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米国連邦議会調査局(CRS)が新型インフルエンザにかかる主要法律問題の概括報告を発表 2010-02

  

 このほど米国連邦保健福祉省の主要部門である疾病対策センター(CDC)から届いたリリースで、大分時間がたった話しではあるが、2009年10月29日、米国連邦議会調査局(CRS)は新型インフルエンザA(H1N1)に連邦政府等が関係法に基づきどのように取組んだかについて速報的な報告書を発表した旨報じた。

 筆者はこの報告書の件は当時知っていたが、なお感染拡大が拡がる中でその有効性に医療分野の素人ながら疑問があり、あえて紹介を留保していた。しかし、パンデミック対策の重要性は今なお変わっていないはずであり、やや落ち着いた時期に整理しておくことが重要であると考え、その概要紹介を行うこととした。

1.「2009年新型インフルエンザに関する主な法的問題の概要報告」
 連邦議会調査局は2009年10月29日に「CRS報告7-5700」を公表した。全体で50頁ものであるが、ここではその要旨と報告書も項目について紹介する。

 2009年6月11日、世界保健機関(WHO)は新しいインフルエンザ種の世界的な感染拡大に対応し「フェーズ6」(実質的に世界的大流行(パンデミック)の始まりを示す)に警戒レベルを引上げた。
このフェーズの変更は、新型インフルエンザA(H1N1)ウイルスの感染拡大を反映したものである。 現在のパンデミックは、患者の大部分が軽度の症状で収まり、急速に完全な健康回復をしている中庸の厳しさのものであるが、このような感染経験は今後変化する可能性がある。 本報告は新型インフルエンザに応じた関係機関の緊急措置、市民の人権や責任・義務 問題および雇用問題を含む主要な法律問題につき簡潔な概観を提供するものである。

 米国には、伝染病の大発生や改善を支援するための多くの緊急措置法等がある。「1944年公衆衛生法(Public Health Service Act)>、「1938年連邦食品医薬品化粧品法(Food,Drug,Cosmetic Act)」、 「1976年国家緊急事態法(National Emergencies Act)、および「1988年スタッフォード法(Robert T.Stafford Disaster Relief and Emergency Assistance Act)」は連邦保健福祉省長官または大統領に、緊急事態や災害の時にある一定の行動を取らせる権限規定を含む。 米国の住民に対する隔離を優先する一方で、連邦政府は州際や国境隔離を管轄する。  また、連邦政府は学校閉鎖のような活動とワクチン接種プログラムに関して推奨(recommendations)を発布する。 州と地方政府は、強制的なワクチン接種命令やある薬剤投与によらないが伝染病の感染拡大の予防効果をもつ学校閉鎖等の緊急措置を率先する権限をもつ。 2005年にWHOによって採択した「国際保健規則(International Health Regulations) (筆者注1)は、伝染病の脅威に対する国際協力の枠組みを提供する。

 2009年新型インフルエンザA(H1N1)パンデミックを含むこれらの緊急措置の使用は、伝統的な公民権の侵害問題、すなわち 公益を優先させるため個人の自由をどのような範囲まで縮小できるかといった問題を提起するかもしれない。 そのような場合において、合衆国憲法や連邦公民権に関する法律はプライバシーの権利と同様に個人に対する独特の適正手続き(due process)や平等的な保護規定を有するが、一方でこれらの権利は共同体の緊急措置ニーズと均衡をとらねばならない。

 不法行為賠償責任(tort liability)にかかる民事責任問題は2009年のインフルエンザ・パンデミック発生時の間に特に重要となりうる。 「2005年災害危機管理および緊急事態準備法(Public Readiness and Emergency Preparedness Act :PREP Act: Pub. L. No. 109-148)」(筆者注2)は、パンデミック・インフルエンザや他の公衆衛生に対する脅威発生時における対応手段の使用を限定する。(筆者注3) 一般に、連邦のパッチワーク立法と州法は特定の状況下でボランティア(特定の場合ボランティア医療専門家(VHPs)(筆者注4)を含む)を保護する。

