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ホワイトハウスの無人航空システムの使用時のプライバシー権等に関する覚書と法制整備等の最新動向(その2)

  

Last Updated:April 30,2024

Ⅱ.ホワイトハウスの大統領覚書や連邦議会におけるUASのプライバシー保護法案の上程経緯およびFAAのUAS規則やプライバシー問題への取組み

1.ホワイトハウスの覚書(Presidential Memorandum)の内容

(1)2月15日、ホワイトハウスはオバマ大統領が大統領覚書「 Promoting Economic Competitiveness While Safeguarding Privacy, Civil Rights, and Civil Liberties in Domestic Use of Unmanned Aircraft Systems」(以下「覚書」という)に署名した旨リリースした。覚書はUASのビジネス利用に関する自主的なプライバシー標準および連邦政府機関によるUASの利用を統治する諸原則を確立するため、複数の関係者による手続きを確立するというものである。以下、その内容を仮訳する。

 覚書は、連邦航空局が策定した前述のNPRM「特定の小型UASに関する枠組み規則案(Operation and Certification of Small Unmanned Aircraft Systems:Notice of proposed rulemaking )NPRM」と同時に公布されたもので、政府や民間の状況下におけるUAS使用時におけるプライバシー侵害の懸念に関する政策立案者の一連の最新活動である。 

第1節 連邦政府機関の使用にかかるUASのポリシーと手続き

 連邦機関におけるUASは現状でも連邦の土地の管理、山火事のモニタリング、科学的調査、国境の監視、法執行の支援、軍の効率的な訓練等多くの分野で利用されている。この使用にあたり合衆国憲法、その他適用可能な規則やポリシーに合致するように個人情報は収集されねばならないし、また連邦機関は同時に「1974年プライバシー法(U.S.C.552a)」等に準拠する義務を負う。一方、データ主体は当該情報につきアクセス権や記録の修正権を持つ。 

(a)プライバシー保護

 特に連邦航空局・全米航空システム(National Airspace System:NAS)における多様な潜在的な使用に光を当てるとUAS技術の進捗が期待されるし、将来において先んじたUASの利用が見込まれることから、連邦政府はUASの持続的開発にかかるプライバシー保護やUASに関するポリシーを保証すべく手順を追うべきである。従って、連邦機関は、UASの新技術の配備に先立ってかつ少なくとも3年度ごとに保護されるべきプライバシー、市民権および市民自由権を保証すべく既存のUASに関するポリシーやUASが収集した個人情報の収集、使用、伝達にかかる手続きの検証義務が求められる。

 適用される環境下における1974年プラバシー法(筆者注6-2)の遵守要求に加え、NASにおいて収集された個人情報を収集する連邦機関は、次の要求要件を尊重した形でそのポリシーや手続を保証しなければならない。 

(ⅰ)収集および使用原則 

連邦機関はその収集または使用は認証された目的に関し、またその範囲内でのみUASを使用した個人情報の収集、またはUASの収集した個人情報を扱わねばならない。 

(ⅱ)保持期間の原則

 UASを使用して収集した個人識別可能情報(personally identifiable information:PII)を含む個人情報の収集は、保持機関の認可された任務にかかるうえで必要性があり、プライバシー法によりカバーされる記録システムまたはその他の適用法や規則により定められた長期の保持が要求される場合を除き、180日以上保持はしてはならない。 

(ⅲ)伝達(Dissemination)範囲の限定の原則

 プライバシー法に基づく記録システムにより維持されないUASが収集した個人情報は、その機関外への伝達は、法律が認めたとき、承認された目的を充足する場合または当該機関の要求される条件を遵守する限りにおける以外の伝達は行ってはならない。

 (b)市民権および市民的自由権の保護

 連邦機関は、市民権および市民的自由権を保護するため以下の行為を行うものとする。

(ⅰ)合衆国憲法修正第1に違反する手段または個人の民族性、人種、性、国籍、宗教、性的指向(sexual orientation)、性同一性障害(gender identity)に関する法違反の手段にかかる情報の収集、使用、保持または伝達に関する適宜のポリシーによる保証

(ⅱ)UASの諸活動は、合衆国憲法、適用すべき法律、大統領行政命令(Executive Order)その他大統領令(Presidential Directives)と整合性を取った方法で実行されることを保証

