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カナダのラジオ・テレビ・通信委員会は電話名簿業者と迷惑電話規制規則に基づき約2,444万円の罰金刑の和解

 

Last Updated:June 14 ,2020


 1月20日付けのカナダのラジオ・テレビ・通信委員会(Canadian Radio-Television and Telecommunications Commission:CRTC)は、カナダの電話情報業者(telelisting co.)(telephone directory services)である”Hamel System d’Information2000 Inc.” (注1)に対し、カナダの「受信者が希望しない迷惑電話(一方的電話勧誘拒否登録)制度の規制に関する連邦規則(Unsolicited Telecommunications Rules)(以下「規則」という)」に違反したことを理由に和解の一部となる26万カナダドル(約2,444万円)の罰金刑の支払いに同意した旨を通知した。さらに、CRTCは不動産仲介業者やブローカーに対し、法令遵守の警告通達を行っている。(注1-2)

 ここで取り上げた”Telelisting business”すなわち”Online Lead Generation ”についてわが国では定まった訳語さえないが、米国等海外ではかなり以前から
(注2)ビジネスとして定着している。簡単にいうと「見込み客獲得のためのマーケテイング手法」をいい、アフィリエイト広告との違いは、自社サイト以外から見込み客情報を取得することが出来るという点である。
 Internet業界で大きな影響力をもつTechCrunchの創業者 Michael Arringtonが2009年10月末に、Facebook、Zyngaおよび一部の広告会社等のソーシャルゲームに関係する会社を、悪質な詐欺広告(Lead-Generation Scam)で消費者に多大な被害を与えているとして告発するなど問題が起きている。

 カナダにおいてもニュービジネスであることは間違いない。一方、筆者が従来から問題視している迷惑電話の規制に関するわが国における具体的な検討はまったく進んでいない。
 同規則の適用の前提となる米国 
(注3)カナダ、オーストラリアなど主要国の迷惑電話規制制度である“Don’t Call Registry”については、2010年10月24日付け筆者ブログ「オーストラリアの連邦ブロードバンド・通信・デジタル経済省(DBCDE)サイトに見る詐欺電話被害の急増」本文中で主要国の“Don’t Call Registry”の実施状況について簡単にまとめておいた。また、カナダは2014年6月25日、プライバシー保護強化の観点からそれまで登録希望者は一定期間ごとに再登録義務があった制度を見直し、恒久的登録制度に改正した。

 他方、最近の電話セールスは単に強引な売込みではない、いわゆる個人情報収集型の電話が増えている。最後にそれへの対策のヒントを筆者の経験をもとに紹介する。


1.CRTCの消費者からの苦情に基づく調査と違反事由の特定 
 CRTCの1月30日のリリースによるとカナダ国民からの苦情に基づき、CRTCが調査した結果、Telelisting会社である”Hamel System D7Information 2000 Inc.が自社の顧客のために「規則」に違反し、”National Do Not Call List”(DNCL)の違法に内容を明かした事実が明らかとなった。
 すなわち、2012年7月10日から2014年7月10日の間、Telelistingは自社内ではない外部の者(彼らはDNCLのオペレーターに年額加入料の支払い義務を実行していないか加入自体行っていない)とDNCLの登録内容を共有した。
 今回のCRTCの告発によりTelelistingは上記罰金に加え、今後自発的に包括的な法令遵守プログラムを実行するとともに不動産業界における規則の理解向上に貢献することを公約した。

 第三者の電話情報業者の利用はDNCL加入の代替ではない、すなわち、不動産業者や不動産ブローカーを含むすべてマーケテイングを行う者はDNCLに加入しなければならない。規則に従わないマーケテイングを行わない限り、マーケテイングを行う者は電話を希望しない消費者のリストと更新情報を得るため、DNCLに加入しなければならない。

 日頃からCRTCはマーケテイングに従事する個人、会社や団体に対しその内容の修正を指摘すべく議論を重ね、また行政罰金やその他の業務改善措置を含む和解などを行っている。
 さらにCRTCは法令違反警告、出頭命令、査察や違反通知を発布する。

 これまでCRTCの法執行行為において計570万豪ドル(約5億3,500万円)の罰金刑を得た(2013年から2014年間だけ見ても罰金刑の総額は約100万ドル(約9,400万円))。なお、同リスト登録者数は1,270万人以上である。

2.カナダにおける恒久的一方的電話勧誘拒否登録制度への改正 
 2014年6月25日、CRTCは”DNCL”の恒久的登録制度の実施:Compliance and Enforcement Regulatory Policy CRTC  2014-341」を公表した。1,200万人以上のDNCL登録者があり、平均して毎日1,200人が新規に登録している。
 2008年の全カナダベースでの違反行為に対する行政罰金の調査では約1,200件の調査を行い、行政罰金額合計は約400万ドル)(約3億7,600万円)である。
 それまで、登録希望者は一定の登録期間の後に再度登録しなおす義務があった。また、登録希望者はいつでもDNCLの登録先を削除することができる。

