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バーゼル銀行監督委員会が銀行組織における「コーポレート・ガバナンス・ガイダンス(仮訳)」最終版を公表

 

Last Updated:arch 31,2021

 2006年2月13日、バーゼル銀行監督委員会(Basel Committee on Banking Supervision)(注1)は銀行組織の健全なコーポレート・ガバナンスの実践の推進のための改定ガイダンス「Enhancing corporate governance for banking organisations」の最終版を公表した。
 本ガイダンスは2005年11月に同委員会が提示した提案文書からスタートしたものとされているが、同提案書に対し、各国の銀行、業界団体、関係監督省庁、その他の機関から多くの有益なコメントを受けて取り込んだものである。なお、以下の点を読むと理解できると思うが、このガイダンスは銀行そのものだけでなく監督機関の責任を明確化している点は見逃せない。

 なお、今回のガイダンスの元となる同委員会の改訂案そのものは2005年7月29日に公表されており、わが国の金融庁は同委員会に対する金融機関の意見は直接行うかたちを取っている(仮訳が金融庁サイトに掲載されたのは同年9月14日であった)。
(注2)

 本ガイダンスの元となる書面は、2004年にOECDが発刊した「コーポレート・ガバナンスについての原則」と同様、1999年に同委員会が公表したものに基づき改訂のうえ、策定されたものである。本ガイダンスは、世界中の銀行の健全なコーポレート・ガバナンスの実践の採用と適用を意図したものであるが、既存の国家による法律、規則、綱領など階層構造による新たな規制構造の構築を意図するものではないとリリースは説明している。


Ⅰ.ガイダンスの重要項目は次の内容である。
(1)取締役会の役割(特に独立した権限を持つ取締役の役割に焦点を当てる)と銀行の経営幹部の役割
(2)利害が対立する場合の効果的経営管理
(3)銀行内部のコントロール機能と同様に内部・外部監査人の役割
(4)透明性に基づく方法とりわけ司法制度とのかかわりの中での運用内容、もしくは透明性を阻害するような体制問題意識の構築
(5)健全なコーポレート・ガバナンスの実践の推進と調査における監督機関の役割

Ⅱ.BISのリリースは、以上の5つの項目が列挙されているだけである。そこで筆者としてはガイダンスの目次に基づき以下のとおり補足する。
1.はじめに
2.銀行におけるコーポレート・ガバナンスの概観
3.健全なコーポレート・ガバナンス原則とは何か
 ①第1原則:取締役会のメンバーは、おのおのの立場につき適任であり、コー ポレート・ガバナンスにおける自らの役割を明確に理解し、銀行内におけるすべての事柄について健全な判断を実践できなくてはならない。
 ②第2原則:取締役会は、銀行組織全体に伝達されている銀行の戦略的目標や企業価値について承認ならびに監督を行わねばならない。
 ③第3原則:取締役会は、銀行組織全体について責任や責務に関する明確な施策を設定・実施しなくてはならない。
④第4原則:取締役会は、取締役会の方針に一致する上層部の経営者による適切な監督が行われるよう確実なものにしなくてはならない。
⑤第5原則:取締役会及び上層経営者は内部監査機能、外部監査人、ならびに内部統制機能により指揮される仕事を効率的に利用しなくてはならない。
⑥第6原則:取締役会は、銀行の企業文化、長期的目標や戦略ならびに統制環境に合致した役員報酬政策やその実践を確たるものにしなくてはならない。
⑦第7原則:銀行は透明性をもった方法により統治されねばならない。
⑧第8原則:取締役会及び上層経営者は裁判管轄権や阻組織の透明性を阻害要因について理解しなければならない(すなわち「自分の組織を知ること」)。

4.銀行監督機関の役割
(1)監督機関は、健全なコーポレート・ガバナンスについて銀行に向けたガイダンスを提供し、また適所の革新的な実践を行わなければならない。
(2)監督機関は、預金者保護の観点の一つからコーポレート・ガバナンスを理解しなければならない。
(3)監督機関は、銀行が健全なコーポレート・ガバナンスの方針ならびに実践について適応し、かつ効率的に適応しているかを考慮しなければならない。
(4)監督機関は、銀行の監査ならびに統制機能の調査を行わなければならない。
(5)監督機関は、銀行グループの組織の評価について調査しなくてはならない。
(6)監督機関は、自らの監督努力を通じ、取締役会に対し、経営上注目すべきた問題を提起しなくてはならない。

5.健全なコーポレート・ガバナンスを支援する環境の推進

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(注1)わが国の金融庁の資料では、バーゼル銀行監督委員会は、1975年にG10諸国の中央銀行総裁会議により設立された銀行監督当局の委員会である。同委員会は、ベルギー、カナダ゛、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルグ、オランダ、スペイン、スェーデン、スイス、英国、米国の銀行監督当局ならびに中央銀行の上席代表者からなると説明されている。 現委員長はスペイン銀行総裁のJaime Caruana 氏。

(注2)2006年2月13日の金融庁のサイトでは、BISのニュースリリース及び最終版(全30頁)が原文で添付されているのみで、今後の仮訳も待てないので筆者の独断で概要を紹介する次第である。また、日本銀行は3月13日に仮訳版を公開している。

〔参考URL〕
http://www.bis.org/press/p060213.htm
http://www.fsa.go.jp/inter/bis/bj_20050801.pdf

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(今回のブログは2006年2月14日登録分の改訂版である)

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