(ⅲ)適切なかたちでプライバシー、市民権および市民的自由に関する苦情の受付、調査に取り組む適宜の手続を保証 

(c)説明責任の遂行のための行動

 連邦機関は、効果的な監視を行うため、次の行動をとらねばならない。

(ⅰ)連邦機関のUASの使用に関し、既存の当該機関が持つポリシーや規則に準拠した監査やアセスメントに関する監視手続を保証

(ⅱ)USAのプログラム下で働く連邦職員や契約先の教育および行動基準の存在およびUSA技術の誤用や濫用のうかがわしいケースの報告に関する手続の存在を証明する。

(ⅲ)UASを使用して収集する個人情報のうちPIIを含む機微情報のアクセス可能な個人の意味ある監視を提供する現下のポリシーや手続を設定したりあるいは確認する。

(ⅳ)UAS使用に合致する適用法、規則やポリシーに適用可能なデータの共有合意やポリシー、データの使用のポリシーおよびデータ記録ポリシーを保証する。 

(d)UASの活動内容の透明性保持

 NAS内における透明性を増強するため、合理的に見てUASを使用する連邦機関は法執行や国家安全保障を危うくすると思われる個人情報の漏洩に関し、次の点で透明性を保証しなくてはならない。

(ⅰ)連邦機関のUASの使用がNASにおいてその運用が承認されている場合は、公示にかかる公表が提供されていること

(ⅱ)重要な点でプライバシー、市民権および市民的自由権の影響がある変更と同様に連邦機関のUASプログラムにつき公に公開されること

(ⅲ)一般大衆に対し、飛行任務の形式やカテゴリーの簡単な記述を含む年次ベースで前年度の予算ベースとの間のUASの運用の概要、当該連邦機関が他の連邦機関、州、地方政府、部族や特定地域に対し支援した回数を照会可能とする。

 (e)報告義務

 本大統領覚書の公布後180日以内に、連邦機関は大統領に対し本節の適用状況報告を提出しなければならない。本覚書公布日付の1年以内に連邦機関は本節の適用にかかるポリシーや手続につき国民のアクセス方法を公表する。

 第2節 複数の利害関係者の誓約手続き

 第1節で記載したUASの連邦機関の使用に加え、より優れた柔軟性、より低い資本経費や運用コストの組合せは、UASにおける都市部のインフラ管理、農業や災害時対策といった多様な側面で商業の民間部門の斬新な技術となることを認める。

 しかしながら、これらの機会は米国経済において競争力を強化する一方で、米国はプライバシー、市民権や市民的自由について潜在的な考慮を忘れてはならない。 

(a)ここではNASにおけるUASの使用に関し発行すべきプライバシー、説明責任および透明性に関する最善の実践実務の開発および対話のため複数の利害関係者による取組手続きが設置された。 

(b)本覚書の公布の90日以内に、商務省・電気通信情報局を介して、また他の関係機関と協議のうえ、民間ベースのUASの使用に関するプライバシー、説明責任および透明性についての枠組みの開発手続にかかる複数利害関係者の取組手順のイニチアチブを取ることになろう。この手続きに関し、民間航空での商業目的のUASの使用は、それが連邦法典U.S.C.40102(a)(41) (筆者注7)およびU.S.C.40125のもとで公共航空としての適格がある場合でも、民間航空の商業目的使用に含まれる。 

第3節 本覚書で使用する用語の定義

(a)「連邦機関(Agencies)」とは、NASのもとで運用するUASを実行する連邦行政執行機関(executive departments (筆者注8)および連邦政府をいう。

(b)「連邦政府による使用」とは、NASにおける連邦機関のUAS運用を意味する。連邦機関によるUASの使用には、別の連邦機関または州、地方政府、部族や特定地域に代わって行うUASの運用、あるいは連邦機関に代わりUASを運用する非政府機関を含む。

(c)「連邦航空局・全米航空システム(Natioal Airspace System:NAS)」は、合衆国の空域利用の共通ネットワークすなわち航空施設、機材やサービス;空港や着陸エリア;航空図、情報やサービス;関連する規則、法規および手続き;技術情報;労働力や器具を意味する。この定義には国防総省、運輸省や国土安全保障省により共同して共有するシステム・コンポーネントを含む。

