感染者数は、1,211人(6月26日比+163人)である。各都道府県別発生状況は厚生労働省サイト 「新型インフルエンザに関する報道発表資料」 で確認できる。  なお、過去の増減比を見ようとすると、厚生労働省サイト確認感染者数は都度上書きされてしまうため、過去の感染者数の推移の確認は出来ない。国立感染症研究所「感染症情報センター」サイトで確認するしかない。 2.WHOの最新発表情報   WHOの公表確認感染者数(2009年6月29日世界標準時9時現在)(update55) データに基づき累計確認感染者数が100人以上の国(34か国)のみ紹介する。(多い順に並べ替えた)  全体の数字は109か国(6月26日比+4か国)、累計感染者数は70,893人(6月26日比+11,079人)(うち死者は311人(6月26日比+48人)) (筆者注1)  「国名」、「累計感染者数(死者数)」、「6月26日比増加数(死者数)」の順に記載した。 ①米国:27,717人(うち死者127人(+40人))(+6,268人)、②メキシコ:8,279人(うち死者116人(+0人))(+0人)、③カナダ:7,775人(うち死者21人 (+2人) )(+1,043人)  (筆者注2)  、④チリ:5,186人(うち死者7人(+0人))(+0人) 、⑤英国:4,250人(うち死者1人(+0人)) (+653人)  (筆者注3) 、⑥オーストラリア:4,038人(うち死者7人(+4人)) (+758人)  (筆者注4) 、⑦アルゼンチン:1,488人(...

海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み(N0.9)

    Last Updated: March 5,2021  WHO等の統計では米国大陸、オセアニア、英国等の確認累計感染者や死者数は引続き拡大傾向にある。今回は、WHOの6月26日公表の累計感染者数や死者数を中心に解説する。  6月22日比(No.8)で比較すると、これまで累計感染者数の多い国における死者の増加が依然高い水準にある一方で、オーストラリア、アルゼンチンやブラジル等南半球の国々の感染拡大が続いている。  また、厚生労働省は季節性インフルエンザの流行時期に合わせ全国的かつ大規模な感染拡大が想定されることから、その回避策の一環として従来行ってきた「全数調査」に代えて医療機関、学校等施設等における同一集団での「集団発生(クラスター発生)報告」を実施する方針を打ち出し、併せて監視体制の実施について6月25日付けで各都道府県等の衛生主管部あて事務連絡を発出している。 (筆者注1) 1.わが国の最新情報  2009年6月26日現在の厚生労働省の発表では、日本の新型インフルエンザ感染者数は、1,048人(6月22日比+156人)である。各都道府県別発生状況は厚生労働省サイト 「新型インフルエンザに関する報道発表資料」 で確認できる。  なお、過去の増減比を見ようとすると、厚生労働省サイト確認感染者数は都度上書きされてしまうため、過去の感染者数の推移の確認は出来ない。国立感染症研究所の「感染症情報センター」で確認するしかない。 2.WHOの最新発表情報   WHOの公表確認感染者数(2009年6月26日世界標準時7時現在)(update54) のデータに基づき累計確認感染者数が100人以上の国(31か国)のみ紹介する。(多い順に並べ替えた)  全体の数字は105か国(6月22日比+11か国)、累計感染者数は59,814人(6月22日比+7,654人)(うち死者は263人(6月22日比+32人))  「国名」、「累計感染者数(死者数)」、「6月22日比増加数(死者数)」の順に記載した。 ①米国:21,449人(うち死者87人(+0人))(+0人) (筆者注2) 、②メキシコ:8,279人(うち死者116人(+3人))(+655人)、③カナダ:6,732人(うち死者19人 (+6人) )(+1,022人)  (筆者注3)  、④チリ:5,18...

海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み(N0.8)

   Last Updated : March 5, 2021 WHOの統計を始め各国の確認感染者や死者数は引続き拡大傾向にある。今回はWHOの6月22日公表の累計感染者数や死者数のみ記載する。  6月19日比で比較すると、これまで累計感染者数の多い国における新規感染者数の増加が依然高い水準にある。  なお、WHOでみる米国の感染者数の増加が3,594人、死者の増加が43人となっているが、これは6月19日に米国疾病対策センター(CDC)が公表した数字で6月12日比であり、最新の実態を反映したものでない。従って、世界全体の死者数の増加51人のほとんどは米国によるもので、他の国の死者数の増加は1~2人である。  さらに疑問をあげれば、6月17日以降のWHOの公表するわが国の確認感染者数(厚生労働省公表値)が「1人多く」表示されている。世界的な統計であり確認を求めたい。 1.わが国の最新情報  2009年6月23日現在の厚生労働省の発表では、日本の新型インフルエンザ感染者数は、892人(6月22日比+43人)である。各都道府県別発生状況は厚生労働省サイト 「新型インフルエンザに関する報道発表資料」 で確認できる。  なお、過去の増減比を見ようとすると、厚生労働省サイト確認感染者数は都度上書きされてしまうため、過去の感染者数の推移の確認は出来ない。国立感染症研究所の「感染症情報センター」で確認するしかない。ちなみに米国CDCのサイトでは “Past Situation Updates” 、またカナダ公衆衛生庁(PHA)サイトの“Surveillance”の “Archive” で過去の特定日の統計値の確認が容易に出来る。 2.WHOの最新発表情報   WHOの公表確認感染者数(2009年6月22日世界標準時7時現在)(update52) のデータに基づき累計確認感染者数が100人以上の国(26か国)のみ紹介する。(多い順に並べ替えた)  全体の数字は94か国(6月19日比+6か国)、累計感染者数は52,160人(6月19日比+7,873人)(うち死者は231人(6月19日比+51人))  「国名」、「累計感染者数(死者数)」、「6月19日比増加数(死者数)」の順に記載した。 ①米国:21,449人(うち死者87人(+43人))(+3,594人)  (筆者注...