 また、関係法は特にVHPsに責任制限(liability protection)を提供する。インフルエンザ・パンデミックによる提示される中で最も重要な点として雇用問題がある。社会的孤立や隔離措置などの公衆衛生への遵守は患者個人の失業や賃金収入を失うといった恐れにつながる。
 裁判所が、パンデミックがひどい間の個人の孤立や隔離が公益に役立つもので、隔離されるか、または孤立するため個人の解雇は公共の政策に違反するという結論を下すかも知れない。 また、従業員は「介護休暇法(Family and Medical Leave Act of 1993:FMLA)」(筆者注5)に基づき何らかの仕事の保障を持てるかも知れない。

[目次]
1.序論
2.非常時の措置
(1).非常時担当政府機関
・公衆衛生担当局
・国家非常時事態宣言
・スタッフォー法に基づく宣言
・社会保障法1135条の国民の受診権放棄または制限措置
・緊急使用認可(Emergency Use Authorizations(承認していない対策のための)
(2)国際保健規則(International Health Regulations:IHR)
・IHRの概観
・「国際的懸念発生時における公衆衛生緊急事態」宣言
(3)患者の隔離と孤立措置担当の当局
・連邦機関
・連邦と州の調整機関
・連邦規則案
(4)国境入国問題
・感染した在留外国人の非容認措置
・国民や在留外国人の隔離措置
・国境の封鎖
(5)航空と旅行制限
・ 航空会社の緊急時対策ポリシー
・公衆衛生上の「国境または航空禁止者リスト(“Do Not Board” List)」(筆者注6)
・連邦領空局(Federal Airspace Authority)
(7)学校閉鎖
3.ワクチン接種(Vaccinations)
(1)接種実施の背景
(2)ワクチンの配分
・概観
・2009年に先立つ選別的連邦の活動
・インフルエンザA(H1N1)緊急事態後の連邦の活動
・法的問題
(3)強制的ワクチン接種
・歴史と先例
・医療機関受持者と強制的ワクチン接種
・公衆衛生緊急事態時のワクチン接種命令
・モデル州非常事態における保健管理法(The Model State Emergency Health Powers Act)(筆者注7)
・連邦政府の役割
4.公民権(Civil Rights)
(1)はじめに
 (2)適正手続(Due Process)および保護の平等(Equal Protection)に関する憲法上の権利
 (3)連邦無差別保証法(Federal Nondiscrimination Laws)
  ・「1973年リハビリテーション法(Rehabilitation Act)」504条(筆者注8)
  ・「1990年米国障害者法(Americans with Disabilities Act of 1990 :ADA)」
  ・「1986年航空バリアフリー法(Air Carrier Access Act )」
5.民事損害賠償責任問題
(1)「2005年災害危機管理および緊急事態準備法(Public Readiness and
Emergency Preparedness Act :PREP Act)
(2)一般ボランティアおよび医療専門家ボランティアの民事責任問題
・「1997年ボランティア保護法(VVolunteer Protection Act of 1997)」
・緊急事態時における責任制限
・州等における災害相互応援協定(Emergency Mutual Aid Agreements)
6.雇用問題
(1)はじめに
 (2)公共政策に違反する不当解雇(Wrongful Discharge)
 (3) 「1993年介護休暇法(Family and Medical Leave Act of 1993:FMLA)」
 (4)従業員保護法に関する州および連邦法

2.連邦社会保障法1135条に基づく連邦政府の国民の受診権放棄措置または適用制限措置
 わが国ではあまり正確に紹介されていない項目であり、ここで改めて公的資料に基づき補足する。

