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米国FTCと7州によるGoogleとiHeartMediaが欺瞞的な推奨宣伝行為に関する罰金にかかる和解の同意命令案

 

 2022年11月28日、連邦取引委員会(「FTC」)と7人の州司法長官は、GoogleのPixel 4スマートフォン(注1)を宣伝する欺瞞的な広告を放送したという訴えを解決するために、Google LLCおよびネットラジオiHeartMedia、Inc. (注2)と和解に達したと発表した。両社は、これらの申し立てを解決するために、7州に合計940万ドル(約17億7800万円)を支払うことに同意した。

 このFTCの和解同意の内容もさることながら、筆者はわが国の日頃テレビやラジオさらにはネット広告、チラシ広告を見るにつけ、もしわが国にFTCがあったなるであろうかという疑問が当然湧いた。

 この問題はGoogle、iHeartMedia、Inc.ならびにTeami、LLCといった大手企業の問題だけにとどまらない極めて重大な問題を投げかけていることは間違いない。

 以下述べるとおり、わが国では影響度の高い有名人を使った広告、宣伝がほぼ100%日常的に行われ、他方でFTC法のような厳しい罰則を伴う法律や厳しい運用実態がないわが国ではどうなるのか。

 これに関し、わが国で誇大広告に関する法律と規制はどうなっているであろうか。例えば、後述する解説 (注3)を読むと、1)景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法), 2)薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)、3)健康増進法があげられている、

 この問題に関し、筆者はこの3法の取締りの実態を調べてみた。例えば、インターネットにおいて健康食品等を読んだ。はたして、消費者庁サイトで見る限り裁判事例:課徴金納付命令事例は皆無である。

 このような日米の法執行の基本姿勢の大差をどう解決するのか。その意味で今回のブログの更なる研究を進めたいと考える。

  なお、このような行政罰による取締法の罰則適用の甘さはわが国固有の問題であり、さる2月10に可決・成立した「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」の第6章 罰則(1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、またはこれを併科)規定が本当に十分に機能するのか、所管省庁である消費者庁の点も含め引き続き注視したい。(注4)

1.FTCと7州によるGoogleとiHeartMediaが欺瞞的な推奨宣伝行為に関する罰金にかかる和解の同意命令案

 FTCのリリース資料ならびにその内容を補完する“Radio Insight”記事をもとに重複を避けるべくまとめてみた。

(1)事実関係     FTCの訴状 (注5)によると、GoogleはiHeartMediaに260万ドル以上を支払い、iHeartMediaのラジオパーソナリティにiHeartMediaステーションでGoogleのPixel 4スマートフォンを宣伝する推奨文言を録音させた。FTCは、GoogleとiHeartMediaが、ラジオパーソナリティが電話を所有しているか、定期的に使用していると広告に虚偽の表現をすることにより、FTC法に違反していると主張した。

 GoogleはiHeartMediaに広告の台本(script)を提供し、「ナイトサイトモード」(注6)のおかげで、特に暗い場所では、私のお気に入りの電話カメラである」などの文言が含まれていた。また訴状は、GoogleがiHeartMediaと提携していない他のラジオパーソナリティに同様の主張をするために金銭を支払ったと主張した。

 FTC によると、Google は 2019 年に、10 の米国内主要市場で iHeartMedia と他の 11 のラジオ ネットワークを雇っ記録て、オンエアのパーソナリティに“Pixel 4”スマートフォンの推薦をおよび放送させた。Google は iHeartMedia に、Pixel 4 携帯電話の広告に関する次のセリフを含むスクリプトを提供した。「これは、夜景モードのおかげで、特に暗い場所での私のお気に入りの電話カメラである。スタジオのようなすべての写真を撮っている。また、一度に複数のタスクを処理できる新しい音声起動機能タイプである「 Google アシスタント」のおかげで、仕事を片付けるのにも役立つ」等と宣伝した。

 しかし、実際、オンエアのパーソナリティは、広告の大部分を記録して放送する前に、Pixel 4 が提供されなかったため、同スマートフォンを所有しておらず、定期的に使用してもいなかった。(Radio Insight記事から抜粋)

 Google は、インターネット関連のサービスと製品を専門とする多国籍テクノロジー企業である。テキサス州サンアントニオに本社を置く iHeartMedia は、米国最大のラジオ局所有者であり、850 以上の AM および FM ラジオ局と、毎月 2 億 4500 万人以上のリスナーに届くインターネット ラジオ ネットワークを所有している。

