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わが国の改正個人情報保護法の政令、施行規則等は「顔認証」に関しベスト・プラクティスを保証する内容といえるか?」(その5完)

 

(3)GAOが見出した問題点 

 司法省(DOJ)の連邦捜査局(FBI)は、法執行機関の捜査を支援するために3,000万以上の写真のデータベースを検索できるを顔認証サービスである「次世代型インターステート写真システム(Next Generation Identification-Interstate Photo System (NGI-IPS)」を運用している。 NGI-IPSユーザーはFBIおよび国と地方の法執行機関であり、彼らは、たとえば、監視カメラに写ったの写真を使って見知らぬ人を特定するのを支援するために検索要求を提出することができる。州または地方機関がそのような写真を提出するとき、ユーザー仕様に従い、NGI-IPSはデータベースから2~50の可能性がある候補写真のリストを返すというオートメーション化した手順を使用する。 2015年12月現在、FBIはNGI-IPSを使用した検索を行うべく7つの州と協定をして、アクセスを与えるために、より多くの州に働きかけている。

 GAO Reportの図4「FBIの顔認証システムにおける州別分析、比較および評価範囲の一覧図」から抜粋

 

 GAO Reportの図2「FBIの顔認証システムにおける州や地方の法執行機関からの要請および回答の流れ図」から抜粋 

 NGI-IPSに加えて、FBIは内部の専門部隊として、とりわけ活発なFBI捜査を支援するため顔認証能力を提供する「顔の分析、比較と評価サービス(Facial Analysis, Comparison and Evaluation (FACE) Services)を置く。FACEサービスは、NGI-IPSにアクセスするだけではなく、国務省、国防総省および16の州によって所有されるデータベースを検索または要請の基づいて行いうる。彼らは自身の顔認証システムをも使用する。生体認証アナリストが、FBI捜査官への捜査の前例として最高でもトップ1またはナンバー2つの写真を返却する前に、写真をレビューする。  

 DOJは、連邦機関が個人情報を集める技術を開発するときは常にE-Governmnt Actにもとづきプライバシー影響評価(アセスメント)(PIA)を展開しており、2008年にNGI-IPSを導入した際も行った。そして、常に同法にもとづきアセスメントが要求された。しかし、FBIの専門部門がFBI捜査官を支援し始める前に、FBIは時宜に応じた方法によるシステムが重要な変更を加えたにもかかわらずNGI-IPS アセスメントを更新しなかった。またFaceサービスにかかるアセスメント内容を公表しなかった。DOJは9月と2015年5月にNGI-IPSとFACEサービスのためにPIA結果を最終的に承認した。 

  GAO Reportの図3「FBIの顔認証能力とプライバシー・インパクト・アセスメントの統合実施の主な日付」から抜粋

 新システムを実装するとき、PIAの時宜をえた公表は市民にとりFBIがプライバシーへの危険を評価しているというより大きな保証を提供する。同様に、NGI-IPSは2011年以降適格であった、しかし、GAOのチェックの完成の後、2016年5月5日まで法律によって必要とされるように、DOJは顔認証能力のFBIの使用について「記録通知(System of Records Notice:SORN)」システムについては発表しなかった。SORNの時宜を得た公表は、NGIがどのように個人情報を使いまた保護するかという市民の知識を向上させるものである。 

(4)NISTの顔認証ガイドライン

 詳細は略す。 

(5)商務省・電気通信情報局(NTIA)の顔認識ガイドライン発行と国際バイオメ トリクス+アイデンティティ協会(IBIA)によりその承認

 2016年6月15日、米国商務省・電気通信情報局(NTIA)は、NTIAが招集したマルチステークホルダーグループによって開発された顔認識に関する「最善の実践事例(best Practices)」を発行した。「商業上の顔認識の使用のためのプライバシー面からみたベスト・プラクティスの推奨事項」と題するベスト・プラクティス・ガイドは 、「顔認識技術の商業的使用のための行動規範たることを意図したものである。