(1) 連邦社会保障法1135 条にもとづく連邦保健福祉省長官の宣言の発布
 連邦社会保障法1135 条[42 U.S,C. §1320b–5]では、連邦保健福祉省長官(Secretary of Health and Human Services)(以下「長官」という)は緊急時に対応して緊急時における医療機関に対する特別に法的に認められている監督権にもとづく要求事項を放棄させることができる。 長官がそのような「1135条の権利放棄」を発布するには、2つの条件が満たされなければならない。 まず最初に、長官は、公衆衛生緊急事態宣言(Public Health Emergency)を宣言しなければならない。 2番目に、大統領は「1988年ロバート・T・スタフォード緊急災害支援法(Robert T. Stafford Disaster Relief and Emergency Assistance Act: PL 100-707)」に基づく宣言または「1976年国家緊急事態法(National. Emergencies Act)」に基づく宣言を行なわなければならない。 これら2条件が満たされたとき、医療機関は特別な必要性に応じた非常事態に基づく「1135条の保健プログラム受診権利放棄措置」につき地理的かつ時限的制約のもとで請願できる。

(2) 社会保障法1135条の適用条件
 長官は、特定の状況により異なるニーズに合致させるために同法1135条にもとづきすすんで当局の対応を指定できるが、受診権利放棄の対象となるプログラム要件には、高齢者医療保険制度(Medicare)か低所得者医療扶助制度(Medicaid)または子供医療保険プログラム(Children's Health Insurance Program :CHIP) (筆者注9)「1986年緊急医療措置および分娩法 (emergency medical treatment and active labor Act:EMTALA)」(筆者注10)に関連するもの、「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act:HIPAA)」に関するものを含む。 これらの保障要件は通常の日々の運用において重要な保護を患者に提供するが、一方それらは医療機関が緊急非常時に適切な介護を可能にする災害運用計画を完全に実行する能力を妨害するとことになるかも知れない。 例えば、「緊急医療措置および分娩法」の定める要件は、病院に対し緊急患者の選択やソーティング活動を禁じたり、また現場外で救急患者を処置できる代替的医療機関の設置を阻害することになろう。

・ 政府による受診権の放棄は、十分な健康管理項目やサービスが非常時の期間、非常時の領域で老人医療健康保険制度、低所得者医療扶助制度、およびCHIP受益者の需要を満たすために利用可能であることを確実にするという範囲だけにおいて認められる。 「非常時領域」と「非常時期間」という地理的領域および期間に関する二重の宣言が併存する。

・ 認められる活動内容は、次のものなどである。①参加者の権利放棄や状態の変更、他の認証要件のまたは変更を含む。プログラムへの参加要件、医療者機関(health care provider)のための事前承認要件(pre-approval requirements)。② 特定の方向または患者の移送に関するEMTALA違反による制裁の権利放棄、③ 制裁の権利放棄は、スターク法 (筆者注11)の医師の自己紹介禁止規定違反の制裁処分に該当する。すなわち、 締め切りへの変更と必要な活動の性能のための予定表の修正、④HIPAAのプライバシー規定の不遵守に基づく制裁権と刑罰権の放棄。

過去における政府による受診権放棄発令の使用例
・ 病院がEMTALAの権利放棄規定に基づき、主たる病院のキャンパスから離れた場所に患者のための代替予備検査施設を設置する要求した。
・ 病院がEMTALAとHIPAAの両方の権利放棄器規定にもとづき病院の緊急外来棟(ERs)と入院患者病棟の間の患者の移送を容易にするよう要求した。
・ Critical Access病院が25ベッド数の限界および平均96時間未満入院に関し「連邦行政規則集42CFR485.620」の権利放棄を要求した。
・高度熟練看護施設(Skilled Nursing Facilities) (筆者注12)が、予め高齢者医療保険制度(Medicare)および低所得者医療扶助制度(Medicaid)認定を規定する“42CFR483.5”にもとづき、部分的に公認されたベッドの数を増加させる前に権利放棄を要求した。