(2)FTCおよび7州の司法長官の法執行行為と和解案

 和解案はGoogleおよびiHeartMediaに対する同意命令(案)は、各企業が、エンドーサーが自社の製品やサービスを所有または使用した、またはエンドーサーの体験について虚偽の表明を行うことを禁じている。(FTCリリースから抜粋)

*FTC の請求を和解させるため提案された同意命令は、Google とiHeartMedia の違法とされる行為に対処することを目的としている。とりわけ、被告らは以下の行為が義務付けられた。

①推奨者が特定の製品を所有または使用したこと、またはその使用経験について、Google が虚偽の報告をすることを禁止する。

②iHeartMedia が、エンドーサーが消費者製品またはサービスを所有または使用したこと、またはそれらの経験について不当に伝えることを禁止する。

③Google と iHeartMedia に対し、注文を特定の人に配布のうえ、コンプライアンス・ レポートをFTCに提出し、FTC がコンプライアンスを確保できるように記録を保持することを要求する。

 これらの措置は、虚偽の証言、偽のレビュー、およびその他の欺瞞的な支持に取り組むための FTC の取り組みに基づいている。これには、否定的なレビューを抑圧するという過去の慣行について、オンライン・ファッション小売業者の Fashion Nova に異議を唱え、推奨、推奨ガイドの更新案に関するパブリック コメントの募集、マーケティング担当者およびプラットフォーム向けのオンライン・レビュー管理に関するビジネス・ガイダンスの発行等 700 人以上のマーケティング担当者に偽のレビューやその他の誤解を招く恐れがあることを通知することが含まれる。(Radio Insight記事から抜粋)

 今回の和解同意は、iHeartMediaの推奨文言と証言の分野での他のFTCの法執行措置に引き続いて行われた。FTCの法執行としては、たとえば、2022年2月、FTCは、” Teami、LLC”(注7)が欺瞞的な推奨を使用して販売および販売した製品を購入した消費者に93万ドル(約1億2200万円)以上を返還した。

 また、FTCは2020年3月にTeamiとその所有者に対して訴訟(注7)を起こし、強い影響力を持つインフルエンサーが製品を宣伝するために支払われたことを適切に開示せずに、著名なソーシャルメディアのインフルエンサーによる推奨のために金銭を支払ったと主張した。

 このような法執行措置に加えて、FTCは2021年10月に700社以上の企業に罰則違反の通知(注8)を配布し、承諾や証言に関する欺瞞的または不公正な行為に従事すると、各違反行為ごとに最大43,792ドルの民事罰が科せられる可能性があることを通知した。

 今回提案されたFTC同意命令は、行政管理上の苦情を発行し、提案された同意合意を受け入れるためのFTCの投票結果は、5-0 であった。FTC は、近日中に連邦官報に同意契約パッケージの説明を掲載する予定であり、連邦官報に掲載されてから30日間のパブリックコメント期間の対象となる。処理が完了すると、コメントは Regulations.gov に投稿される。

(3)関係機関の責任者の声明

 FTCの消費者保護局のサミュエル・レヴィン(Samuel Levine)局長は、

 Samuel Levine氏

 「GoogleとiHeartMediaはインフルエンサーにお金を払って使用したことのない製品を宣伝し、広告ルールの真実を露骨に軽視していることを示している。連邦取引委員会は、欺瞞的な広告を取り締まり、規則を破る企業が代償を払うようにするために、州内のパートナーと協力することをやめない」と述べた。

 また、マサチューセッツ州司法長官のモーラ・ヒーリー(Maura Healey)氏は

Maura Healey氏

 「人は直接の経験を重視するのが常識である。消費者は、ラジオ広告が製品について真実で透明性があり、偽の推奨で誤解を招くものではないことを期待している。本日の和解により、Google と iHeart はこの欺瞞的な広告キャンペーンの責任を負い、州法および連邦法を遵守することが保証される」と、述べている。

 カリフォルニア州司法長官府の職員は Radio Insight に対し、Google が罰金の矢面に立たされ、iHeartMedia が $400,000 を要求されるだろうと語った。

 Google は、インターネット関連のサービスと製品を専門とする多国籍テクノロジー企業である。テキサス州サンアントニオに本社を置く iHeartMedia は、米国最大のラジオ局所有者であり、850 以上の AM および FM ラジオ局と、毎月 2 億 4500 万人以上のリスナーに届くインターネット ラジオ ネットワークを所有している。