(d)「無人航空システム (Unmanned Aircraft System)」は、NASのもとで安全かつ効率的に命令を下すため、パイロットやシステム操縦者に求められる無人航空機(航空機内の内外で直接の人間による介入なしに運行する航空機)でかつ関連する要素(無人航空機をコントロールする通信リンクや部品を含む)を含む。

(e)「個人識別情報(Personally identification information)」は、2007年5月22日、大統領府行政予算管理局覚書(Office of Management and Budget Momorandum M-07-16)および2010年6月25日、同局覚書(M-10-23)に定めたとおり単独または他のものと組み合わせで特定の個人にリンクまたはリンク可能な個人または識別情報を意味する。

 第4節(総則)

 略す。 

2.過去における連邦議会のUASのプライバシー保護法案

(1)2014年12月、ジョン D.ロックフェラー(John D.)上院議員(ウェスト・ヴァーニア州・民主党)の「2014年無人航空システムのプライバシー保護法案(Unmanned Aircraft Systems Privacy Act of 2014)」 (筆者注9)

  筆者は、同法案の正確な内容にあたるべく調査したが、現時点の同議員への取材に基づくメデイア情報仮訳をもって解説する。なお、筆者は同議員のコメントにつき調査した範囲で補筆した。

・同法は、商業UASの運用者に個人情報の収集および使用に関し、適切なプライバシー・ポリシーの採用とその遵守を求めるものである。同法案は商業無人機の使用の急増する一方で、米国の消費者が安全対策が適所に配備されないままにプライバシー問題に妥協することがないようにすべきであるという考えが背景にある。私は、2014年1月15日に開催した商務・科学・運輸委員会において、委員長として関係者から公聴した。急速な利用拡大と米国のビジネス界や消費者にとって極めて有望である一方で、もしわれわれがこの問題につき事前に対処しないと、重要なプライバシーリスクを引き起こすといえる。この法案はまさにそのことへの試みであり、手遅れにならないうちにこの問題に向けた取組みが必要である。

 法案は情報主体につき明示的事前同意なしに民間企業によるUAS監視を禁じる。また、同時に連邦運輸省とともに連邦取引委員会に対しリテール市場においてUASを購入するUAS事業者の法的義務に関するモデル・プライバシー・ポリシーの策定を命じる。同時に、法案は次の内容を含むプライバシーポリシーを公的なウェブサイト上に掲示するよう民間UAS事業者に求める。

・UASの運営にかかる環境の情報

・イメージ、データその他情報の収集にかかる特定の目的

・該当個人から事前に同意が得られない場合の情報の匿名化や集約手段

・個人がいったん行った同意を無効化するときや収集した個人情報のコピーの入手等についての事業者へのコンタクト方法

 また、法案は次の内容を含む。

・同法に違反する結果生ずる身体的危害やプライバシー侵害に対する民事訴訟権を付与する。

・無人航空機にかかる特定化情報の搬送が可能となる軽量かつ廉価UAS技術の開発を米国商務省・国立標準技術研究所(NIST)に命じる。

・NISTに遠隔識別情報送信(remote identification transmission)の能力評価にかかる標準試験方法の開発を求める。

・DOTに、小型無人航空機の製造・運用に関する遠隔識別情報にかかる諸規則の策定を求める。

・DOTに、遠隔識別送信のための「任意のモデル航空機ガイドライン」の公表を命じる。

・FTCに遠隔識別情報規定を含むプライバシー・ポリシーにかかる従来の関係規則の改正権を付与する。 

(2)2013年のEdward J. Markey 上院議員提案法案(S.1639 - Drone Aircraft Privacy and Transparency Act of 2013 :113th Congress (2013-2014)) 