[政府が1135条に基づき受診権利放棄措置を行った最近の災害の例]
・ハリケーン・カトリーナ(2005年)
・第56代オバマ大統領就任式(2009年)
・ハリケーンズのイケ、グスタフ(2008年)、
・ノースダコタの大洪水(2009年)

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(筆者注1) 2009年6月5日に世界保機関(WHO)は、世界的にみた新型インフルエンザの感染状況を踏まえ、WHOとして今後パンデミックフェーズ(フェーズ6)変更という重大性調査の導入提言について助言を求めることを目的として、第3回「国際保健規則(International Health Regulations:IHR)」緊急委員会を開催し、同月11日にフェーズ6への引上げを決定した。

(筆者注2) “PREP Act”では、まず、保健福祉省が、疾病の流行などの措置に関するクレームや損害賠償請求についての不法行為賠償責任(Tort Liability)からの免責についての「PREP Act宣言」を出す(意図的な違法行為(willful misconduct) の場合は免責されない)。同時に、連邦政府は直接的に被害者に与えた損害に対して、これらの損害賠償を行うため政府に偶発損失準備金(emergency fund) を準備し、対応する。

(筆者注3) HHSサイトによる2009H1N1に関するPublic Readiness and Emergency Preparedness (PREP) Actに基づく通告例

(筆者注4) ボランティア医療専門家(VHPs)は、緊急非常時に迅速な対応が出来かつ必要な医学の専門的技術を提供する上で不可欠である。 いくつかのVHPsはよく組織化されて訓練されている一方で、他のものは災害場所に自然体で到着する。 組織化、訓練や個人識別を欠いているときは、実際に非常時の各種努力を妨害するかもしれない。 ニューヨーク市で起きた2001年9月11日テロ以降、医療のボランティアの複雑さにより、連邦議会は連邦当局が、州と領土でのボランティア医療専門家(ESARVHP)の事前登録による緊急支援システムを開発するのを支援するように働いた。

(訳者注5) FMLAにより、従業員の出産、養子縁組関係、養育のために時間が必要な時、または従業員の配偶者、子供、または両親が重病でその世話のため時間が必要な場合、または従業員自身が重病にかかった場合、従業員の請求に応じ、計12週間までの休暇を認め、また雇用保障と保険継続は行われるが、休業中は無給である。

(筆者注6) Do Not Board” Listの具体例について補足しておく。連邦保健福祉省の機関である感染症対策センター(CDC)が発刊する週報(MMWR)の2007年6月~2008年5月の間のDo Not Board” Listの実施状況について報告している。これは公衆衛生から見た感染症対策としての渡航規制であるが当然のことながらテロ対策でも使われる規制措置であり、実際「テロ対策および緊急事態対応調整局(Coordinating Office for Terrorism Preparedness and Emergency Response :COTPER)」の「科学諮問委員会(Board of Scientific Counselors :BSC)」の機能・メンバーは権威がありそうである。審議内容は公開されている。

(筆者注7) 2009年6月11日、WHOのフェーズ6警告発令によって、米国、EUを始めとする2005年の国際保健規則(IHR2005)に調印した194カ国すべてが、戒厳令体制に入った。これら調印国は、流行病管理計画等の形で、IHR2005を各国の法律に組み込んでおり、わが国では2005年に議会による投票なしに、厚生大臣によって承認されている。米国はこの「モデル州非常事態における保健管理法」にもとづき承認している。

(筆者注8)リハビリテーション法504条は、連邦政府の補助を受けている基金やプログラムにおける障害を持つ人に対する差別の禁止規定をおく。なお、以下のURLは同条の訳文である。
http://it.jeita.or.jp/perinfo/committee/accessibility/uslaw/report0208/frame/012_siryou/12_004.html