 このベスト・プラクティスの遵守は任意ではあるが、次に記載する観点から「顔認証テンプレート・データ・マッチング手法」 (筆者注14)を用いることを奨励している。 

6.私見

 今回の政令、施行規則並びに各監督省庁が策定したガイドラインのみで前述したような企業活動が人権保護面から見て十分機能しうるとは考えられまい。

欧米の取り組み等を参考として、筆者なりに見直すべきと考える点を、以下簡単にまとめてみる。

(1) 生体認証保護立法のあり方 

 わが国の顔生体認証技術は主要国でも進んでいるでいるといわれているが、一方で、それに関する法規制は、保護法が成立して約10年たって初めて政令、施行規則で明記される等問題が指摘できよう。特に米国イリノイ州が明記するプライバシー保護法の各種定義の明確化のあり方はおそらく他州や連邦法への影響が十分考えられよう。 

 その意味で、EU加盟国のプライバシー保護監督機関の具体的な取り組み内容の研究が急務であろう。  

(2) 監督省庁による生体認証ガイドラインの策定が急務 

 わが国の規制・監督機関等による情報保護面からみたガイドラインはあるであろうか。 筆者なりに調べてみた。 

第一に2007.7 独立行政法人情報処理推進機 「生体認証導入・運用のためのガイドライン」がある。 

 しかし、これは生体認証の導入・構築・運用に際してのポイントをまとめたものでプライバシー保護法の観点か留意すべき点をまとめたものではない。  

第二に「経済産業分野のうち信用分野における個人情報保護ガイドライン」である。

  データ主体の「同意」原則が明記されている。しかし、これも原則論でありFacebookやシャターフライ社への規制の根拠にはなりえない。 

 第三に金融庁の「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」である。 

第6条 機微(センシティブ)情報について 

1 金融分野における個人情報取扱事業者は、政治的見解、信教(宗教、思想及び信条をいう。)、労働組合への加盟、人種及び民族、門地及び本籍地、保健医療及び性生活、並びに犯罪歴に関する情報(以下「機微(センシティブ)情報」という。)については、次に掲げる場合を除くほか、取得、利用又は第三者提供を行わないこととする。

① 法令等に基づく場合

・・・・・・  

⑧ 機微(センシティブ)情報に該当する生体認証情報を本人の同意に基づき、本人確認に用いる場合 

 第四に,金融庁「金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針」である。 

7-1-1 

金融分野における個人情報取扱事業者は、6-1に規定する取得・入力段階における取扱規程において、機微(センシティブ)情報の取り扱いについては、6-1に規定する事項に加えて、 

次に掲げる事項を定めることとする。

 ①ガイドライン第6条第1項各号に定める場合のみによる取得 

②取得・入力を行う取扱者の必要最小限の限定 

③取得に際して本人同意が必要である場合における本人同意の取得及び本人への説明事項  

 以上、見てわかるとおりわが国ではFacebook等同様の機能を考えた私企業等を取り締まる根拠ガイダンスはない。  

(3)関係業界団体のガイドライン、テンプレートの強化と徹底 

 監督官庁のガイダンスのみに依存するのでなく業界の自主的ガイドラインの策定が必要と言えよう。海外の業界団体等における取り組みはどのようなものか。 

 この点で、最も参考になると思えるのはEUの「一般データ保護規則」である。筆者が今回のブログでも取り上げた問題であり、内容の解説は省略する。 

(4)わが国には人権擁護団体が存しない

 第三者機関たる保護委員会が設置されたもののその腕前を見るのはこれからである。ドイツの(HmbBfDI)や米国のEFF等の積極的な活動内容が参考となろう。 

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 (筆者注14) テンプレート・データ・マッチング手法について 林 昌希「人間の顔があるかを判断する「顔検出」技術(2) - テンプレートマッチング」から一部抜粋する。

「テンプレートマッチングでは、テンプレートとほぼ同じ入力画像が得られた場合は正しく判定されます。ただ、テンプレートマッチングでは、入力画像とテンプレートを単純比較しているにすぎません。よって、入力画像のノイズや照明変化が大きい場合など、テンプレート画像からの変化が激しい画像に対しては、途端にパターン認識の正解率が下がってしまいます。また、テンプレートマッチングではパターン認識した対象ごとにテンプレートが必要で、顔検出のように「どんな人間でも顔として検出してくれる」という目的は達成するには、下手すれば世界中の人間の顔のテンプレートを用意する事態にもなりかねません。」

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