 同法案の審議は2回の読会を終了しているので、詳細には立ち入らないが、後述4.で述べるとおり、同議員は2015年議会に同主旨の法案を再度上程している。 

3.FAAのUAS規則やプライバシー問題への取組み

(1)FAAが公表した「小型無人航空機システムに関する規則」の枠組み

 2月15日の FAAのリリース文に基づくわが国のCNET解説「米連邦航空局、商用ドローンの規制案を発表」があり、ほぼ網羅されているので、そのまま引用する。

「規制案は「運用制限」「操縦者認証と責任」などの主な4つの項目を定めている。運用制限の項目では、UASを重量55ポンド(25㎏)以下の無人航空機と定義し、オペレーター(操縦者)またはビジュアル・オブザーバー(VO)と呼ばれる操縦および監視担当者の見通し範囲内(VLOS:Visual line-of-sight)からUASを出さないよう義務付けている。UAVは肉眼(視力矯正眼鏡は着用可)で視認できることとする。運用時間は日の出から日没までの日中とし、飛行速度は最高で時速100マイル(時速約160㎞)、高度500フィート(約150m)までとする。操縦場所からは3マイル(約4.8㎞)まで見渡せる気象条件で、操縦に関与しない人物の頭上は飛行しない。上空1万8000フィート以上のクラスA空域(管制された空域)の飛行は禁止とされ、国際空港周辺や空路周辺などのクラスBからクラスEまでの空域は、許可を得て飛行可能となっている」 

 筆者なりに前述の「2012年連邦航空局の近代化・改革法(FMRA)」やFAAの連邦航空規則改正案の関係者の意見公募(NPRM)(Billing Code 4910-13-P:14 CFR Parts 21,43,45,47,61,101.107, and 183)(Notice of Proposal rulemaking) (筆者注10)の内容および米国ビジネスローファーム(Buchalter Nemer )の解説をもとに次の点を補足しておく。 

○FAAのパイロット免許(Pailot’s License)は必要ではない。FMRAの第333条は暫定的であるが商業用小型無人航空機の迅速な認可手続きについてFAAは検討を進めるであろうし、また連邦航空規則パート107は米国における数十億ドルにわたるUAS産業基盤の根拠となる。すなわち195頁にわたるNPRMを読む限りにおいて、Amazonの新ビジネスの可能性につき慎重な文言を使用しつつも、将来的な対価をえる配送ビジネスの問題に前向きに取り組みつつある。 

4.商務省・電気通信情報局(NTIA)の「UAS規制にかかるプライバシー、透明性および説明責任に関する意見公募」および新しいマルチ・ステーク・ホルダー・プロセスのための意見公募

(1)3月4日、米商務省・電気通信情報局(NTIA)は、「UAS規制にかかるプライバシー、透明性および説明責任に関する意見公募Privacy, Transparency, and Accountability Regarding Commercial and Private Use of Unmanned Aircraft Systems) およびUASの商業的で専用無人航空機のために最高の業務を拡張するために新しいマルチ・ステーク・ホルダー・プロセス(new multi-stakehlder process) (筆者注11)を構築するため「連邦官報」で「コメント公募(Request of Comment:RFC)」公布後90日間以内に第一回目の公開討議を召集したいと発表した(このため、コメント期限は公布後、45日目(4月20日)とされた)。 (筆者注11-2)

 前者につき逐語的な質問項目は次のとおり (筆者注12)NTIAの意見公募は2月15日のホワイハウスの大統領覚書を受けたものであるが、覚書が民間部門と政府によるドローンの利用に関するプライバシー問題を取り上げているのに対し、NTIAの対象は民間部門のみを対象としている。 

①プライバシーに関する質問:NTIAはUASにより収集した個人情報の収集、使用、保持および流布に関しプライバシー問題を課すとともに、利害関係者に商業および個人的なUASの使用におけるプライバシー保護に向けた安全装置の特定化を奨励する。 

③透明性に関する質問:NTIAはUASの使用につきプライバシーを強化するとともに他の価値を増強すること、またUASの操縦に関する透明性を推進するため、色等物理的マーキングや電子識別子(electronic identifiers)等といった識別メカニズムについての意見を求める。

 また、UAS操縦者に対し、重大な意味でプライバシーに影響を与え、迷惑をかけない、または安全面で関心等につき大衆にいかなる方法で適格な情報を提供しうるかを尋ねる。 

④説明責任に関する質問:NTIAはUASの操縦に関し、監査や調査という説明責任についてのコメントを求める。また日頃の行動、訓練、操縦、データのハンドリング、監視等につきどのような規則の策定が商業用のドローンの操縦に対する説明責任を実行することになるかにつき尋ねる。 

⑤利害関係者の取り組みの構造化への質問:NTIAはどのようにマルチステークホルダーの取り組み手順を構造化するべきか、また既存の最も優れた実務が参加者の仕事の上でモデルとなりうるかなどにつき尋ねる。 

