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ソーシャル・メディア・プラットフォームの偽のフォロワーや同類の業者をいかに規制すべきか?

 

 近年、偽のフォロワーや偽の同類の慣行がソーシャルメディア全体に広がっている。”Facebook”や”Instagram”などのソーシャルメディア・プラットフォームは、いわゆる「不正行為」を取り締まっていると発表してはいるが、その慣行は依然として普及、拡大している。

 ソーシャルメディアで広告を出しているブランド企業の場合、偽のフォロワーや同類のものにお金を払うのは魅力的である。すなわち消費者の目にブランドの正当性を追加することで競争力を高めることができ、有名人推薦のお得な情報が利用されている。

 しかし、その利点には反面、重大な法的リスクや新たなIT新技術のリスクが伴う。偽の好き嫌いや信者を違法に購入することによって、ブランド企業は方執行機関からの執行措置および競合他社によってもたらされた誤った広告に関し賠償請求等に直面する可能性があるといえる。

 やや古くなるが、2019年1月30日、ニューヨーク州司法長官レティーシャ・ジェームス(Letitia "Tish" A. James ) (筆者注1)が「偽フォロワーの販売は「違法」とする初めての司法判断」と当該業者グループと「和解」を行った旨公表した。(筆者注2)

 筆者は、選挙運動や世論操作等にも関係するこの問題の重要性を理解してはいたが、このほどこれらの問題点を法的にまとめたロバート・フロイント(Robert Freund )弁護士のレポートを読んだので、その内容を仮訳するとともに補足説明することとした。

 また同時に、ソシャル・メディアが次々と新規参入する一方で、米マーケテイング業界代表であるBBB(Better Business Bureau)がいかにに厳しい目でチェックしているかにつき、併せて解説を試みる。

1.ニューヨーク司法長官による画期的な決定「偽造品エンゲージメントの販売は違法

 (1)司法長官の違反会社デヴ―ミとの和解

 2019年1月30日、ニューヨーク州司法長官 レティーシャ・A・ジェームス(Letitia "Tish" A. James )(61歳)は、問題の会社「Devumi(デヴ―ミ)」は、他人の身元を盗み、ソーシャル・メディア・プラットフォーム上で偽のフォロワーや同類のものを販売することを禁止する旨の「和解」を行ったと発表した。

 Letitia "Tish" A. James 長官

 ジェームス長官は、「今般の『和解』が偽のソーシャルメディアへの関与を売り込み、盗まれた身元を使用してオンライン活動に関与していることを違法とする法執行機関が行った最初の事例である」と発表した。

 この「和解」によると、デヴ―ミの顧客は、俳優、音楽家、運動選手、造形会社から、ビジネスマン、政治家、解説者、学者まで多岐にわたった。これらの顧客は、自分や自分の製品が実際よりも人気がある(つまり、より合法的である)ことを一般に知らせることを望んでデヴ―ミのサービスを購入した。 司法長官は、デヴ―ミのサービスは「詐欺的にソーシャルメディアの視聴者の意思決定すなわち、何を買うかについての消費者の決定スポンサーの対象に関する広告主の決定や政策立案者、有権者、ジャーナリストによる、どの人々や政策が公的支援を受けているかについての決定等に広く影響を及ぼそうとしている」と述べた。

 デヴ―ミとの「和解」は金銭的な罰を科すものではないが、同様のサービスに対するさらなる行動の扉を開き、司法長官は将来の加害者が金銭的な罰則を受ける可能性があると警告した。なお、デヴ―ミは、司法長官による調査の開始と関連する宣伝のために売上が大幅に減少した直後、2018年半ばに業務を停止した。

(2) 今後、売り手は用心する

 ニューヨーク司法長官のデヴ―ミとの和解は、偽の信者や同類の売り手を扱っているだけだが、偽の契約を購入した企業も政府機関や規制当局からの法執行措置に直面する可能性がある。また、偽造品を購入したブランド企業が競合他社によって提起された民事訴訟の対象になる可能性があり、潜在的な財務上のエクスポージャーがはるかに大きくなる可能性がある。

 すなわち、合法的なソーシャルメディア・マーケティング・キャンペーンを実行していており、偽の好きな人やフォロワーを購入しているブランド企業にビジネスを失った競合ブランド企業は、「連邦商標法(Lanham (Trademark) Act :15 U.S. Code § 1125. False designations of origin, false descriptions, and dilution forbidden )」および/または「カリフォルニア州不正競争法(Cal. Bus. & Prof. Code § 17200, et seq.:UCL)」などの不正競争法等に基づき損害請求を取り戻すことができる。

