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米国証券取引委員会(SEC)が会長・役員等の報酬等に関する開示規則「改訂案」の提示を承認

 

Last Updated:March 31,2021
 

 米国証券取引委員会(SEC)(注1)委員長クリストファー・コックス(Christpher Cox)氏は、2006年1月17日に会長・役員等の報酬(報酬額の上位から第3位まで:Executive Compensation)やその独立性に関するコーポレートガバナンスや証券の保有に関する開示規則の改訂案(1992年以来の改訂)を全員一致で承認した旨、リリースした。

Christpher Cox 氏

 今回の改訂の主なポイントは、①過去3年分の証券取引所の上場企業(public company)における取締役報酬その他将来の利益を生む持ち株、役員退職年金計画(Retirement plans)や退職後の雇用等により得る利益(post-employment payments)(https://www.ikpi.co.jp/topics_archive/ifrs/ifrs_file303.html)のすべての公開、②関連する個人取引、独立性等コーポレートガバナンスに関する内容、③経営側が確約した役員等が保有する株式数等の公開、④任命された役員の雇用協定や物質的な協定内容について、今回改訂するSEC報告様式「Form 8-K」によること、⑤明快な英語による開示を行うということである。

 SECは、今回の規則改正は議決権委任状説明書類(proxy statements) (注1-2)、年次報告書、登録届出書(registration statements)の株主への開示に影響するものであるとしている。

 今回の提案に基づき、60日間の義務的なパブリックコメントに付された後、SECは新規則を公布することになる。

 なお、米国のフォーチューンでCEO500に名を連ねる経営者団体「Business Roundtable」は、今回のSECの新規則の内容について基本的に支持するものの、企業は投資家に明らかにするストックオプション価値が膨らみすぎることは避けるべきであるし、また将来の経営目標・商品開発に関する戦略的情報まで明らかにすべきでないとの警告を発している。

 上級役員報酬規制問題は、その後リーマンショック等大手金融機関の破綻や経営支援等を背景とする世界的な金融不安の中で批判が集中し、米国では抜本的な金融規制・監督制度改革法である「ドッド・フランク・ウォールストリート改革および消費者保護法(DODD-FRANK WALL STREET REFORM AND CONSUMER PROTECTION ACT)PUBLIC LAW 111–203」での規制強化が明確化した。

 2010年10月現在、連邦預金保険公社(FDIC)、連邦準備制度理事会(FRB)、証券取引委員会(SEC)等において具体的な検討が進められている。 (注2)
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(注1)”SEC”は、1934年に米国の証券取引法の投資家保護と市場の健全性維持を目的として設立された証券取引監督機関。5人の委員(連邦議会上院の助言・承認を得て大統領により任命される)で構成され現(2010年10月)委員長(29代)はマリー・シャピロ(Mary L. Schapiro )

Mary L. Schapiro氏

任期は5年。独立性を確保するため、委員3名が同一政党でないこととなっている。職員数は約3,100 名で、①企業財務局(Corporate Finance)、②市場規制局(Market Regulation)、③投資管理局(Investment Management)、④法執行局(Enforcement)の4局および18室からなる。弁護士、会計士、エコノミストの専門家集団である。市場での公正な取引が維持されるように、インサイダー取引など違法調査をする司法的な機能も持っている。そのほか、上場企業の登録届出書、年次報告書のような開示書類の審査、ディーラー・ブローカー・投資顧問等の市場関係者の監督・監視を行う。また、インターネット・サイト(SECの上場企業財務情報開示システムである「エドガーデータベース」(http://www.sec.gov/edgar.shtml)での開示資料も含む)で消費者への緊密な教育情報等の提供を行っている。日本では、証券取引等監視委員会がこれにあたる機能を有しているが、機能・権限等は違いが多い。

(注1-2) 野村資本市場研究所|株主による取締役候補者の指名を容易にする米国SEC(PDF) (nicmr.com)等参照。


(注2) 例えば、FDICのドッドフランク金融改革法対応専門サイト(FDIC Initiatives under the Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act )では同法956条に関する改革内容が取上げられている。
 また、SECの対応専門サイトでも検討が進められている。

〔参考URL〕
・SECが採択した改訂案
http://www.sec.gov/news/press/2006-10.htm
・SECのプレス・リリース
http://www.sec.gov/news/speech/spch011706cc.htm
http://www.foxnews.com/story/0,2933,181910,00.html

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(今回のブログは2006年1月20日登録分の改訂版である)

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