EUにおける新型インフルエンザA(H1N1)の疫学面の研究動向

   Last Updated:March 5,2021  メキシコや北米を中心とするH1N1の世界的感染拡大のニュースが毎日報道される中、5月15日にEUにおける国際感染予防機関である「欧州疾病予防管理センター( The European Centre of Disease Prevention and Control:ECDC)」 (筆者注1) が発刊するオンライン・ジャーナル“EUROSURVEILLANCE”  (筆者注2) が手許に届き、その中に特集論文「なぜ、メキシコのデータが重要なのか」があった。  筆者は感染症(数理)問題の専門家ではないが、一般メディアや米国CDCやWHOといった専門機関から日々伝わるH1N1に関する情報は、いつ世界的なパンデミックになるのか、第二波はいつ来るのか、日常の予防策はどうすればよいのか等で、本来の専門疫学的な視点に立ったものが少ないように思う。 (筆者注3)(筆者注4)  そこで、今回のブログでは“EUROSURVEILLANCE”の第14巻19号の論文の中から小論文“Why are Mexican Data Important?”の概要を紹介する。 (筆者注5)  なお、6月4日発刊の“EUROSURVEILLANCE”第14巻22号においてオランダ・ヨトレヒト大学研究員の西浦博氏等の理論疫学研究グループが 「日本にみる新型インフルエンザA(H1N1)の潜在的感染拡大とその年齢特性(Transmission Potential of the New Influenza A(H1N1)Virus and Its Age-Specificity in Japan)」 を発表し、わが国における感染拡大と基本再生率について分析している。  一方、本原稿を執筆中に厚生労働省が都道府県等の新型インフルエンザ担当部長等宛5月1日付事務連絡で 「新型インフルエンザ((Swine-origin influenza A/H1N1)に係る積極的疫学調査の実施等について」 を発出している情報を得た。 (筆者注6)  本来、このような専門的な報告書の紹介はわが国の「国立感染症研究所」および「国際疾病センター(DCC)」や関係医療研究機関が行うべきものであり、本論文の意義も含め正確な解説を期待するものである。 (筆者注7) 1....

海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み(N0.7)

  Last Updated : March 5 ,2021  WHOの統計を始め各国の確認感染者や死者数は引続き拡大傾向にある。今回は感染者の最新情報とともに、主題の1つである「ワクチンや試薬開発の最新動向」について 英国の国立生物学的製剤研究所(A Center of the Health Protection Agency:NIBSC)のサイト から最新動向を紹介する。  言うまでもなく、“NIBSC”はWHOや米国連邦保健省疾病対策センター(CDC)等との連携作業を行っており、今まで本ブログで紹介してきたワクチン開発の動向が具体的に確認できる。 (筆者注1)  それにしても国民に冷静な対応を呼びかける前提として、わが国の入手しているワクチン開発の世界の最新情報は公的関係サイトで流すべきではないか。 (筆者注2)(筆者注3)  なお、たびたび紹介している”Eurosurveillance”の最新号(6月18日号)が手元に届いた。今回の 特集論文 は、「南半球のインフルエンザA(H1N1)―ヨーロッパにおいて学ぶべき点は?」と題し、チリとオーストラリアに見る南半球のインフルエンザA(H1N1)vの本年秋以降の北半球への影響を予測している。機会を改めて解説したい。 1.わが国の最新情報  2009年6月19日現在の厚生労働省の発表では、日本の新型インフルエンザ感染者数は、740人(6月18日比+51人)である。各都道府県別発生状況は厚生労働省サイト 「新型インフルエンザに関する報道発表資料」 で確認できる。 2.WHOの最新発表情報  WHOの 公表感染者数(2009年6月19日世界標準時07時現在)(update51) のデータに基づき累計確認感染者数が100人以上の国(23か国)のみ紹介する。(多い順に並べ替えた)(update50は筆者の都合で間に合わず省くが、前回比は前々回update49(6月15日)比を用いた)  全体の数字は84か国(6月15日比+8か国)、累計感染者数は44,287人(6月15日比+8,359人)(うち死者は180人(6月15日比+17人))  「国名」、「累計感染者数(死者数)」、「6月15日比増加数(死者数)」の順に記載した。 ①米国:17,855人(うち死者44人(―1人))(+0人)  (筆者注4) 、②メ...

