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FTCがCOPPA違反訴訟でこれまでの最大額の金銭的和解を獲得

 

 2019年2月27日に、米国連邦取引委員会(FTC)(筆者注1) は 、「1998年児童オンライン・プライバシー保護法(CHILDREN'S ONLINE PRIVACY PROTECTION ACT, 15 U.S.C. §§6501-6506:COPPA)」(筆者注2) に基づき、570万ドル(約6億2,700万円)のこれまでにない高額の記録的な民事罰に関し、リップシンク(lip-syncing) (筆者注3)・ビデオ・ソーシャル・ネットワーキング・アプリ(TikTok)の運営会社(北京字節跳動科技有限公司(ByteDance))と和解したと発表した。

 このFTCのCOPPA訴訟、和解は、罰金額の大きさだけでなく、別途、民主党系委員であるレベッカ・スローター氏(Rebecca Slaughter)氏とロヒット・チョプラ(Rohit Chopra)氏の2人の民主党推薦委員による共同声明(JOINT STATEMENT OF COMMISSIONER ROHIT CHOPRA AND COMMISSIONER REBECCA KELLY SLAUGHTER)が、将来のFTCの法執行は、FTC違反企業の執行役員や部長等の個人に対しても、消費者保護法違反につき責任を適用すべきであると述べた点も注目されている。

 Rebecca Slaughter氏(FTCサイトから引用)

 Rohit Chopra氏(FTCサイトから引用)

 このニュースわが国でもCNET、 AFP等が簡単に紹介しているが、リンク先が間違っていたり(筆者注4)、説明内容が不十分(筆者注5)である。また、FTC自身のリリース文もわが国の読者にとって決して十分な内容とは思えない。

 特に、13歳以下の子供のプライバシー保護を厳しくチェックするCOPPAやその運用ガイダンスを定めるFTCのCOPPA規則(CHILDREN'S ONLINE PRIVACY PROTECTION RULE)(筆者注6)まで立ち入って解説を正確に理解することは、わが国の親であれば必須の責務であると考えるのは、筆者だけであるまい。

 今回のブログは、これらの課題につき比較的丁寧に説明しているHogan Lovells LLPのブログをベースに仮訳し、またFTCのリリース内容等に基づき筆者なりに補足説明を加えた。

 なお、このような米国の監督機関の強化の動向を見る一方で、筆者は2月28日にわが国の内閣府が発表した「平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)(平成31年2月)」の内容を読んであらためての重大な問題傾向を認識した。インターネットの使用時間の長さだけでなく、最後に取り上げるがスマホ等インターネットの利用内容の上位を占めるのはいずれの年齢層でも、「動画視聴」、「音楽視聴」、「ゲーム」などという点である。今回取り上げる米国の法執行機関、人権擁護団体の具体的な活動内容を正確に理解すべきと考え【補足】を追加した。

1.COPPAの基本的な保護内容

 COPPAは、13歳未満の子供から個人情報を収集するという13歳未満の子供を対象としたWebサイトおよびオンラインサービスの運営者ならびに13歳未満の子供から個人情報を収集するという実際の知識を持つ運営者に適用される。今回告発された問題の動画アプリである”TikTok”としても知られている”Musical.ly” (筆者注7)では、ユーザーはリップシンクのビデオを作成して公開することができる。 ユーザーは、アカウントを「フォロー」したり、ビデオにコメントを付けたり、直接メッセージを送信したりすることで互いに対話できる。 

2.Musical.lyアプリの運用の実態に基づくCOPPAの適用問題

(1) FTCによると、”Musical.ly”は、ユーザーの「姓名」、「オンライン連絡先情報」、「短い略歴(プロファイル)」、「ユーザー間の直接メッセージの内容」、「ユーザーの画像や音声を含む写真やビデオ」など、ユーザーから個人情報を収集した。 ユーザーのプロファイルはデフォルト(初期設定)で「公開」に設定されている。 ユーザーがデフォルト設定を「公開」から「非公開」に変更しても、ユーザーのプロフィール写真と略歴は他のユーザーには表示されたままとなる。

