(3)ニューヨーク州 反トラスト法“General Business”(GBS)の内容 反トラスト法である“General Business”(GBS)の内容について逐一解説は行わないが、経済司法部反トラスト局のサイトの 同州反トラスト法の解説内容 を概観する。 ニューヨーク州の反トラスト法(340-347 of New York’ General Business law )は一般には「ドネリー法」といわれ1899年に制定された。一部重要な点で異なる部分もあるが、その後の法改正や解釈により緊密なかたちで連邦シャーマン法の内容との整合性が図られてきた。すなわち同法は、価格吊り上げ、地域や顧客配分(territorial and customer allocation)、ボイコット、談合入札(bid rigging)および抱き合せ販売(tying arrangements)を禁止する。 同法は、司法長官に法人の場合は最高100万ドル、個人の場合は最高10万ドルの民事罰を求める訴訟提起の権限を定める。またプライベート・パーティ(被害者たる訴訟当事者)はこれらの違法行為を禁止させまた三倍賠償を得るため訴訟の提起が出来る。ドネリー法違反は重罪(felony)であり、法人の場合は最高100万ドル、個人の場合は最高10万ドルと4年の拘禁刑が科される。 3.今後の国際的非競争法強化に対応した研究課題についての私見 わが国では日本企業の海外進出とともにわが国の企業のEUや米国における非競争法違反・制裁問題に危機感をもっており、最近ではあるが経済産業省は経済産業政策局長の私的研究会として、「競争法コンプライアンス体制に関する研究会」を設置し、 第1回会合を2009年8月4日に開催 し、以降月1回ベースで開催されている。 第1回会合配布の「資料4」に指摘されているとおり、同研究会は制裁金・課徴金という行政制裁の強化によるか罰金・禁固刑という刑事制裁の強化によるかという手法の違いは別として、現在、日米欧いずれの競争当局においても、カルテル等の競争法違反行為の抑止という観点から、執行強化がなされているという問題意識から検討が行われている。 なお、同研究会は、2009年8月から11月にかけてのべ4回開催し、2010年1月29に報告書 「『国際的な競争法...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。