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欧州委員会が国際カルテル違反として日本企業に課徴金を科したその背景とEUの独禁法政策

    Last Updated: April 30,2024 筆者は、今回の更新にあたり、14年前の欧州司法裁判の判決(Judgment)およびOpinionに行けつけるか極めて不安であった。(筆者注2)参照。 しかし、今回、実際に検索してみると、ごく簡単であった。その手順を追って後段補追で解説する。筆者の調査能力の腕もこの14年間で向上したのか。  1月24日に欧州委員会は発電所等で送電量を調整する主要システムであるガス絶縁開閉装置(Gas insulated switchgear:GIS)にかかる重電機メーカーによる国際カルテルに関与したとしてドイツのEU圏内の大手重電メーカーであるシーメンスAG (筆者注1) やわが国の三菱電機、東芝等合計10社に対し、総額7億50,712,500ユーロ(約1,200億円)の課徴金を科す旨発表した。このニュース自体すでに新聞等各紙で報道されていとおりである。  また、これに比べ一部のマスコミにしか載らなかったようであるが、欧州司法裁判所の 判決 は2007年1月25日に新日本製鉄、住友金属や欧州の企業計4社からの国際カルテル行為に関する上告を退けている。原告は欧州委員会である (筆者注2)    これらの背景にあるEU自体の独禁法運用強化、エネルギー政策、環境問題等に関する大きな動きについて、わが国のメデイアはほとんど触れていない。  本ブログでは、①国際化が進むわが国企業が真摯に取組む必要があるEUのエネルギー政策とカルテル規制の実情を正しく認識する、②日本企業に対する処分について単なる感情論ですまされない国際カルテル問題の背景にある諸問題について解説する、③今回は対象とならなかった「損害賠償請求」制度やシーメンスが予定している欧州司法裁判所 (筆者注3) への不服申立てを提訴する場合の手続き、④2013年12月19日、欧州司法裁判所は、ガス絶縁開閉装置市場におけるカルテルに関するシーメンス、三菱、東芝の控訴を棄却、シーメンスに課せられた3億9,656万ユーロの罰金と、三菱と東芝がカルテルに参加したという認定はこうして確定した、最後に④EU競争法の改正などへの取組課題について簡単に言及する。  また、欧州委員会はこれら企業が16年間(1988年から2004年)公益事業会社や消費者を騙し続けてきたと指摘している(下記...

EU加盟国や米国等で急増するスパム被害と規制立法や業界自主規制の状況(その2完)

   ⑤ 2021年10月20日のデクレ (Décret n° 2021-1362 du 20 octobre 2021) 公布  デジタル経済への信頼のために2004年6月21日の法律№ 2004-575の第6条に従ったオンラインコンテンツの作成に貢献した人物を特定するためのデータの保持に関する 2021年10月20日のデクレ (Décret n° 2021-1362 du 20 octobre 2021) を発令  立法目的: オンラインに投稿されたコンテンツの作成に貢献した個人を特定できるようにするために、保持する必要があるデータのカテゴリーを決定する。  注意事項: このデクレ政令(Décret n° 2021-1362 du 20 octobre 2021)は、オンラインに投稿されたコンテンツの作成に貢献した個人の識別を可能にするデータの保存と通信に関する  2011 年 2 月 25 日のデクレ政令第 2011-219 号を廃止 し、置き換えるもの。  このデクレに準じた【 法的通知の例 】「グリダウ(GRIDAUH)」は制度と計画法、都市計画、住宅に関する研究グループであるは、1996年5月28日の省庁間布告によって作成されたフランスの公的研究利益団体。 *************************************************************** Copyrights (c)2006-2007 福田平冶 All rights Reserved.