海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み(N0.6)

  6月15日に、わが国のメディアが東京大学医科学研 究所の河岡  義裕 教授グループが 英国科学専門雑誌「ネイチャー」(電子版)にインフルエンザ・ウイルスの表面に人間の細胞にとりつく役割をもつ「赤血球凝集素:へマグルチニン(hemagglutinin:HA)」というタンパク質があり、研究の結果、一部のウィルスのHAに異変が発生している旨の報告したと報じている。 河岡義裕氏  筆者は疫学の専門家ではないので、「ネイチャー」(電子版)の原データにあたり、何が本質的な問題なのか疑問に思い調べてみたが、有料購読会員でないため、これは不可。  これにめげずに、少なくとも最近時の(1)新型インフルエンザA(H1N1)の起源と(2)ゲノム(ある生物をその生物たらしめるのに必須な遺伝情報。ゲノムのなかで生命活動を維持するための機能的な部品を規定しているところが遺伝子である)進化等、疫学面等に関する話題を整理したので簡単に紹介する。 1.わが国の最新情報  2009年6月16日現在の厚生労働省の発表では、日本の新型インフルエンザ感染者数は、638人(6月12日比+99人)である。各都道府県別発生状況は厚生労働省サイト 「新型インフルエンザに関する報道発表資料」 で確認できる。 2.WHOの最新発表情報  WHOの 公表感染者数(2009年6月15日世界標準時17時現在)(update49) のデータに基づき累計確認感染者数が100人以上の国(15か国)のみ紹介する。(多い順に並べ替えた)  (筆者注1)  全体の数字は76か国(6月12日比+2か国)、累計感染者数は35,928人(6月12日比+5,834人)(うち死者は163人(6月12日比+18人))  「国名」、「累計感染者数(死者数)」、「6月12日比増加数(死者数)」の順に記載した。 ①米国:17,855人(内死者45人(+18人))(+4,638人)、②メキシコ:6,241人(内死者108人(+0人))(+0人)  (筆者注2) 、③カナダ:2,978人(内死者4人 (+0人) )(+0人)  (筆者注2)  、④オーストラリア:1,823人(+221人)、⑤チリ:1,694人(内死者2(+0))(+0人)   (筆者注2) 、⑥英国:1,22...

海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み(N0.5)

   世界保健機関(WHO)は6月11日、日本時間午後7時に開催された緊急委員会で「国際保健規則」の改定を議論し「フェーズ6」の引上げを決定した。   6月12日の本ブログ でも簡単に紹介したとおり、米国の米国疾病対策センター(CDC)は11日東部標準時間午後12時45分に緊急電話記者会見を行っている。  その中で気になったのは、①米国の感染者は予想より増加していることと、もう1点は②「インフルエンザH3ウイルス」の感染リスクについて具体的に言及していることである。その箇所について抜粋すると「インフルエンザH3ウイルスは、高齢者に影響する傾向があって、そこでしばしばかなりの重症を引き起こす。 同ウィルスに関しては、ワクチンという私たちのとって当然一般的予防策がないがゆえに、このウイルスの性格は季節性インフルエンザH1N1に似ていない。 それは「非常に新しいウイルス(very new virus)」である。 我々が報告を受けている事例の57%は5歳から24歳の人々に感染が起きている。そして、その同じ年齢層(年長の子供とヤングアダルト)では41%が入院している。また、人口10万あたりでみた入院率は実際に5歳未満の子供が最も高く、次に高い入院率は5歳から24歳の層である。」  一方、6月11日の朝日新聞はその特集記事で、今世界中に感染拡大しているウイルスは「伝統的ブタ由来インフルエンザH1N1」ではなく、1998年に検出された「3種混合H3N2」に「北米ブタ型H1N2」や「ユーラシアブタ型H1N1」が混合したウィルス(2009年H1N1)の可能性を米国や欧州の研究者等が指摘して点をあらためて紹介している。(筆者注1)  専門外の筆者としてはこれ以上言及しないが、CDCやECDC等のインフルエンザA(H1N1)の起源(possible origins)に関する研究結果等からみて、2009年春から急激に拡大した「新型インフルエンザAH1N1」の実体は「 H1N1 Influenza 2009 (Human Swine Flu) 」であり、そのルーツに「H3ウイルス」があるとすると、今後の展開は急速に入院を要する重症化事例の拡大や高齢者感染や死者数の増加が懸念される。また、すでに英国やわが国など主要国が製薬メーカーに依頼した新ワクチンの開発への影響等も気になる。(筆者注...