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12月, 2023の投稿を表示しています

2024年秋の米大統領選挙や同年3月の一部裁判の最高裁判決等を控えスピードアップするトランプ裁判の動向と争点

    12月に入りトランプ前大統領に関する裁判の動向に関する米国メデイアの報道に動きが顕著になっている。筆者は 本ブログ で一部取り上げたが、やはり断片的メデイア情報では不十分であり、わが国でも本質的かつ正確な裁判解説が必要と考えた。  その結果、やはり毎日グローバルな裁判動向を取り上げているピッツバーグ大学ロースクールの提供サイト“JURIST”でかつ同スクールの博士課程にある ローレン・バン (Rauren Ban) 氏 の解説記事が最も網羅的かつ正確であると判断した。 Rauren Ban 氏  そこで“JURIST”の記事からRauren Ban氏の解説を3本抜粋し、以下で補足を加えたうえで仮訳した。なお、同氏を初めトランプ裁判の解説は2024年早々より具体的展開が深まることは違いない。筆者なりに引き続きフォローしたい。  なお、米国のメデイアだけでなくわが国のメデイアも同様に各裁判所の決定につき一喜一憂している節がある。トランプ陣営における特に2024年11月の大統領選をにらみ最高裁の判決の先延ばしを図っている事実を冷静に受け止め、法的争点を正確に報道するのが法学者やメデイアの責務であろう。 1.連邦地裁判事は 2020 年の米国大統領選挙妨害事件でトランプ大統領の免責特権の主張を否定    2023 年 12 月 2 日付けJURIST解説記事 を以下、 仮訳 する。  ドナルド・トランプ前米大統領の2020年の選挙妨害事件を管轄する連邦地裁判事は12月1日、トランプ氏は 大統領免責特権 (presidential immunity) (注1) の主張によって係争中の 4件の刑事告発 を却下することはできないとの判決を下した。  米国連邦地方裁判所判事ターニャ・チュトカン(US District Judge Tanya Chutkan)氏は、トランプ氏は米国大統領として「公的な責任の『外周』内で行われた行為に対する刑事訴追の絶対的な免除」を享受しているとするトランプ氏の主張に反論した。 チュトカン氏はその代わりに、「元大統領は連邦刑事責任に関して特別な条件を享受していない」と認定した。 Tanya Chutkan 判事  トランプ氏は当初、10月5日に 大統領の免責に基づいて訴訟を却下する申し立て を提出して...

米国国立科学財団 (NSF) 工学局 (ENG)の人工知能(AI)に関連する研究および教育提案の提出を積極的に奨励する具体的ガイダンスの発出

   筆者は先般2回のブログで、10月30日の大統領令(EO14110)及びNIST等の取組みにつき言及した。特に12月22日ブログ 「米大統領令(EO: Executive Order 14110)の具体的内容と意義およびそれに基づく責任の履行を支援するためNIST『情報提供依頼文書』の具体的内容」 の中で、EOセクション「5.イノベーションと競争の促進」の箇所でFSAの役割について詳しく言及した。  これに関し、筆者の手元に12月22日付けでFSAから届いたメール 「人工知能の工学研究への資金提供の機会について」 は、米国国立科学財団 (NSF) 工学局 (ENG) は、新興産業としての人工知能に関連する研究および教育提案の提出を積極的に奨励するというものであった。 文部科学省科学技術要覧「各国の科学技術の概要」から抜粋  今回のブログは、FSA工学局のリリースを解説付きで紹介するものである。  特に、この分野は極めて多岐にあたるもので単なる訳文では真の取組課題は見えない点に留意されたい。 1.NSF の通知文書の内容    筆者なりに補足説明しながら仮訳する。 「親愛なる研究者各位へ  この親愛なる研究者への手紙により、米国国立科学財団 (NSF) 工学局 (ENG) は、新興産業としての人工知能に関連する研究および教育提案の提出を奨励する。  人工知能 (AI) は急速に進歩しており、我われの生活を大きく変える可能性がますます実証されている。 NSF と工学局には、これまでAI 研究をサポートしてきた長く豊かな歴史があり、商業から医療、運輸に至るまで、さまざまな分野で今日の AI テクノロジーの広範な使用の基盤を整えている。 NSF の AI ポートフォリオは、AI 理論、アルゴリズム、ロボット工学、人間と AI の相互交流、AI 用の高度なサイバーインフラストラクチャに及ぶほか、神経科学における使用にインスピレーションを得た研究、工学的土木インフラ システム、電力網、インテリジェント統合製造システムの設計とパフォーマンス、 インテリジェント輸送、ロボット工学、その他多くの分野にわたる。  NSF 工学局は、(ⅰ)国家のニーズに合致した AI 関連の研究と教育活動に投資し、(ⅱ) 「2020年国家AIイニチアチブ法(National Artifici...