 FTCの行政訴状は、このような企業の不実表示が FTC 法に違反していると主張している。

 FTCは、アリゾナ州カリフォルニア州ジョージア州イリノイ州マサチューセッツ州ニューヨーク州、およびテキサス州の7司法長官事務所の支援に感謝すると述べた。

(FTCの注)FTCは、法律が違反されている、または違反されていると「信じる理由」があり、手続きが公益にかなうとFTCが思われる場合、行政不服申し立てを発行する。委員会が最終的に同意命令を出すと、それは将来の行動に関して法的効力を持つ。このような命令に違反するたびに、最大 46,517 ドル(約632万6000円)の民事罰が科される場合がある。

2.わが国の誇大広告に関する法律の規制対象と罰則規定と運用の実態

(1) 誇大広告に関する法律の規制対象と罰則規定の概要

弁護士 中村 望氏の解説を以下、一部抜粋する。

 誇大広告とは、それ自体は法律上の用語ではありませんが、商品やサービスの内容・価格などが、実際のものより優良または有利であると消費者に誤認させるような表現を用いる広告のことをいいます。また、法規制上認められていない効果効能や科学的根拠のない効果を謳う広告も誇大広告に該当します。

主な法律として、以下の3つが挙げられます。

①景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)

②薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)

③健康増進法

不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景品表示法」という。)は、不当な景品表示により、一般消費者の自由で合理的な選択を妨げる可能性のある行為を制限・禁止し、一般消費者の利益を保護することを目的として定められた法律です。景品表示法上での“表示”とは、顧客を誘引するための手段として行う広告や表示のことをいいます(同法第2条第4項)

景品表示法より禁止されている不当表示は、以下の3つの種類に大別されます。

①優良誤認表示

例えば、「運動や食事制限は一切なしで、簡単に3キロ痩せる」、「一週間飲み続けると誰でも身長が5センチ伸びる」など、科学的根拠もなく、商品を使用するだけで著しい効果が得られるような表現を使用した場合、優良誤認表示に該当する可能性が高いです。

②有利誤認表示

商品やサービスの優良誤認表示とは、商品やサービスの品質や内容が、著しく優良であるかのように誤認させるような表示や表現をいいます。販売価格や販売条件が、実際より有利であると誤認させるような表示や表現をいいます。

例えば、期間限定のキャッシュバックキャンペーンなどで、消費者に「今すぐに買わないと損だ」と思わせておきながら、記載された期間終了後も同じ条件のキャンペーンを継続する場合などは有利誤認表示に該当します。

③内閣総理大臣が指定するもの

工作物、有価証券など、特定の商品やサービスについては、紛らわしい表示や正しい判断を困難にさせる表示を内閣総理大臣が特に指定して禁止しています。

  景品表示法の規制対象は、商品やサービスを供給する事業者のみです。原則として、広告代理店、新聞社、出版社、放送局等は、商品・サービスの広告の制作等に関与していても、当該商品・サービスを供給している者でない限り、規制の対象とはなりません。(注9)

 近年、インターネットの普及に伴い、アフェリエイターやアフェリエイト・サービス・プロバイターに商品の広告を委ねる企業が増えていますが、アフェリエイターやアフェリエイト・サービス・プロバイターは、アフェリエイト・プログラムの対象となる商品を売る事業主ではないので、原則として、景品表示法の規制を受けることはありません。

【罰則】

 景品表示法に違反する不当な表示等の疑いがある場合、消費者庁と都道府県は、企業への事情聴取、関連資料の収集などの調査を行います。調査の結果、違反が認められた場合は、企業に対して、違反の対象となる内容の排除、再発防止策の実施等を求める措置命令を発令します。措置命令に従わない場合は、2年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科が科せられます(同法第36条)。

 また、優良・有利誤認表示が認められた場合、課徴金納付命令の対象となり、政令で定める方法により算定した売上額に3%を乗じた額を課徴金として納付することを命じられる可能性があります(同法第8条)。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」という。)は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器の品質、有効性および安全性の確保を主な目的とした法律です。2014年の薬事法改正により、名称変更され、医薬品や医療機器等を取り巻く環境の変化や、再生医療の実用化に向けた動き等に対応した内容となりました。

 薬機法の規制対象は、本来は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5種類です。ただし、健康食品などの薬機法の規制対象外の商品でも、広告などで医薬品のような効能を謳う商品については、規制の対象となります。