(2)2月15日に公表した規則案に対する関係機関の意見はこれから出てこようが、プライバシー保護の観点から検証する意味でEPICのサイトのコメントを参照されたい。

 5.今連邦議会におけるUASにかかるプライバシー保護法案の上程

 この問題に関する2つの法案がエドワード・マーキー(Edward Markey)上院議員ピーター・ウェルチ(Peter Welch)下院議員から同時に上程されている。なお、FAAは2020年までに7,500機以上のDroneが米国の空を飛び回ると予測している。 

 法案番号、法案要旨のみあげ、詳細は略す。なお、両法案につき、米国の人権擁護団体である”American Civil Liberties Union(ACLU)”、”Electronic Frontiers Foundation(EFF)”、”Electronic Privacy Information Center(EPIC)”および”National Association of Criminal Defense Lawyers(NACDL)”等が支持するコメントを述べている。 

(1)マーキー法案 S. 635(113th): A bill to amend the FAA Modernization and Reform Act of 2012 to provide guidance and limitations regarding the integration of  unmanned aircraft systems into United States airspace, and for other purposes.

 (2)ウェルチ法案H.R. 2868 (113th): Drone Aircraft Privacy and Transparency Act of 2013

  同法案の要旨は次のとおりである。

①FAAは、Droneの免許受付にあたり、()個人情報を誰が収集するか、()飛行エリア、()どのような種類の個人情報を収集するか、()どのように個人情報を使用するか、()情報を第三者の売却することがあるか、および()情報の保持期間について説明する個人情報の収集声明文言を含む免許申請がない限り免許の発行を禁止する。

②さらに法執行機関およびその契約者(再委託先を含む)に対し、犯罪に無関係の情報の収集および保持情報の最小化に関する声明文言を求める。

③法執行機関が取り組むいかなる捜査等において捜査令状または極端な緊急性のあること(extreme exigent circumstances)の必要性の存在を義務付ける。

④FAAに対し、すべての承認された事業者一覧とデータ収集、データ最小化、免許に基づくデータの漏洩侵害およびDroneが飛行する時間と位置についての声明文言につき、公に入手可能なウェブサイトの作成を義務付ける。

6.欧州のドローンの軍事事業化展開、北朝鮮による基幹施設侵入

(1)EADSの取り組み(UAV news )

 欧州航空機大手エアバスを傘下に置く航空宇宙・防衛関連企業であるEADS (European Aeronautics Defence and Space Company)はEU域内でのドローン市場の強化に向けたビジネス活動を推し進めている。すでに2009年6月のパリ航空ショーで翼長92フィートの諜報、監視、目標取得任務型UASを公開した。

  、(2)非武装地帯等への北朝鮮製ドローンの飛来、落下事件

 CNN記事によると、2014年3月下旬に韓国内でドローン落下事故が報告された。 

 1機目は3月24日、27度線非武装地帯の南数マイルの町、坡州市で発見された。上記写真のとおり大統領府のイメージカラーであるブルー色を使っている。韓国の軍はこのドローンは航空監視が任務目的であり、日本製の小型カメラを搭載した初歩的なものであるとされている。すなわち、北朝鮮がドローーンで偵察する背景は空域情報を監視できる衛星を持たないことをあげている。

 2機目は3月31日に韓国軍の戦略的に重要な位置にある黄海の白翎島(Baengnyeong Island)で発見された。 (筆者注13) 

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(筆者注6-2)米国の個人情報保護法は保護対象者や実施主体別に制定されている。1974年プライバシー法の要旨につき連邦司法省の解説を仮訳する。

「1974年プライバシー法(5 U.S.C.§552a)」は、連邦機関の記録システムで保持さられる個人に関する情報の収集、維持、使用と普及を統治する公正な情報取扱実務の行動規範の確立する。その記録システムとは、情報が個人名で、または個人に割り当てられる若干の識別子により検索される連邦機関の管理下の一群の記録システムをいう。」

(筆者注7)U.S.C.40102(a)(41)本文は次のとおり。

“public aircraft” means any of the following:

(A) Except with respect to an aircraft described in subparagraph (E), an aircraft used only for the United States Government, except as provided in section 40125 (b).

(B) An aircraft owned by the Government and operated by any person for purposes related to crew training, equipment development, or demonstration, except as provided in section 40125 (b).

(C) An aircraft owned and operated by the government of a State, the District of Columbia, or a territory or possession of the United States or a political subdivision of one of these governments, except as provided in section 40125 (b).