米国国立科学財団 (NSF) 工学局 (ENG)の人工知能(AI)に関連する研究および教育提案の提出を積極的に奨励する具体的ガイダンスの発出

   筆者は先般2回のブログで、10月30日の大統領令(EO14110)及びNIST等の取組みにつき言及した。特に12月22日ブログ 「米大統領令(EO: Executive Order 14110)の具体的内容と意義およびそれに基づく責任の履行を支援するためNIST『情報提供依頼文書』の具体的内容」 の中で、EOセクション「5.イノベーションと競争の促進」の箇所でFSAの役割について詳しく言及した。  これに関し、筆者の手元に12月22日付けでFSAから届いたメール 「人工知能の工学研究への資金提供の機会について」 は、米国国立科学財団 (NSF) 工学局 (ENG) は、新興産業としての人工知能に関連する研究および教育提案の提出を積極的に奨励するというものであった。 文部科学省科学技術要覧「各国の科学技術の概要」から抜粋  今回のブログは、FSA工学局のリリースを解説付きで紹介するものである。  特に、この分野は極めて多岐にあたるもので単なる訳文では真の取組課題は見えない点に留意されたい。 1.NSF の通知文書の内容    筆者なりに補足説明しながら仮訳する。 「親愛なる研究者各位へ  この親愛なる研究者への手紙により、米国国立科学財団 (NSF) 工学局 (ENG) は、新興産業としての人工知能に関連する研究および教育提案の提出を奨励する。  人工知能 (AI) は急速に進歩しており、我われの生活を大きく変える可能性がますます実証されている。 NSF と工学局には、これまでAI 研究をサポートしてきた長く豊かな歴史があり、商業から医療、運輸に至るまで、さまざまな分野で今日の AI テクノロジーの広範な使用の基盤を整えている。 NSF の AI ポートフォリオは、AI 理論、アルゴリズム、ロボット工学、人間と AI の相互交流、AI 用の高度なサイバーインフラストラクチャに及ぶほか、神経科学における使用にインスピレーションを得た研究、工学的土木インフラ システム、電力網、インテリジェント統合製造システムの設計とパフォーマンス、 インテリジェント輸送、ロボット工学、その他多くの分野にわたる。  NSF 工学局は、(ⅰ)国家のニーズに合致した AI 関連の研究と教育活動に投資し、(ⅱ) 「2020年国家AIイニチアチブ法(National Artifici...

米大統領令(EO: Executive Order 14110)の具体的内容と意義およびそれに基づく責任の履行を支援するためNIST「情報提供依頼文書 」の具体的内容

   筆者は、12月6日の本ブログで2023年10月30日の大統領令(EO: Executive Order 14110)(以下、「EO」という)を受けたNISTの具体的行動につき 「 NISTからこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン草案」に対するパブリックコメントの背景と意義」 を取り上げた。  しかし、執筆後もいまいち大統領令(EO)のファクトシートも含め真の目的や商務省の規則案のとりまとめ期限など疑問点が残されていた。その内容を補完する意味で今回のブログで補筆するとともに、後段でNISTが2024年2月2日を期限として発布した「情報提供依頼文書 (Request for Information (RFI) )」の概要について解説を試みる。  また、本ブログでは、わが国では詳しく論じられていない米国「国防生産法(Defense Production Act of 1950 :DPA)」の意義と最新動向にも言及した。  なお、今回のブログの内容は12月6日の筆者ブログと重複する部分が一部あるが、 Kilpatrick Townsend & Stockton LLPの和文解説 と併せ読まれたい。 Ⅰ.大統領令 (EO: 14110) の具体的内容の解析    JD Supra, LLCの 「The highly-anticipated US Executive Order on artificial intelligence: Setting the agenda for responsible AI innovation」 を要約しつつ仮訳する。  このEOは、多くの点で AI に関するこれまでのバイデン政権の行動を超えている。 この広範囲かつ堅牢な大統領令は、AI を規制するために既存の当局を利用することを想定して、米国の行政部門および政府機関 (機関) に、①標準、②フレームワーク、③ガイドライン、④最善実践内容を開発するよう指示した (また、独立機関にも同様に奨励する)。 また政府機関は、AI の責任ある使用に関係するほぼすべての連邦法、規則、政策に対して具体的な措置を講じる必要があるとする。  EOは、AI の使用から得られる利点を認識する一方で、国家...

米大統領令(EO: Executive Order 14110)の具体的内容と意義およびそれに基づく責任の履行を支援するためNIST「情報提供依頼文書 」の具体的内容

   筆者は、12月6日の本ブログで2023年10月30日の大統領令(EO: Executive Order 14110)(以下、「EO」という)を受けたNISTの具体的行動につき 「 NISTからこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン草案」に対するパブリックコメントの背景と意義」 を取り上げた。  しかし、執筆後もいまいち大統領令(EO)のファクトシートも含め真の目的や商務省の規則案のとりまとめ期限など疑問点が残されていた。その内容を補完する意味で今回のブログで補筆するとともに、後段でNISTが2024年2月2日を期限として発布した「情報提供依頼文書 (Request for Information (RFI) )」の概要について解説を試みる。  また、本ブログでは、わが国では詳しく論じられていない米国「国防生産法(Defense Production Act of 1950 :DPA)」の意義と最新動向にも言及した。  なお、今回のブログの内容は12月6日の筆者ブログと重複する部分が一部あるが、 Kilpatrick Townsend & Stockton LLPの和文解説 と併せ読まれたい。 Ⅰ.大統領令 (EO: 14110) の具体的内容の解析    JD Supra, LLCの 「The highly-anticipated US Executive Order on artificial intelligence: Setting the agenda for responsible AI innovation」 を要約しつつ仮訳する。  このEOは、多くの点で AI に関するこれまでのバイデン政権の行動を超えている。 この広範囲かつ堅牢な大統領令は、AI を規制するために既存の当局を利用することを想定して、米国の行政部門および政府機関 (機関) に、①標準、②フレームワーク、③ガイドライン、④最善実践内容を開発するよう指示した (また、独立機関にも同様に奨励する)。 また政府機関は、AI の責任ある使用に関係するほぼすべての連邦法、規則、政策に対して具体的な措置を講じる必要があるとする。  EOは、AI の使用から得られる利点を認識する一方で、国家...