 また、 ユーザーは、他のユーザーから直接メッセージを受け取ることもできる。さらに、FTCは、しばらくの間、アプリがユーザーのデバイスの位置情報を収集して、ユーザーが半径50マイル以内の他のユーザーのリストを表示できるようにしていたと主張した。

(2) FTC は、訴状で以下の点で、同アプリの内容はCOPPAの適用対象となるものであり、管理されていると主張した。 

① Musical.lyは13歳未満の子供を直接オーディエンスとしてターゲットにした。 アプリの性質には子供向けのアクティビティ(短いリップシンクのビデオの作成)が含まれるため、アプリの音楽オプションには「ディズニー」や「学校」などの子供向けのカテゴリがある。お互いに絵文字 、そしてユーザーの大部分が13歳未満であることが判明しており、FTCは同アプリが「 13歳未満の子供たちに向けられたオンラインサービス 」であると主張した。

② Musical.lyは、アプリが13歳未満の子供から情報を収集していることを実際に知っていた。Musical.lyは、13歳未満の子供たちが知らないうちにアカウントを作成したという親からの苦情を数千件受信したとされている。同アプリは2017年に新規ユーザーの年齢選別を開始したが、既存のユーザーにはそうではなかった。さらに、FTCは、デフォルト設定が公開から非公開に変更された場合でも、ユーザーベースの年齢はすべてのユーザーに表示されるプロフィール写真および経歴から容易に明らかであると主張した。  FTCの苦情は、アプリを介して「子供と連絡を取ろうとしている大人の多くの公開レポート」を参照していた。 

(3) FTCは、Musical.lyが次の点で具体的にCOPPAに違反していると主張した。

① サービス上の目立つ通知や、子供の個人情報に関するアプリの慣行についての親への直接の通知なしに、13歳未満の子供から情報を収集した。 

② 13歳未満の子供の個人情報を収集または使用する前に、検証可能な保護者の同意を得ていない。 

③ 親から直接要請された場合、そのような子供の個人情報を削除しなかった。

④ 収集された目的を達成するために合理的に必要な期間を超えて、子供の個人情報を保持した。

⑤ 13歳未満の子供によるアカウントの作成に関する親の苦情に応えて、Musical.lyはアカウントを無効にしたとされるが、アカウントに関連するコンテンツを削除しなかった。 

3.Musical.lyの罰金外の同意内容

 570万ドルの罰金に加えて、Musical.lyは、13歳未満の子供のユーザーアカウントに関連するすべての個人情報を、所持、管理または管理下で破壊するか、または検証可能な保護者の同意を得ることに同意した。(筆者注8) 

4.委員2名による企業の役員や部長など個人責任追及に関する共同声明の内容

 共同声明の中で 、コミッショナーのレベッカ・スローター氏とロヒット・チョプラ氏は、FTCの調査中に「運営する大企業の個人はしばしば精査を避けてきた」と述べた。 食肉処理場とチョプラは変更を求め、欧州委員会に「執行役員と役員の役割を明らかにすることを優先すること」を求め、責任ある個人に説明責任を持たせるよう求めた。(3人の共和党系委員はいずれもこの声明に参加しなかった)。

 特に、この共同声明は、プライバシーの侵害およびその他の消費者保護法に基づく組織的責任だけでなく、役員等個人の責任理論を追求する少なくとも一部の消費者保護当局における取り締まり強化と一致している。

5.連邦司法省との連携と同意判決の意義

 FTCによると、連邦司法省はFTCに代わりカリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所(U.S. District Court for the Central District of California.)に訴状を提出し、「同意判決(consent decree)」を提案した。すなわち、FTCはは、法律が違反された、または違反されていると「信じる理由」があり、訴訟が公益のためであるとFTCに告発されたとき、訴状の提出を承認します。この同意判決は、地方裁判所の裁判官によって承認され署名された時点で法的効力を持つ。

6.FTCに協力した消費者保護団体

 FTCシモンズ委員長は、リリースの最後でこの問題に注意を向ける手助けをしてくれた米国のプライバシー擁護団体Better Business BureauのChildren's Advertising Review Unit(CARU)に感謝すると述べている。

