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7月, 2024の投稿を表示しています

ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(Alternative für Deutschland :AfD)等の躍進の真の背景とドイツ政府や裁判所の取組みを探る

   フランスやドイツ等を始め欧州議会選挙での極右政党の躍進が著しい。筆者は、その背景について改めて調査する中で特にドイツにおける極右政党に対する諜報機関や裁判所の厳しい見方を整理したいと考え、今回の取りまとめることとした。  特にドイツ連邦共和国基本法の問題、 刑法解釈問題につきピッツバーグ大学ロースクールのレポートなどを中心に仮訳とともにまとめてみた。  なお、ドイツだけでなく EU 全体として極右思想やテロ思想の対する具体的法規制の具体性についても一部引用した。先般の都知事候補の選挙広報やテレビ放送などにおけるわが国憲法の言論の自由規定のはき違い・誤解などをみるにつけわが国でも参考とすべき点が多い。  なお、関係者の略歴、写真、関係 URL とのリンクは筆者の責任で行った。いずれも高学歴かつ政治面の専門性や経営実務経験を有していること等、注目される点も多い。 1. 2017 年 1 月 17 日、連邦憲法裁判所は、極右政党 NPD (国民民主党)について違憲性を認めたが、違憲に当たる目的を達成するほどの勢力を確認できないとして、政党禁止としなかった    外国の立法 (2017.4) 国立国会図書館調査及び立法考査局) から以下、抜粋する。 今回の判決において、連邦憲法裁判所は、NPD のコンセプトは「自由で民主的な基本秩序」の排除を目指すとし、その違憲性を確認した。しかし、同時に、新たな政党禁止の要件として、当該政党が違憲に当たる目標を実現する可能性があることの具体的な根拠がなければならないことを示した。連邦憲法裁判所は、以下のとおり、議会及び議会外における NPD の影響力を確認し、NPD が違憲に当たる目標を実現する可能性はないと判断した。 <議会における影響力> ・連邦議会に議席を有したことは一度もない。 ・州議会については、ザクセン州において 2004~2014 年に、メクレンブルク・フォアポメルン州において 2006~2016 年に議席を有したが、現在は全く議席を有していない。 ・欧州議会には、1 議席を有するのみである。 ・自治体の議会においては、現在合わせて約 350 議席を有する。しかし、自治体の議席数が全部で 20 万以上であることを考慮すれば、取るに足らない。 連邦憲法裁判所は、NPD は、自治体の議会において若干の議席は有するもの

最高裁大法廷は旧優性保護法の下で不妊手術の強制は憲法第13条及び第14条第1項違反を理由に国に賠償命令を命じるとともに下級裁判所における改正前の民法の解釈巡る除斥期間の解釈を憲法違反と判示

   令和6年(2024年)7月3日、最高裁判所大法廷(裁判長:戸倉三郎長官)は旧優性保護法(Eugenic Protection Law)の下で不妊手術を強制した(forced sterilisation)のは憲法第13条及び第14条第1項に明らかに違反するとして、国に賠償命令を命じるとともに、違法な旧法を放置してきた国会議員の責任を明確化し、さらに下級裁判所における改正前の民法の解釈巡る「除斥期間」 (注1) の解釈を憲法違反と判示した。  筆者は、この判決の意義を改めて内外メデイアの英字紹介レポートの解説を期待したが、JIJI.com、Nikkei Japan、Japan Timesなどいずれも一長一短な内容であった。また、併せてピッツバーグ大学ロースクールやBBCの英字ニュースを改めて読んでみたが、それらも同様であった。  この判決については後日、専門家による詳細な解説が行われることは間違いないが、筆者なりに画期的な内容を持つ本判決の主要な論点整理を行う。  なお、わが国民法の根拠法といえるドイツ民法第5章の消滅時効の規定の訳文(2015年3月)があり、原文を参照のうえ併せ引用した。 1.最高裁判決の重要ポイント 最高裁判所 戸倉三郎 長官 (1)最高裁判所は7月3日、即日判決文を 公表 した。 判決文全文 参照されたい。(裁判長裁判官 戸倉三郎 裁判官 深山卓也 裁判官 三浦 守 裁判官 草野耕一 裁判官 宇賀克也 (注2) 裁判官 林 道晴 裁判官 岡村和美 裁判官 安浪亮介 裁判官 渡 惠理子 裁判官 岡 正晶 裁判官 堺 徹 裁判官 今崎幸彦 裁判官 尾島 明 裁判官 宮川美津子 裁判官 石兼公博)  主文部を抜粋、以下で引用する。 1. 優生保護法中のいわゆる優生規定(同法3条1項1号から3号まで、10条及び13条2項)は、憲法13条及び14条1項に違反する。 2. 上記優生規定に係る国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。 (注3) 3. 不法行為によって発生した損害賠償請求権が民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条後段の除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと