スキップしてメイン コンテンツに移動

EU議会未承認のまま暫定発効したEU米国間のSWIFTテロ資金追跡プログラム利用協定(その3完)

 (7)2010年 2月5日、欧州議会議長宛の米国財務長官および国務長官連名の親書

 ガイトナー財務長官とクリントン国務長官の欧州議会イェジ・ブゼク議長(元ポーランド首相(President Jerzy Buzek))宛親書の要旨を紹介する。
 EUや米国のテロ阻止の基本姿勢を踏まえ、リスボン条約下において引続きEUや米国の市民の安全やプライバシー保護にとって重要な意義をもつTFTPの成立について協力を求め、またこの協議を安全面やプライバシー面からより深めるため技術面や法律の専門家による検討や欧州議会と米国議会の代表によるTFTPの監視責任についてのハイレベル協議の働きかけを提案する内容となっている。

(8)2010年2月9日、欧州連合理事会の暫定協定支持の声明
 同理事会は従来理事会が主張してきた暫定協定の内容が、EU市民の人権保護面からの措置を手当てしているとするものである。しかし最後の部分で、リスボン条約の新体制下で議会とTFTPの長期的検討の重要性を訴えるなど微妙に異なる点もある。

(9)2010年2月11日、欧州議会本会議(plenary session)決議?
 欧州議会本会議では、共同決議になる可能性の意見が出されている。

5.今後のEU米国間の個人情報保護上の課題(私見)
前述したとおり、米国の政治戦略は依然テロ行為・テロ資金阻止のためには国際的にもあらゆる施策を取ることは間違いなかろう。
また、本ブログでも紹介してきているとおりEUの議会や保護機関だけでなく各国の保護委員等も保護強化の姿勢はより明確化している。

一方、わが国ではどうか、個人情報保護法は日本や海外の企業が国民の個人情報を海外に移送することについて何らの規定もないし、監督機関の運用でもこれらが直接問題となったことはない。

これら問題が今後のわが国の重要な検討課題である点を指摘するにとどめるが、例えばこれから取組が具体化するであろう「クラウド・コンピューテング」を金融機関等が利用し始めた暁には改めて大きな問題となろう。

 [参照URL]
http://www.swift.com/about_swift/legal/compliance/statements_on_compliance/swift_board_approves_messaging_re_architecture/index.page?
http://epic.org/privacy/pdf/swift-agmt-2007.pdf
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/07/968&format=HTML
http://www.europarl.europa.eu/oeil/FindByProcnum.do?lang=en&procnum=RSP/2009/2670
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2010:008:0011:0016:EN:PDF
http://www.statewatch.org/news/2010/jan/eu-art-29-cttee-swift.pdf
http://www.europarl.europa.eu/oeil/FindByProcnum.do?lang=en&procnum=RSP/2009/2670
http://www.europarl.europa.eu/news/expert/infopress_page/019-67946-025-01-05-902-20100125IPR67943-25-01-2010-2010-false/default_en.htm
****************************************************************************************

Copyright © 2006-2010 芦田勝(Masaru Ashida).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.

 

コメント

このブログの人気の投稿

米国CFTCがオハイオ州の男性とその所有企業をデジタル資産取引スキームにおける1200万ドル(約16億214万円)以上の不正勧誘と不正流用を理由に民事起訴

     米国の 商品先物取引委員会(CFTC) は8月12日、オハイオ州ニューオルバニー市住の ラスナキショア・ギリ(Rathnakishore Giri) と彼が所有するオハイオ州に本拠を置く NBD Eidetic Capital, LLC および SR Private Equity, LLC に対して、オハイオ州南部地区連邦地方裁判所に 民事法執行訴訟 を起こしたと 発表 した。   同訴状 は、ギリと彼の会社が150人以上の顧客から1200万ドル以上と少なくとも10ビットコインを不正に勧誘し、またギリと彼の会社がデジタル資産取引を目的とした顧客資金を不正に流用したと主張している。  さらに訴状は、ギリの両親であるギリ・スブラマニ(Giri Subramani)とロカ・パヴァニ・ギリ(Loka Pavani Giri)を、正当な利害関係のない資金を所有している 救済被告 (注1) として起訴している。  今回のブログは、(1)本起訴の詳細、(2)CFTC/SECの投資家アラート:ビットコイン先物における資金取引の注意喚起の概要について概観する。 1. 起訴の内容  CFTCは、その継続的な訴訟において、詐欺被害にあった顧客への補償(restitution)、不正に得た利益の返還(disgorgement of ill-gotten gains)、民事上の金銭的罰則(civil monetary penalties)、恒久的な取引および登録禁止(permanent trading and registration bans)、および 「商品取引法(Commodity Exchange Act :CEA)」 および 「CFTC規則(CFTC regulations)」 のさらなる違反に対する永久的差止命令(permanent injunction)を求めている。 2.本事件の背景  訴状は、2019年3月頃から現在まで、被告が運営しているとされるさまざまなデジタル資産投資ファンドに投資するために、少なくとも150人の顧客から1200万ドル以上と10ビットコイン以上を勧誘し、受け入れた詐欺的なスキームに関与したと訴えている。同訴状によると、被告は顧客への勧誘において、利益の保証やギリのデジタル資産トレーダーとしての成功話など、多数の虚偽で誤解を招くような声...

米大統領令(EO: Executive Order 14110)の具体的内容と意義およびそれに基づく責任の履行を支援するためNIST「情報提供依頼文書 」の具体的内容

   筆者は、12月6日の本ブログで2023年10月30日の大統領令(EO: Executive Order 14110)(以下、「EO」という)を受けたNISTの具体的行動につき 「 NISTからこのほど公開された「 NIST SP 800-226 草案」および「差分プライバシー保証を評価するためのガイドライン草案」に対するパブリックコメントの背景と意義」 を取り上げた。  しかし、執筆後もいまいち大統領令(EO)のファクトシートも含め真の目的や商務省の規則案のとりまとめ期限など疑問点が残されていた。その内容を補完する意味で今回のブログで補筆するとともに、後段でNISTが2024年2月2日を期限として発布した「情報提供依頼文書 (Request for Information (RFI) )」の概要について解説を試みる。  また、本ブログでは、わが国では詳しく論じられていない米国「国防生産法(Defense Production Act of 1950 :DPA)」の意義と最新動向にも言及した。  なお、今回のブログの内容は12月6日の筆者ブログと重複する部分が一部あるが、 Kilpatrick Townsend & Stockton LLPの和文解説 と併せ読まれたい。 Ⅰ.大統領令 (EO: 14110) の具体的内容の解析    JD Supra, LLCの 「The highly-anticipated US Executive Order on artificial intelligence: Setting the agenda for responsible AI innovation」 を要約しつつ仮訳する。  このEOは、多くの点で AI に関するこれまでのバイデン政権の行動を超えている。 この広範囲かつ堅牢な大統領令は、AI を規制するために既存の当局を利用することを想定して、米国の行政部門および政府機関 (機関) に、①標準、②フレームワーク、③ガイドライン、④最善実践内容を開発するよう指示した (また、独立機関にも同様に奨励する)。 また政府機関は、AI の責任ある使用に関係するほぼすべての連邦法、規則、政策に対して具体的な措置を講じる必要があるとする。  EOは、AI の使用から得られる利点を認識する一方で、国家...

DONATE(ご寄付)のお願い

  本ブログの継続維持のため読者各位のご協力をお願いいたします。特に寄付いただいた方で希望される方があれば、下記の筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中でございます。   ◆みずほ銀行 船橋支店(店番号 282) ◆普通預金 1631308 ◆アシダ マサル ◆E-メールアドレス:slutian165@gmail.com   【本ブログのブログとしての特性】 1.100%源データに基づく翻訳と内容に即した権威にこだわらない 正確な訳語づくり 。 2.本ブログで取り下げてきたテーマ、内容はすべて電子書籍も含め公表時から即内容の陳腐化が始まるものである。筆者は本ブログの閲覧されるテーマを毎日フォローしているが、10年以上前のブログの閲覧も毎日発生している。 このため、その内容のチェックを含め完全なリンクのチェック、確保に努めてきた。 3.上記2.のメンテナンス作業につき従来から約4人態勢で当たってきた。すなわち、海外の主要メディア、主要大学(ロースクールを含む)および関係機関、シンクタンク、主要国の国家機関(連邦、州など)、EU機関や加盟国の国家機関、情報保護監督機関、消費者保護機関、大手ローファーム、サイバーセキュリテイ機関、人権擁護団体等を毎日仕分け後、翻訳分担などを行い、最終的にアップ時に責任者が最終チェックする作業過程を毎日行ってきた。 このような経験を踏まえ、データの入手日から最短で1~2日以内にアップすることが可能となった。 なお、海外のメディアを読まれている読者は気がつかれていると思うが、特に米国メディアは大多数が有料読者以外に情報を出さず、それに依存するわが国メデイアの情報の内容の薄さが気になる。 本ブログは、上記のように公的機関等から 直接受信による取材 → 解析・補足作業 → リンク・翻訳作業 → ブログの公開(著作権問題もクリアー) が行える「 わが国の唯一の海外情報専門ブログ」 を目指す。 4.内外の閲覧者数の統計数(google blogger and WordPress) (1)2005.9~2017.8 全期間の国別閲覧数 (2) 2016.8~2020.8 WordPress 世界的な閲覧者数 4. 他にない本ブログの特性: すべて直接、登録先機関などからデータを受信し、その解析を...