(D) An aircraft exclusively leased for at least 90 continuous days by the government of a State, the District of Columbia, or a territory or possession of the United States or a political subdivision of one of these governments, except as provided in section 40125 (b).

(E) An aircraft owned or operated by the armed forces or chartered to provide transportation or other commercial air service to the armed forces under the conditions specified by section 40125 (c). In the preceding sentence, the term “other commercial air service” means an aircraft operation that

(i) is within the United States territorial airspace;

(ii) the Administrator of the Federal Aviation Administration determines is available for compensation or hire to the public, and

(iii) must comply with all applicable civil aircraft rules under title 14, Code of Federal Regulations.  

(筆者注8) executive departments”とは、アメリカ合衆国連邦政府の行政組織で、1789年設立の国務省や財務省を始め、国防総省(1947年)、内務省(1949年)、司法省(1870年、農務省(1862年)、商務省(1903年)、福祉保健省(1953年)、エネルギー省(1977年)、教育省(1980年)、国土安全保障省(2002年)などが含まれる。 

(筆者注9) 2014年無人航空システムのプライバシー保護法案(Unmanned Aircraft Systems Privacy Act of 2014)」の詳細な内容を確認すべく筆者なりに調べてみた。手掛りは連邦議会の情報サイトである”Congress.gov”で同議員の法案上程内容、民間の法案追跡サイト”govtrack .us”等つぶさにチェックした見たがやはり存しない。

また、同議員の公式サイトもリンクできない。本ブログでは、12月22日付け”USA magazine”の記事「ウェストバージニア州選出上院議員がUASプライバシー法案を提出」の内容を紹介するが、同議員は商務・科学・運輸委員会の委員長でもあり重要な法案だけに改めて調査したい。 

(筆者注10) FAAの連邦小型無人飛行機システムに関する運用、利用条件等に関する連邦規則改正案は全文195頁である。時間の関係で詳細な紹介は略すが、本来的な比較検討が必要であろう。

(筆者注11)欧米では1990年代以降に一般的に用いられている「マルチ・ステーク・ホルダー・プロセス」につき簡単に補足する。引用元は内閣府「持続可能な未来のためのマルチステークホルダー・サイト(Multistakeholder Portal for a Sustainable Future)

(1)ステークホルダーの平等代表性(equitable representation):あらゆるコミュニケーションにおいて、各ステークホルダー(利害関係者)が、平等に参加し、自らの意見を平等に表明できるということであり、また相互に平等に説明責任を負うこと、(2)意思決定、合意形成、もしくはそれに準ずる意思疎通:政策決定から共通認識の形成、実践的な取り組み実施に向けての合意、ステークホルダー間のパートナーシップやネットワーク形成に至るまでを幅広く含むもの。

 その歴史的な背景としては、1980年代後半から90年代にかけての持続可能な発展に関わる議論の中で登場した概念である。以降、様々なテーマ(環境、人権、労働、消費者問題等)と、レベル(国際、国内、地域等)のおいて適用。 

 なお、最近はこのような民主主義や自由経済の原点といえるこの考え方がややもすると薄れていると感じるのは、筆者のみであろうか。 

(筆者注11-2) NTIAは、2015年4月24日にUASの商用および私的使用に係る「プライバシー」「透明性」「説明責任」の観点からの関係機関や団体等からのコメント集約内容を公開した。Covington Burling LLP がその内容を取りまとめているので、以下、仮訳する。 

「 50以上の関係機関等がUASの非政府における使用に関するプライバシー、透明性問題等に係る意見を提供した。その多くの企業等はプライバシーに関する最善の実務の実践に関し、既存の州法上におけるプラバシーの侵害、不法侵入や覗き見責任を問うことは不要とするものであった。また、NTIAはドローン・ユーザーに対するプライバシーガイドラインを策定するに際し、合衆国憲法修正第一(信教・言論・出版・集会の自由、請願権)、および修正第四が定める権利(不合理な捜索・押収・抑留の禁止)に関する裁判管轄権問題に配意するよう強く求めた。その他の意見としては、現行法がUAS規制において、長期の監視に使われたり個人識別情報の集約にされることについて不十分である旨の懸念を述べた。これらの懸念に対処するため、コメントは(1)被写体となる個人は自身の財産上等の撮影に対するオプトアウト権を認める「飛行禁止ゾーン」の設定、(2)ドローンで収集した一定の個人識別情報の保有期間の制限、(3)顔認証ソフトや車のナンバープレート読み取りソフトの使用の組み合わせの限定等を勧告した。また、利害関係者からは、(1)ドローン本体に使用者名等を表示させる、(2)企業にはドローンをどのように使用するかについて詳細をオンライン上で表示させる、(3)ドローン・ユーザー名登録制度の創設等の指摘があった。他方、その他のコメントとしては集中化したオンライン登録制度の実施は特に趣味でUASを利用する操縦者に対する権利侵害につながるという指摘も出された。」

