米証券委員会(SEC)の「投資家教育・権利擁護局(SEC's Office of Investor Education and Advocacy)は、ハリケーンズ・ハービィ(Hurricanes Harvey)やアーマ(Irma) (注1) からの損害の結果保険会社などから一時的な支払いを受ける可能性がある個人を含む投資家に、災害から何らかの有利性をえることに関する投資詐欺の警告を出すため、この投資家向け警告を行った。 過去にさかのぼるが、筆者は2010年1月24日のブログ 「米国FBI等がハイチ大地震にかかる災害支援寄付詐欺警告と米国の詐欺問題の根の深さ(その1)」 、 「同(その2)」 、 「同(その3)」 でカトリーナやハイチ大地震の復旧にかかる各種のボランテイア詐欺だけでなく、詐欺投資手口等にかかる米国の規制・関係機関の取り組みを詳しく論じた。 わが国では相も変わらず「特殊詐欺」が横行しており、米国のような投資詐欺までには語学上のバリアー障害もあり広がっていないが、いずれ語学上の問題がクリアされたら確実にさらなる詐欺被害が広がる可能性は極めて大といえる。 その意味で、今回のブログはSECなどの具体的詐欺手口の 警告 を中心に置いて紹介しながら、わが国として取り組むべきテーマを整理する意味で仮訳を踏まえ取りまとめた。 1. ハリケーン、洪水、原油流出などの自然・人為的災害と投資詐欺 ハリケーン、洪水、原油流出などの自然または人為的災害は、しばしば投資詐欺を引き起こす。これらの詐欺には、汚染掃除、修復や回収の努力に関わっていると主張する企業を呼び出す「投資プロモーター」、「高い利益を保証すると偽る取引プログラム」、新しい投資家のお金を早期の投資家に回すいわゆる古典的な「ねずみ講商法」等の形態をとる。 これらのうちいくつかの詐欺は、迷惑メール(spam email)に流布し、修復や汚染掃除の努力から大きな利益を得ると思われる小規模でかつ商いが薄い企業にとって高い収益を期待させる。例えば、SECは、2005年のハリケーン・カトリーナによる被害に照らして、ビジネス機会の疑惑...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。