 米商標法(Lsnham Act)は、「商品またはサービスに関連して、またはそれに関連して、他人によるスポンサーシップ、または商品、サービス、または商業活動の承認について欺くこと、または商業広告において、商品、サービス、またはコマーシャルの性質、特性、品質、または地理的起源を誤って表すこと活動により、虚偽または誤解を招く事実の説明または虚偽または誤解を招くような事実の表現を商業上使用する者に責任を課す」

 ソーシャル・メディアへの投稿に対する偽の好き嫌い(いいね)は、連邦商標法に基づく「広告主の」商品、サービス、または商業活動の承認」についての誤った声明を構成する可能性がある。同様に、偽のフォロワー数は「商業活動」の本質または承認を誤って表現する可能性があり、当該ブランドを消費者の間で人気があると信じるように大衆を欺くことになる。

 一方、連邦取引委員会(FTC)は、偽物を購入することは違法であることに同意する。特定の活動がFTC法に違反する可能性があるかどうかを国民が理解するのを助けるためのガイドラインを発行した。すなわち、FTCは、「The FTC’s Endorsement Guides: What People Are Asking」において「偽の「いいね」を購入した広告主は、実際の消費者からの「いいね」のためのインセンティブを提供する広告主とは非常に異なる」と述べた。「好き」が存在しない人々または製品やサービスの使用経験のない人々からのものである場合、それらは明らかに詐欺的であり、偽の「好き」の購入者と販売者の両方が法執行に直面する可能性がある。

 FTCガイドラインを法執行するための民事公訴権(private right of action )はないが、同ガイドラインは連邦商標法に基づき虚偽広告を構成するものを知らせることができると明記する。(筆者注3) 同様に、FTC法の違反(FTCガイドラインに記載)は、カリフォルニア州のUCLを含む、州の消費者保護法の下で民事請求の根拠となり得る。(筆者注4)

  デヴ―ミとの和解により、偽のソーシャルメディアによるエンゲージメントの売り手に対する民事訴訟の道が開かれたが、買い手は、同様の結果に直面する可能性があることに注意する必要がある。州政府等の法執行行動と競合他社による民事訴訟の両方のリスクがあるため、ブランド企業はソーシャルメディアの足跡を人為的に増やすという誘惑に抵抗し、代わりに本物の人気を得ることに集中する必要がある。

 逆に、合法的に事業を行っているが偽造品を購入している競合他社にビジネス機会を失っているブランド企業は、連邦商標法の使用を検討し、不公正競争法を競争の場をより平等に保つためのツールとして考えるべきである。

2.2019年1.月30日のジェームス長官のリリース内容

 事実関係も含め、後記3.で述べる内容とほとんど重複するので略す。

3.米国BBB(Better Business Bureau)がいかにに厳しい目でデヴ―ミに類するビジネスをチェックしているか

 米国BBBのGovernment Action:NY AG and Florida AG Announce Settlements With Sellers Of Fake Followers And “Likes” On Social Media」 の中心部を仮訳、同時に補足する。

 デヴーミに関する司法長官の調査結果は以下のとおり。

 Devrupt LLCとドイツのCalas、Jrが所有する関連会社であるDisruptX Inc.、Sociall Bull Inc.および Bytion Inc.(以上をまとめて「デヴ―ミ」という)は、 ソーシャル・メディア・プラットフォームのユーザーに、偽のフォロワー、「いいね」意見、その他の形式のオンラインでの支持と活動を販売した。デヴ―ミは、1)インターネットにおける自作自演(sock puppet accounts)とは、一つのウェブサイト上で、一人の人間が、同時に複数の人間が活動しているように見せかける行為を行った、2)挑発的メッセージを投稿するTroll、3)脆弱性のある多数のコンピューターを悪意を持って支配するボット(Bots)」等を使用して詐欺行為を行った、これらのボットおよびソックパペット・アカウントは、実際の人々の本物の前向きな意見を表現するふりをしていた。また、4)場合によっては、デヴ―ミは本人のソーシャル・メディアのプロファイルを「同意なし」にコピーした偽のアカウント(名前や写真など)を提供していた。

 さらに、デヴ―ミは、ソーシャル・メディア・インフルエンサー(Social Media Influencer :特定の業界で信頼性を確立しているソーシャルメディアのユーザーである。 大勢の聴衆にアクセスでき、彼らの信憑性と範囲によって他人を説得することができる)からの推薦を、インフルエンサーが彼らの推薦に対して支払われたことを開示することなく売却した。インフルエンサーの意見が、彼らが支持するあらゆる製品、会社、サービス、または人の評判と販売に特に強い影響を与える可能性があることを考えると、これは特に厄介である。