 

補足】2019.3.4 追加

 2月28日内閣府は2月28日、青少年のインターネット利用環境に関する2018年度の実態調査結果を発表した。メディアの記事を読むと、平日1日当たりの小学生の平均利用時間は前年度より21分増えて1時間58分となった。中学生も15延び2時間44分、高校生は3分増の3時間37分というような記事が目についた。

  しかし、筆者がもっとも懸念した点は前文で触れたとおり、児童が1人で親の監視下でない状態で動画、ゲーム等を行い、かつその内容につき親は99%無関心または無理解という点である。

 子供は将来の大人予備軍であり、プライバシ―権の正確な理解がないまま大人になること自体大きな社会的問題であると考える。その意味でこれらの問題につき正面から取り上げ、啓蒙団体、コンサルテイング機関の重要性が増すといえる。(筆者注9)

2018.2.28 内閣府「平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)(平成31年2月)」から抜粋。

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(筆者注1) FTCの組織概要を記しておく。委員は5名で大統領の指名に基づき連邦議会上院で承認される。任期は7年で同一政党から2名以上が推薦され、現委員は2018年5月に選任されJoseph J. Simons委員長をはじめ共和党から3名、民主党から2名が選ばれている。最新の組織図を参照されたい。

(筆者注2) FTCは児童のプライバシーに関しては、1998年児童オンライン・プライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act of 1998, COPPA)に基づく執行権限を担っている。COPPAは、13歳未満の児童向けのウェブ・サイトやオンライン・サービスの管理者と、13歳未満の児童から個人情報を収集していることを現実に認識しているウェブ・サイトやオンライン・サービスの管理者に対して、児童の個人情報を収集、利用、開示する際に、ウェブ・サイト上での通知を行い、親から検証可能な同意(verifiable parental  consent)を得ることを義務付けている。また、親による児童の情報へのアクセス権と、以後の利用を拒否する機会等が認められている。

 FTCは、この法律を実施するための児童オンライン・プライバシー規則(Children’s Online Privacy Protection Rule)の策定権限があり、2000年4月21日に規則を施行している(小向太郎「米国FTCにおける消費者プライバシー政策の動向 」から一部抜粋)

(筆者注3)リップシンク((lip sync) 口パク(くちパク)とは、音声と同期して口元を動かすことである。実際に声を出さずに口だけパクパクと動かす様から名付けられた。1980年代からラジオ、テレビなどで「口パク」と蔑称で呼ばれることが増え始め、現在では放送業界の各所で受け入れられている技法のひとつである。少なくとも、デジタル時代に録音メディアが移行してから顕在化した技法である。(Wikipediaから一部抜粋 )

(筆者注4) Cnet japan記事はFTCサイトのリンクを行っているが、FTCのリリース文にリンクすべきところを2人の委員の共同声明にリンクさせている。修正されたい。

 (筆者注5) AFP記事は、COPPAの対象が「未成年」であると書いているが、正しくは「13歳未満」であり、解説記事としては不十分である。

(筆者注6) FTCのCOPPA規則の詳細については筆者ブログを参照されたい。

(筆者注7) FTCのリリースによると 2014年以来、世界中で2億人以上のユーザーがMusical.lyアプリをダウンロードしているが、米国では6,500万のアカウントが登録されている。

(筆者注8)  FTCのリリースによると罰金の支払いに加えて、和解同意では、アプリの運営者が今後のCOPPAに準拠し、13歳未満の子供が作成したすべての動画をオフラインにすることも同意した。

(筆者注9) 児童のプライバシー保護問題を具体的に取り上げ平易に情報提供したり、消費者意識向上、苦情等の受付を行っている海外の団体、機関、ネットワークを以下あげる。なお、各機関や団体の任務の詳細については別途取りまとめる。

① INHOPE(International Association of Internet Hotlines - INHOPE)

② Better Internet for Kids

③ INSAFE(Insafe network of Safer Internet Centres

④ オーストラリア: FOSI

⑤ 英国:London School of Economics and Political Science:EU Kids Online

⑥ フランス: Internet Sans Crainte(インタ―ネットは怖くない) 

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