インドの中央銀行であり、かつインドの決済システムの規制当局である 「インド準備銀行(RBI)」 は7月14日、Mastercard Asia / PacificPte Ltd(以下、”Mastercard”という)にあらたな 遵守制限を課す 命令(diective) を出した。すなわち、2021年7月22日以降、新規のインドの国内顧客(デビット、クレジットおよびプリペイドカード)をカードネットワークに取り込むにつき、オン・ボーディング (注1) を実施したのである。 今回のブログは、(1) RBIの命令 の内容、(2)米国の大手クレジット会社のインドの銀行等への影響等を概観し、最後に(3)2018年4月6日付け各金融機関の会長兼常務取締役/最高経営責任者宛て通達内容を概観する。 なお、RBI命令はデータ保存場所の問題のみを問題視しているのか、2018年4月の各金融機関のトップ宛ての法令遵守の中身とも関連する問題があるのか、さらにナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相によって推進されている国内決済ネットワーク”Rupay”との関連など範囲は極めて広い問題である。この点は機会を改めて述べたい。 1.RBIの命令の内容 2018年4月からというかなりの時間の経過と十分な機会が与えられていたにもかかわらず、Mastercardは依然RBIのインド国内金融機関向け命令(directive)の不遵守・非準拠であることが判明した。Mastercardに対し7月22日以降インド国内の顧客に新しいデビットカードやクレジットカードを発行することを 無期限に禁止 した。主要市場での米国企業に打撃を与えるものである。 このような動きは、2021年4月23日、 RBIが5月1日からAmex, Dinersに対し新規カードの販売を禁止したことに始まる(Reserve Bank of India bans Amex, Diners from selling new cards from May 1) しかし、インドでは比較的小さなプ...
フランスやドイツ等を始め欧州議会選挙での極右政党の躍進が著しい。筆者は、その背景について改めて調査する中で特にドイツにおける極右政党に対する諜報機関や裁判所の厳しい見方を整理したいと考え、今回の取りまとめることとした。 特にドイツ連邦共和国基本法の問題、 刑法解釈問題につきピッツバーグ大学ロースクールのレポートなどを中心に仮訳とともにまとめてみた。 なお、ドイツだけでなく EU 全体として極右思想やテロ思想の対する具体的法規制の具体性についても一部引用した。先般の都知事候補の選挙広報やテレビ放送などにおけるわが国憲法の言論の自由規定のはき違い・誤解などをみるにつけわが国でも参考とすべき点が多い。 なお、関係者の略歴、写真、関係 URL とのリンクは筆者の責任で行った。いずれも高学歴かつ政治面の専門性や経営実務経験を有していること等、注目される点も多い。 1. 2017 年 1 月 17 日、連邦憲法裁判所は、極右政党 NPD (国民民主党)について違憲性を認めたが、違憲に当たる目的を達成するほどの勢力を確認できないとして、政党禁止としなかった 外国の立法 (2017.4) 国立国会図書館調査及び立法考査局) から以下、抜粋する。 今回の判決において、連邦憲法裁判所は、NPD のコンセプトは「自由で民主的な基本秩序」の排除を目指すとし、その違憲性を確認した。しかし、同時に、新たな政党禁止の要件として、当該政党が違憲に当たる目標を実現する可能性があることの具体的な根拠がなければならないことを示した。連邦憲法裁判所は、以下のとおり、議会及び議会外における NPD の影響力を確認し、NPD が違憲に当たる目標を実現する可能性はないと判断した。 <議会における影響力> ・連邦議会に議席を有したことは一度もない。 ・州議会については、ザクセン州において 2004~2014 年に、メクレンブルク・フォアポメルン州において 2006~2016 年に議席を有したが、現在は全く議席を有していない。 ・欧州議会には、1 議席を有するのみである。 ・自治体の議会においては、現在合わせて約 350 議席を有する。しかし、自治体の議席数が全部で 20 万以上であることを考慮すれば、取るに足らない。 連邦憲法裁判所は、NPD は、自治体の議会において若干...