 これらのビジネス・プラクティスは、何を買うかについての消費者の決定スポンサーの対象に関する広告主の決定政策立案者、有権者、そしてジャーナリストによる、どの人々や政策が公的支援を受けているかについての決定につき、ソーシャルメディア・オーディエンスの意思決定につきだましたり、影響を及ぼそうとしていた。

 その他の多くのデヴ―ミの顧客は、偽の活動や支持を買っていることを知っていたが、デヴ―ミの商慣行は、誤って彼らが本物の保証を支払っていると信じていた自社顧客の一部を欺きました。デヴ―ミはまた、偽の活動を禁止する方針を持つソーシャルメディア・プラットフォームを偽った。

4.筆者のコメント

 以上述べたとおり、ロバート・フロイント弁護士のコメントは今後の類似のビジネスの乱立とその法規制の在り方につき、1つのヒント与えてくれると思う。

 時間の関係でここに引用されているFTCのFAQガイドや先例判決の内容には立ち入らないが、機会を改めて整理してみたい。

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(筆者注1) Letitia "Tish" A. James (born October 18, 1958)司法長官のプロファイルを簡単に述べる。

 ニューヨーク州では、民主党のレティーシャ・A・ジェームス現ニューヨーク市政監督官(Letitia “Tish” James)が、キース・ウォフォード氏(共和党)を下し、アフリカ系黒人として初めての司法長官の座を確実にした。開票36.17%の時点で、ジェームス氏が78.79%を獲得。ウォフォード氏の19.69%に大差をつけた。

 ニューヨーク州では、エリック・シュナイダーマン元司法長官が性的暴行疑惑で2018年5月に辞任した後、バーバラ・アンダーウッド氏(Barbara Underwood)がNY州としては初の女性司法長官を務めていたが、同氏は出馬しなかった。

 ジェームズ氏は、トランプ氏の慈善財団や、政権の移民政策や環境政策に対するニューヨーク州による提訴事案を継続担当し、トランプ政権と引き続き対決していくことを表明している。

 

2019.1.1 司法長官に就任

Education

ニューヨーク市立大学のレ―マンカレッジCity University of New York, Lehman (BA:学士)

ハーバード大学Howard University (JD:法学博士)

コロンビア大学Columbia University (MPA: 公共経営修士)

 なお、ニューヨーク州という激戦区の司法長官に選ばれたことは政治家(民主党)としてみたときに興味深い点であり、また、鮮明に反ランプの政治姿勢を明らかにしていることもきわめてユニークである。

 また、大学でのスピーチや就任スピーチをYoutube等で見たが、見かけの強引さだけでなく、優しい母親でもあり、ユーモアもありそうである。筆者も時間を見て同司法長官にEメールを送ってみたい。(返事が来るか(笑)?)

(筆者注2) 2019年1 月29日の BBC(日本語版)の記事は以下のとおり説明している(一部抜粋)。なお、記事の中でSNS用語が使われているので、筆者なりに補足した。

 デブーミ社のウェブサイトを見ると、同社は顧客に対し、ツイッターのフォロワー最大25万人までの注文を受け付けている。価格は12ドル(約1300円)から。「いいね!」やリツイートも購入できる。

Pinterest(ネット上のWebサイト・あるいはPinterest上にある画像を自分のボードに集めることができる画像収集サービス)やLinkedIn(世界最大級のビジネス特化型SNSおよび同サービスを提供するシリコンバレーの企業)、SoundCloud(ドイツのベルリンに拠点を置くSoundCloud Limitedが運営する音声ファイル共有サービス)やユーチューブなどについても、フォロワーを販売している。

同社のウェブサイトには「私たちは20万以上の事業、著名人、音楽家、ユーチューバー、その他のプロを支援してきました。注目度を高め、客に大きな影響を与えられるよう、お手伝いしてきました」と書かれていた。

会社登記はニューヨーク市だが、ニューヨーク・タイムズ紙によるとこれは見せかけで、実際の事務所は米フロリダ州にあるという。また、フィリピンでも従業員を雇っているという。

(筆者注3) Grasshopper House, LLC v. Clean and Sober Media LLC et al 事件判決はManning Int'l Inc.対Home Shopping Network、Inc.事件(152 F. Supp. 2d 432,437(SDNY 2001)を引用して、「原告は、Lanham法に基づく虚偽の広告を主張するための基礎としてFTCガイドラインに頼ることができ、また依拠すべきである」と述べた。 

(筆者注4) See Rubenstein v. Neiman Marcus Grp. LLC, 687 F. App’x 564, 567 (9th Cir. 2017)(“[A]lthough the FTC Guides do not provide a private civil right of action, ‘[v]irtually any state, federal or local law can serve as the predicate for an action under [the UCL].’”) (quoting Davis v. HSBC Bank Nev., N.A., 691 F.3d 1152, 1168 (9th Cir. 2012)).

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