EU加盟国や米国等で急増するスパム被害と規制立法や業界自主規制の状況(その1)

  Last Updated:April 30,2024  スパム問題は、単なる「迷惑なメール」 (筆者注1) 問題ではすまない経済的損失、企業のセキュリティの脆弱性への脅威および個人のプラバシーの著しい侵害行為として、その違法性が大きな社会問題と感じているのは筆者だけではあるまい。  また、スパムメール問題はマーケティング活動と裏腹の問題でもあり、規制立法のみでなく業界の自主規制による対策の限界も見えてきたといえる。さらに、各国の法規制の例外規定による不整合さもうかがえるし、技術的な対策の限界も指摘されている。  今回のブログではこれらの点を概観しながら、スパムに関する社会的・経済的な損失を危惧しかつ新たな詐欺問題に取組んでいるEU加盟国や米国の現状を紹介する。  なお、わが国ではスパムに対する法規制として、(1)送信事業者に対する「 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 」 (筆者注2) 、(2)販売事業者に対する「 特定商取引に関する法律 」 (筆者注3) があり、それぞれ新たな違法行為に即して法改正が行われているが、その一方で特定商取引法施行規則により義務づけられている表示の効果や罰則についての効果を疑問視する声が多い。この点は、個人情報保護法(プライバシー保護法)の規定を明確な根拠にしてスパムの法規制を行っているフランスの取組等が法規制の在り方を議論するうえで参考になろう。    また、景品表示法( 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年五月十五日法律第百三十四号) )に関し、公正取引委員会が平成14年6月5日付けで 「消費者向け電子商取引における表示についての景品表示法上の問題点と留意事項」 を公表しており、これもわが国のスパム対策法規制といえる。  わが国の関係者が懸念するとおり、インターネット先進国ほど議会、司法・法執行関係者、関係省庁間で危機感をもって取組む重要課題となっている点を改めて紹介し、今後一層混乱するであろうスパム対策において効果を上げるべく施策の導入と消費者の問題認識の向上に注目したい。  本テーマについては当初2回くらいでまとめるつもりであったが、EUの主要国や米国をまとめるとなるとさらにブログへの登載が遅れるため、前編の2回分に引続き、ドイツ、スェーデン、ノルウェイ、英国、米国の取組の現状およびわが国の取組むべき課...

ルクセンブルグ大公国の金融機関における法令遵守課題への取組に関する影響度調査結果

  Last Updated:March 12,2021  ルクセンブルグ銀行協会 は、監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)の協力の下に標記調査を行い、2006年12月5日にその内容を公表「ABBL,DELOITTE-Reglementation:Quel impact sur le secteur financial a Lexembourg, Luxembourg, Deloitte,2006」した。詳細編と要約編とで構成されているが、今回のブログでは 要約編 を元に紹介する。なお、関心のある向きは 詳細編 (全28頁)を参考とされたい。  これらのテーマについては、わが国の業界新聞等でも随時取り上げられているが、人口は約465,000人という極めて小国ながら、一方で極めて豊かな国であるルクセンブルグ(Grand Duchy of Luxemburg) (筆者注1) の金融機関がこれらの遵守項目について過去および今後3年間どのように点に重点を置きながら取組んでいるか、また膨大なIT投資や法令遵守にかかる費用の評価等、国際化するわが国の金融機関の今後を見据えた経営面の研究材料として参考になるものと判断し、取り上げた。  なお、今回の調査対象項目として、例えば「バーゼルⅡと EU資本要求指令(the Capital Requirements Directive:CRD) 」 (筆者注2) 、「EU投資信託指令Ⅲ(Undertaking for Collective Investment in Transferable Securities :UCITS Ⅲ)」 (筆者注3) 、「貯蓄利子課税に関する閣僚理事会指令(Council Directive 2003/48/EC )」 (筆者注4) 、および「金融商品市場指令(MiFID)」 (筆者注5) 等といったEU加盟国固有の課題が含まれている。EU加盟国の金融機関が取組んでいるこれらの課題についての概観・改正経緯・関連法令を理解するには「 EurActiv .com」サイト の「financial services」が良く整理されているので、関心のある向きは併せて参照されたい(わが国では一覧性をもってこのレベルに達している資料はない)。 1.調査目的  過去3年以上にわたり、ル...