(筆者注12) Covington&Burling LLPのブログから引用する。 

(筆者注13) 2月27日の朝日新聞は韓国国防省が指摘した北朝鮮のドローン問題につき、国連安全保障理事会の専門家パネルの調査報告に言及している。この問題につき、dさらに詳しい記事として「38 North」の関連部分を仮訳する。

「無人飛行機:2014年に3機の北朝鮮の無人空中車両(UAVs)は、軍事施設の上に空飛ぶ偵察任務の後、韓国で破壊た。同機の破片の検査では、飛行機が北朝鮮製であったか製造されて外国製だったかどうかは確定できなかった。いずれにしても、これらの事件は平壌が無人の航空機システムをその活動に取り込み続けそうなことを示唆する。韓国はこの問題は制裁に当たるすなわち「これらの無人空中車両の、そして、北朝鮮に対するすべての武器関連した軍需品[DPRKに]の供給、販売または移動を禁止している国連決議1874号 (2009年:resolution 1874 (2009))の第10項違反となる旨」専門家パネルに警告を通知した。 

 現行の決議カテゴリー1の規制対象は「少なくとも積載量500kgで少なくとも300kmの範囲に届けることができる完全な無人空中機ミサイル・システム(巡航ミサイル・システム、標的型ドローンや探査ドローンを含む)」というものであり、今回3つの落下したドローンがより短い距離が彼らがそのカテゴリー該当しないことを意味する。しかし、韓国は彼らがまだ「武器に関して」、したがって制裁の対象となると思われなければならないと考えている。 これは、今後数ヶ月に国連とそれの外部でおそらく討議される点である。 

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  欧州司法協力機構(Eurojust) がウクライナを支援する共同捜査チーム (Ukraine joint investigation team : JIT) に参加している 7 か国の国家当局は、ウクライナで犯された疑いのある中核的な国際犯罪について、米国司法省との間で了解覚書 (以下、MoU) に署名した。この MoU は、ウクライナでの戦争に関連するそれぞれの調査において、JIT パートナー国と米国当局との間の調整を強化する。  このMoU は 3 月 3 日(金)に、7 つの JIT パートナー国の検察当局のハイレベル代表者と米国連邦司法長官メリック B. ガーランド(Merrick B. Garland)によって署名された。  筆者は 2022年9月23日のブログ 「ロシア連邦のウクライナ軍事進攻にかかる各国の制裁の内容、国際機関やEU機関の取組等から見た有効性を検証する!(その3完)」の中で国際刑事裁判所 (ICC)の主任検察官、Karim A.A. Khan QC氏 の声明内容等を紹介した。  以下で Eurojustのリリース文 を補足しながら仮訳する。 President Volodymyr Zelenskiy and ICC Prosecutor Karim A. A. Khan QC(ロイター通信から引用) 1.ウクライナでのJITメンバーと米国が覚書に署名  (ウクライナ)のICC検事総長室内の模様;MoU署名時   中央が米国ガーランド司法長官、右手がICCの主任検察官、Karim A.A. Khan QC氏  MoUの調印について、 Eurojust のラディスラフ・ハムラン(Ladislav Hamran)執行委員会・委員長 は次のように述べている。我々は野心のために団結する一方で、努力においても協調する必要がある。それこそまさに、この覚書が私たちの達成に役立つものである。JIT パートナー国と米国は、協力の恩恵を十分に享受するために、Eurojustの継続的な支援に頼ることができる。  米国司法長官のメリック B. ガーランド(Merrick B. Garland)氏は「米国が 7 つの JIT メンバー国全員と覚書に署名する最初の国になることを嬉しく思う。この歴史的な了解覚書は...

