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英国は犯罪被害者補償対象を英国内からEU域内の他国に拡大

 


 英国の刑事事件被害者補償局(Criminal Injuries compensation Authority(CICA):支援チーム(EU Compensation Assistance Team)ロンドンとグラスゴーが本拠)は、2005年7月1日以降、①英国の居住者(resident)であること、②英国外のEU加盟国 での発生事件であること、③暴力的犯罪の被害にあった場合、国内と同様に補償対象とするサービス拡大を開始した。

 詳しくは英国政府の「If you are injured outside Great Britain」(https://www.gov.uk/guidance/criminal-injuries-compensation-a-guide#if-you-are-injured-outside-great-britain)や「Compensation if you're a victim of crime abroad」(Compensation if you're a victim of crime abroad - GOV.UK (www.gov.uk)」を参照されたい。(2021.3.31 追加)

 今回の制度改正の背景には、EU加盟国内における暴力事件の被害者に対し公正かつ適正な補償を行うことを要請した2004年EU指令(European Union Council Directive 2004/80/EC )がある。(注1)(注2)

 わが国では、国による犯罪被害者等給付制度が1955年(昭和55年)4月に「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」(昭和五十五年法律第三十六号)が制定され、その後2001年(平成13年)4月等に改正、最新改正は2008年(平成20年)4月である。①遺族給付金、②重傷病給付金、③傷害給付金の3つからなるが、問題は対象となる犯罪被害の範囲である。 日本国内または日本国外にある日本船舶もしくは日本航空機内において行われた人の生命または身体を害する罪に当たる行為(過失を除く。)による死亡、重傷病または障害である(同法2条)。
 また、国の犯罪被害者等給付制度は、補償額は死亡でも1,573万円が限度と、自動車事故などの場合の賠償水準と比較して低くなっており、その補完という観点から損保会社は上乗せ保険をPRしている(これも同法と同様、被害範囲は国内のみである)が、旅行ではない海外での企業活動、NGO等が拡大しつつある昨今、補償額の引き上げだけでない、更なる国際化に向けた検討が必要ではないか。


英国の犯罪被害者補償制度の概要
1.英国の刑事事件被害者補償局の役割(注3)
 イングランド、スコットランドおよびウェールズにおける刑事事件の被害者補償要綱をグラスゴーとロンドンの事務局から運営・管理を行っているが、補償金を凶悪犯罪の犠牲者である人々に支払うことが基本的任務である。

 最初の補償要綱が1964年に準備されて以来、我々が業務を引き継いだ刑事被害者補償審議会(Criminal Injuries Compensation Board)と共に延べ30億ポンド(約6千億円)以上を支払っているが、これは 世界で最も大規模でかつ被害者に寛容な内容といえる。その目的は、被害者に痛みと苦しみの身体的な理解を提供して、社会として彼らに哀悼の意を表するのである。
 その歴史の大部分において、犯罪者に対して犠牲者が民事裁判で勝訴に持ち込んで勝ち得たのと同様な裁定を行ってきた。等級表(scale)、補償額一覧表(tariff)は議会により2001年に改訂されているが、この一覧表は400以上の負傷の個別記述を含んでおり、補償額は25のレベルに区分され1,000ポンド(約20万円)から 25万ポンド(約500万円)からなる。

 多くの場合、被害者は収入や所得能力を失うという財政的な損害を被るし、医療費、その他の治療費も必要となる。また、被害者の家族は殺害された被害者の収入に依存しているので、追加補償(additional compensation)が認められる。

2.CICAの組織
 内務省とスコットランド政府(注4)の両方から集めた約450のスタッフは、凶悪犯罪の犠牲者から補償の適用を採決するためにグラスゴーとロンドンの事務所でCICAによって雇用される。CICAは 毎年、補償に関する約6万5,000件の請求案件を受け取って、各年の補償額の大部分である2億ポンド(約400億円)をそれに当てている。
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(注1)同EU指令は被害者が居住国に対する補償請求をより簡便にすることを意図するだけでなく、他の加盟国において故意的な犯罪により被害にあった場合に、その補償を行うことを狙いとしたものである。すなわち、加盟国の多くは英国とは異なる補償綱領を有しているが、指令は英国と同様に人々が他国から補償を受けるにあたり支援の任に当たる公的機関の設置を要求している。英国では、「CICA」がその機関に該当する。

(注2)CICAの一般人向け解説例URL: https://www.gov.uk/compensation-victim-crime-abroad
なお、cicaのサイトで各種刊行物のURLが紹介されている。

(注3)やや古いが、わが国警察庁の資料で英国の刑事事件の被害者対策の概要を紹介したものがある。
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h10/h100204.html

(注4)英国では英国議会のもとにスコットランドの行政を担う単独省庁としてスコットランド省(Scottish Office)をおいていたが、スコットランド省(Scottish Office)は、1885年に設立された国の省庁の一つであり、その本省は、スコットランドの中心都市であるエディンバラに置かれている。その長は、国務大臣・閣内大臣であるスコットランド大臣(Secretary of State for Scotland)で、スコットランド大臣は、スコットランドでの農業、漁業、環境、教育、産業、地方自治、保健等に関する事項を決定してきた。1999年7月1日、スコットランド議会と自治政府が公式に設立され、「スコットランド政府(Scottish Executive)」となった。(https://www.gov.scot/)

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(今回のブログは2006年1月6日登録分の改訂版である)

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