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米国連邦通信委員会の委員長は携帯電話等の「通話記録」委託販売業者に対する規制強化法案を支持

 


 Last Updated:March 31,2021

 米国連邦通信委員会委員長(chairman of Federal Communications Commission )のケビン・マーティン(Kevin J.Martin)(2009年6月からは委員長はJulius Genachowski )は、連邦議会下院「エネルギー・商務対策委員会(HECC)」において個人の私的な電話(固定・携帯式)の盗聴はきわめて機密情報の侵害行為であると述べた。

Kevin J.Martin 氏

 また、HECC委員長のジョー・バートン(Joe Barton:テキサス州選出 民主党)は、これらの通話記録の漏洩は詐欺犯人による「なりすまし詐欺」を助長するだけでなく、組織犯罪、ストーカー行為や口汚くののしる配偶者等の潜在的利用者といった隠れた利用者の存在は機密の位置情報等の漏洩や被害を引き起こすと述べている。

Joe Barton 氏

 この問題に関し、上院でも議員立法の法案が出されているが、金融取引情報については「1999年グラム・リーチ・ブライリー法(金融制度改革法)」において本人の同意がない限り金融取引情報の収集行為(pretexting)(注)は禁止されているが、全米で40社を超える業者がいわゆる通話内容の「pretexting」による情報収集・販売行為を行っている。
 これらの業者の利用者は、1件約100ドルの手数料で数時間内に自分の上司、かつての恋人、市長、警察官の最新の100通話情報(電話相手、何時、何分話したか等の記録)を集めてみせた。シカゴ警察では警察官の携帯電話の通話記録が利用されたと言う報告もある。

 連邦取引委員会(FTC)のジョナソン・リーボウィッツ(Jonathan Leibowitz)委員長は通話記録の販売行為の禁止に関し、より広い対応を取るべきとしており、人権保護団体のEPIC等もより厳しい法整備を要請している。

Jonathan Leibowitz 氏

 一方、「携帯電話・インターネット協会(Cellular Telecommunications & Internet Association:CTIA)」会長のスチーブ・ラージェント(Steve Largent)はこの問題について、「情報漏洩の脅威は絶えず変化しており、法律による静的な規制は急速に時代遅れになるか架詐欺師により破られてしまうことになる。また、携帯電話の事業者が顧客の利用状況の把握を法律で禁止するとは顧客サービスに影響を与え、現にファックスサービスを中止した通信業者がいる。」と述べている。

 フロリダやイリノイ州では通信記録の販売事業者のウェブサイトが訴訟対象になっている。FCCは2006年1月末にAT&TとAlltelに対し、顧客の通話情報を保護する手続の明確化に失敗した場合は、各10万ドル(約1,180万円)の罰金を科す旨提案している。

〔参照URL〕
1.最近の連邦議会や行政機関の動向等を法律学者(Anita Ramasastry氏:ワシントン大学ロースクール教授)がまとめた解説

Anita Ramasastry氏

2.議員立法法案を提出しているチャールズE.シューマー(Charles E. Schumer)上院議員の法案(S. 2178 Consumer Telephone Records Protection Act of 2006)

解説。

Charles E. Schumer 氏

同デック・ダービン(Dick  J. Durbin)上院議員の法案(S.2177 Phone Records Protection Act of 2006)(Text of S. 2178 (109th): Consumer Telephone Records Protection Act of 2006 (Reported by Senate Committee version) - GovTrack.us)解説。

Dick J. Durbin 氏

 なお、連邦議会で可決されなかった法案は連邦議会調査局(CRS)が管理しているが、民間の法案トラッキングサイト”gov track”の方が法案につき正確かつ丁寧にフォローしている。


(注)「pretexting」とは本人を装い、電話会社に電話してうその口実を使って電話代の請求のコピーを要求し、かけた電話の宛先、支払いのための銀行口座の明細等を違法に入手する行為をいう。個人のプライバシー侵害という観点で従来から問題視されている。

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(今回のブログは2006年2月3日登録分の改訂版である)

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