(筆者注9)「州子供医療保険プログラム(State Children’s Health Insurance Program(一般的には「州」はとられて呼ばれている))」は、連邦貧困レベル(Federal Poverty Level:FPL)(保健社会福祉省が設定する基準で、2009年は1人所帯で年間収入$10,830(約964,000円) 、5人所帯のFPLは$25,790(約230万円)である)にもとづき、 FPLの200%以下の収入家庭の19 歳以下の医療保険を持たない子供に提供される医療補助制度。1997 年超党派の議員グループによって承認された公的医療保険支援プログラムである。

(筆者注10) 1986年に成立した連邦法「緊急医療措置および分娩法 (emergency medical treatment and active labor Act:EMTALA)」により、メディケア(高齢者医療保険制度:Medicare)の対象病院に対して、次のとおり救急患者と急な出産の受け入れと、病状が安定するまでの治療が義務付けられた。
①患者は、救急処置が必要かの判断を保険や支払いに関係なく速やかに受ける権利がある。
②緊急外来(Emergency Room:ER)は、症状が改善されるまで処置する義務があり、もし設備等の関係で無理なら’適切に’転送する義務がある。
③高度救命センターは転送を依頼されたら断ってはいけない。

(筆者注11) 「1993年医師等の自己関係施設紹介規制法(スターク法)」は、1935年社会保障法(Social Security Act)1877条(Sec. 1877. [42 U.S.C. 1395] )で規定された。同法は、指定公共医療(DHS)に関し高齢者医療保険制度(Medicare)や低所得者医療扶助制度(Medicaid)等対象患者を、医師または医師の父母兄弟等近親家族(immediate family)が財政的な関係を持つ施設を紹介する行為は例外が適用される場合を除き禁止する。 また、禁止された結果、当該施設が提供された公共医療に関するDHSのための請求書等の提示や原因となる行為を行うことも禁止する。
 「スターク法」は1993年に連邦議会で可決、1995年1月1日に施行されたが、最終的な施行規則は何年も後まで発表されなかった。 同法により当該施設との財政的な関係を持つ医師(または、肉親兄弟)は、そうでなければ老人医療健康保険制度(メディケア)や低所得者医療扶助制度(メディカイド)により支払われる指定公共医療(designated health service:DHS)を提供するためにその施設を紹介することは出来ない。 DHSの対象となる医療内容は同法律により次のとおり明記されている。 (1) 臨床検査室(clinical laboratory)。 (2) 物理療法(physical therapy)(音声言語病理学治療サービス(speech-language pathology services)を含む)。 (3) 作業療法(occupational therapy)。 (4) 磁気共鳴画像診断法(magnetic resonance imaging )、コンピュータX線体軸断層撮影法(computerized axial tomography scans)や超音波診断含む放射線医学、 (5) 放射線治療サービスとその供給、 (6) 耐久医療機器(durable medical equipment )とその供給、 (7) 非経口(parenteral)および腸内(enteral)栄養物、器具およびその供給、 (8) 人工装具(prosthetics )、矯正器具(orthotics )、人工器官(prosthetic )器具およびその供給、 (9) 在宅介護サービス(home health services)、 (10) 外来通院患者処方薬(outpatient prescription drugs)、 (11)入院患者と外来通院患者の病院業務である。
連邦議会は、この禁止規定の多くの例外に備えて、追加的例外を策定する権限を連邦保健福祉省のメディケア&メディケード・サービス庁(Centers for Medicare and Medicaid Services:CMS )に与えた。

(筆者注12)「高度熟練看護施設」とは、病院を退院して入る施設で、看護師や医師が常駐する。日本の老人ホームと老人病院を合わせたような医療施設も含まれる。

[参照URL]
http://www.fas.org/sgp/crs/misc/R40560.pdf
http://www.hhs.gov/disasters/emergency/manmadedisasters/bioterorism/medication-vaccine-qa.html
707.pdf (house.gov)
http://uscode.house.gov/download/pls/50C34.txt
http://www.cms.hhs.gov/emtala/

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