 同委員会における恒久的登録制の実施のほか関係業界に対し、その運用の透明性を強化するため、業者が行っている電話番号の遮断やDNCLからの登録番号の削除システムにつき、定期的に再検査すべく委員会内の「相互運用検査員会(CRTC Interconnection Steering)」において継続的に働き続けることを明確化した。
 今回の改正の背景、関係業者・消費者団体等との検討経緯等については同委員会サイト「法遵守および法執行における監督規制にかかる政策-2014-341」を参照されたい。

3.最近の電話セールスは単に強引な売込みではない、いわゆる個人情報収集型の電話が増えている。最後にそれへの対策のヒント
 わが国におけるDNCLの導入時期はまったく未定である。従って、消費者としてはワン切電話は別としても、次のような対応が有効かと思う。
①かかってきた電話に一切答えないこと、②録音すること、③すぐに電話を切らないで無言のままでいること、そのうち相手は電話代が無駄になるので自ら切る。

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(注1)北米のtelisting会社(telelisting.net)の利用企業(マーケッター)向けのPR文言仮訳する。
「北米で展開する企業Telelisting社の任務は、北アメリカ中で人々と企業が最高のオンライン売上を提供することによる彼らの完全な売上と収益可能性が生成ソフトウェアを導くと理解するのを可能にすることにつながる。 また遠隔リストは、あなたがより多くの収益をかせぐのに役立つ総合的リードする世代と管理ツールを提供する。
毎日、当社は不動産仲介業者とブローカーや保険会社、投資ブローカー、金融サービス・アドバイザー、コールセンター等企業やプロは活動のすべてのセクター収益機会を増やす。当社の製品は、カナダとアメリカ合衆国で20,000人以上の満足するマーケテイングを業務とする顧客に利用されている。」

 なお、同社は米国やカナダのマーケッターに対し、①Do not Call Registryのリストとの統合済の電話帳を提供すること、②通話記録のサポート、③迅速な検索機能、④Google地図に基づく近隣検索機能等をうたっている。

(注1-2) CRTCの警告内容は年度ごとに「Notices of Violation」で確認できる。ちなみに2015年の場合のURLは”https://crtc.gc.ca/eng/DNCL/dnclc_2015.htm”である。

(注2) Lead-Generation Advertisementから派生した詐欺広告である。Lead-Generation Advertisementとは
•Lead(見込み客)を獲得(generation)するための広告
•アフィリエイト広告との違いは、自社サイト以外から見込み客情報を取得することが出来るという点である。具体的には以下の通り
インターネット上で(1)見積依頼や(2)セールスの連絡を受けることに同意している人の連絡先情報などを、その取得した実数に応じて、広告主から広告会社に支払われる広告費用で、(自社サイト経由だけではなく)、クレジットカード等の申込フォーム記入時や、アンケートサイトや、懸賞サイト、会員登録サイト等、(自社のサイト以外の場所から)取得する場合もある (2008年「CNET 米国で急成長する「Lead Generation 広告」とは」から一部抜粋)

(注3)米国の電話勧誘拒否登録制度である”Do Not Call”に関して最近ニュージャージー州はモバイル電話(Cell Phones)によるテレマーケテイングにおける規制緩和を即時施行する一部法改正を行った。米国のローファーム”Jackson Lewis P.C”の解説ブログ記事「ニュージャジー州はモバイル電話によるテレマーケテイングの一部法改正」、Davis Wright Tremaine LLPの記事内容を統合して仮訳する。

○ニュージャージー州のクリス・クリステイ知事(共和党)は顧客の携帯電話に対し、既取引のある顧客に対する場合、および顧客から書面による求めに応じる場合に限り、テレマーケテイングのモバイルあてに電話(telemarketing sales call)をかけることを認めるとする法案(S.1382)に署名した。
 改正前の”Do Not Call”に関する規制州法(N.J.Stat.§56:8-130)では、携帯電話会社による顧客向けのセールス電話で自社のモバイルサービスに関するものでかつ顧客に電話代が発生しない場合以外のセールス電話は禁止されていた。このように従来の”telemarketing sales call”の定義は広く、特定のセールス電話(例えば、アカウントの収集または契約上の責務のフォローアップ等の目的のみ)以外の例外は認められていなかった。 ,
○なお、同州の法改正後においても、テレマーケテイング会社は連邦電話消費者保護法(Telephone Consumer Protection Act of 1991)に準拠する義務があり、すなわち、自働ダイヤルシステムや事前にメッセージを録音したような携帯電話に対するセールスコールには事前の明白な本人の同意ルールやオプトアウトルールは適用されるのである。

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