米国連邦取引委員会(FTC)が健康製品に関する新しい拡大コンプライアンスガイダンスを発行

   2022年12月20日、米国連邦取引委員会(以下、FTCという)は、以前の 1998年のガイダンスである栄養補助食品:業界向け広告ガイド(全32頁) を改定および置き換える 健康製品等コンプライアンスガイダンス の発行を 発表 した。 Libbie Canter氏 Laura Kim氏  筆者の手元に Covington & Burling LLPの解説記事 が届いた。筆者はLibbie Canter氏、Laura Kim氏他である。日頃、わが国の各種メディア、SNS、 チラシ等健康製品に関する広告があふれている一方で、わが国の広告規制は一体どうなっているかと疑うことが多い。  FTCの対応は、時宜を得たものであり、取り急ぎ補足を加え、 解説記事 を仮訳して紹介するものである。 1.改定健康製品コンプライアンスガイダンスの意義  FTCは、ガイドの基本的な内容はほとんど変更されていないと述べているが、このガイダンスは、以前のガイダンスの範囲につき栄養補助食品を超えて拡大し、食品、市販薬、デバイス、健康アプリ、診断テストなど、すべての健康関連製品に関する主張を広く含めている。今回改定されたガイダンスでは、1998年以降にFTCが提起した多数の法執行措置から引き出された「主要なコンプライアンス・ポイント」を強調し、① 広告側の主張の解釈、②立証 、 その他の広告問題 などのトピックに関連する関連する例について具体的に説明している。 (1) 広告側の主張の特定と広告の意味の解釈  改定されたガイダンスでは、まず、広告主の明示的主張と黙示的主張の違いを含め、主張の識別方法と解釈方法について説明する。改定ガイダンスでは、広告の言い回しとコンテキストが、製品が病気の治療に有益であることを暗示する可能性があることを強調しており、広告に病気への明示的な言及が含まれていない場合でも、広告主は有能で信頼できる科学的証拠で暗黙の主張を立証できる必要がある。  さらに、改定されたガイダンスでは、広告主が適格な情報を開示することが予想される場合の例が示されている(商品が人口のごく一部をターゲットにしている場合や、潜在的に深刻なリスクが含まれている場合など)。  欺瞞やだましを避けるために適格な情報が必要な場合、改定されたガイダンスには、その適格...

英国のデータ保護法案:提案された改正案の概要(その2完)

   [Part Ⅱ]  英国データ保護法案:主要条項の検討 この記事 では、パートⅠにもとづき、法案の特定の重要な条項をさらに深く掘り下げる。 (1) 匿名化と「個人データ」:範囲の確認  この法案は、情報が「識別可能な生存する個人」に関連しているため、主に2つのケースで「個人データ」を構成することを提案している。 (A)生存する個人が処理時に合理的な手段によって管理者または処理者によって識別可能である場合。 (B)管理者または処理者が、(a)処理の結果として他の人が情報を取得する、または取得する可能性が高いことを知っている、または知るべきである場合。 (b)生きている個人は、処理時に合理的な手段によってその人によって識別可能であるか、またはその可能性が高い。  特に、この法案は、処理時にデータが個人データであるかどうかの合理性と評価を非常に重視しており、特にデータを匿名化しようとする際に、組織・事業体にとって有用であることが証明される可能性がある。EU GDPRは、注目度の高いケースを通じて開発された識別可能性と匿名化のための高い「しきい値」を設定している(詳細については、2016年CJEUのBreyerの決定に関するこのレイサム・アンド・ワトキンス法律事務所の ブログ記事“Anonymous or Not: Court of Justice Issues Ruling on IP Addresses” (筆者注7) を参照されたい)。法案の提案は、英国政府が専門家諮問結果「データ:新しい方向」(諮問書)で取った立場、すなわち政府が「匿名化のために信じられないほど高い基準を設定することを避けるつもりである」という立場と一致している。(専門家への諮問の詳細については、このレイサム・アンド・ワトキンス法律事務所の ブログ記事“UK Data Protection Reform: Examining the Road Ahead” を参照されたい。 【筆者補足説明】 1.わが国では本格的に論じられていない問題として匿名化、仮名化などとプライバシー強化にかかる技術面からの検証である。2021.11.17  BRISTOWS法律事務所「データの匿名化:ICOの改訂ガイダンスに関する考慮事項」 が簡潔にまとめているので、主要部を抜粋、仮訳する。 ...