 薬機法第66条には以下のように定められています。

 “何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。”

 「何人」も対象になるため、景品表示法とは違い、商品やサービスを供給する事業者だけではなく、広告代理店、新聞社、出版社、放送局、アフェリエイターなども対象となります。

【罰則】

 第66条に定められた虚偽又は誇大広告の禁止に違反した場合、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはこれらの両方が科せられます。

 健康増進法では、健康保持・増進効果に関する虚偽・誇大広告が放置された場合、これを信じた国民が適切な診療機会を逸してしまうなど、重大な支障が生じるおそれがあることから、食品として販売されている商品の虚偽・誇大広告を規制しています。

健康増進法

 健康増進法の禁止対象となる誇大表示の典型例として、以下のような表現が挙げられます。

①特定の疾病の改善又は予防効果を目的とする表現

例:末期がんが治る、血糖値が気になる方向け、高血圧の方に最適など

②身体組織昨日の一時的増強・増進等を目的とする表現

例:免疫力の向上、疲労回復に効く、老化防止効果ありなど

③含有する食品または成分の量(内閣府令で定める事項の例)

例:ビタミンA〇〇mg配合、大豆〇〇g含有など含有する食品または成分の量については、虚偽の内容の場合のみ、規制対象となります。

【罰則】

 健康増進法には、国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがある場合、その表示に関して必要な措置をとるべき旨の勧告、また勧告に従わなかった場合は命令が発令されることが定められています(同第66条)。

 さらに、命令に従わなかった場合は、6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金という罰則が適用されます(同法第71条)。

(2)規制法の運用実態

 消費者庁「景品表示法違反被疑事件の調査の手順」から抜粋する。

 わが国の法執行自体、法律に罰則規定があっても、その運用の実態を見ると消費者庁の解説を見る限り、いずれも「措置命令」であり「課徴金納付命令」に至っていない。

 このような法執行の実態はその他の法律、例えば個人情報保護法に違反に対する罰則の運用の例でも同様である。

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(注1) Pixel 4・Pixel 4aは、アメリカのGoogleによって開発された第4世代移動通信システム対応のSIMフリースマートフォンである。2019年10月に販売開始。

(注2) 米国のネットラジオ「iHeartRadio」は、登録ユーザー数が3000万人を突破したと発表した。iHeartRadioはネットラジオの分野では、最大規模のPandora Radioに次ぐ第二勢力。 運営するのは、全米最大のラジオ・ネットワーク「Clear Channel Communicarions (クリア・チャンネル・コミュニケーションズ)」。iHeartRadioは無料で1500局以上のラジオ局が聴けたり、カスタマイズ可能なアーティストラジオが生成できる、パーソナル聴き放題音楽サービスである。(All Digital Musicの解説から抜粋)

(注3) 投稿日:2021.03.13弁護士 中村 望氏「誇大広告に関する法律の規制対象と罰則規定を解説」を引用した。

(注4) 11月29日【法務大臣】の記者会見時の答弁

 大変重要な御指摘だと思いますけれども、法務大臣としての立場でお答えさせていただくしかないかなと思っています。まず私としては、寄附の不当な勧誘によって生じた被害を救済するという観点から、まずは国内において必要な措置を講じていくことが、大臣として重要であると考えています。

 御案内のように、現在、寄附の不当な勧誘による被害の救済を容易にするため、「消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案」が既に閣議決定されているほか、寄附に関する新法が消費者庁において検討されています。

 法務省としては、それらの法律案中、当省の所管事項に関する事項について必要な協力をするなど、引き続き被害者の救済に向けた取組に万全を尽くしてまいりたい、我々ができることをしっかりやっていくということに尽きるだろうと思います。

  ただ、刑法上の問題のあるものにつきましては、捜査機関の活動内容に関わるということもあるので、法務大臣としてコメントは難しいかなというふうに思っています。(法務大臣閣議後記者会見の概要-令和4年11月29日(火)から一部抜粋)

(注5)(2) FTCの事件処理手続

 ア 審査手続

 FTCは、特定事件について審査を開始するときには、職員の中から審査官を指定し、これに審査を行わせる。審査官は、連邦取引委員会法第9条に基づく罰則付き命令(Subpoena)による書証提出命令、出頭命令等及び同法第20条に基づく民事審査請求(Civil Investigation Demand :CID)による文書提出命令、口頭供述命令等を行うことができる。

イ 同意命令

 FTCは、違反事件の審査の結果、法的措置を採ることが相当であると判断したときは、まず、関係人にFTCの申立てを記載した文書(Complaint)及び排除措置命令案(Orders to Cease and Desist)を送付し、これらの内容につき交渉し、合意に達した場合には、合意内容を踏まえた同意命令案を作成し、委員会の議決を経て、通常30日間のパブリック・コメントを行う。その後、再度委員会の議決を経て、同意命令(Consent Order)を発出する。

 また、下記ウの審判開始決定後であっても、同意命令の手続を行うことができる。審判開始決定後、被審人との間で同意された同意命令案が審判官を通じてFTCに付託される。この場合も、同案を官報に掲載し、一般からの意見を求めることとなる。FTCは、当該意見等を考慮して、再審査を行い、同意命令を発出する。

 同意命令は、審判手続を経た命令ではない。したがって、同一の事案について後に損害賠償請求訴訟が提起されても、同意命令による事実や違法性についての推定といった効果は発生しない。(公正取引委員会・各国・地域の競争法・米国から一部抜粋)

(注6) 【Android】ナイトモード(夜間モード)とは

 Android OSバージョン9.0以降が搭載されているスマホには「ナイトモード」とよばれる機能が付いていますが、この「ナイトモード」とは一体どんな機能なのでしょうか?

 Androidを「ナイトモード」に設定すると、スマホ画面の色が従来の青みがかった色調から赤みを帯びた暖色系の色調に調整され、ディスプレイに表示されます。

 また、同時にスマホ画面の明るさ(輝度)も制御してくれるため、夜間など、周囲が暗い中で急に明るいスマホ画面を見た時に感じる強烈な光から瞳を守ってくれる効果も期待できます。

 暗い場所でも画面が見やすい!目に優しい機能!

 夜間や明かりの消えた暗い部屋などでスマホ画面を操作する必要があるとき、「ナイトモード」に設定しておけば画面にフィルターがかかり、体内リズムを狂わせるブルーライトの光もやわらいで、瞳を守ってくれます。(APPTOPIの解説12/9⑫から抜粋)

(注7) 連邦取引委員会は、Teamiが欺瞞的な健康強調表示を使用して販売および販売したお茶製品を購入した消費者に93万ドル (約1億2600万円)以上を返還させた。

 FTCは2020年3月17日にTeami、LLC.とその所有者を訴え、同社が偽の健康強調表示を行い、被告の製品を宣伝するために支払われていることを適切に開示しなかった有名なソーシャルメディアインフルエンサーからの推奨文言に対し報酬を支払ったとするフロリダ州中央区連邦地方裁判所の永久差止命令及び金銭判決(Stipulated Order for Permanent Injunction and Monetary Judgment) (330.77 KB)を得た。

 Teamiは、信頼できる科学的証拠なしに、「Teami 30日間デトックスパック(Teami 30 Day Detox Pack)」が消費者の1)体重を減らすのに役立ち、他のお茶が2)癌と戦い、3)詰まった動脈を取り除き、4)片頭痛を減らし、5)インフルエンザを治療および予防し、5)風邪を治療すると主張したと判示された。

(注8) FTCの罰則違反の通知とは何か?

 FTCが不当または欺瞞的に行動した企業に対して罰則を受けることができる1つの方法は、FTC法のセクション5(m)(1)(B)、15 U.S.C. §45(m)(1)(B)にある罰則違反当局を介することである。この権限の下で、FTCは、(1)会社がFTC法に違反して行為が不公正または欺瞞的であることを知っていたこと、および(2)FTCがそのような行為が不公正または欺瞞的であるという書面による決定(以下を参照)をすでに発行していたことを証明した場合、民事罰を求めることができる。

 この権限を発動するために、FTCは企業に「罰則違反の通知」を送ることができる。この通知は、FTCが1つ以上の行政命令(同意命令を除く)でFTC法に違反して不公正または欺瞞的であると判断した特定の種類の行為をリストした文書である。 この通知を受け取ったにもかかわらず禁止された慣行に従事している企業は、違反ごとに最大46,517ドルの民事罰に直面する可能性がある。

 会社に通知が送られたからといって、FTCが法律に違反していると信じる理由があることを示すものではない。むしろ、FTCは、企業が法律を理解し、法律を破ることを思いとどまらせるために、これらの通知を送信する。(FTCのNotices of Penalty Offensesから抜粋、仮訳)

(注9)この点は米国FTC法と異なる規制方法といえるであろう。

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