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11月, 2023の投稿を表示しています

米国とインドは民間原子力協定の締結に向けた対話の再開:両国は20年以上の遠い昔の夏の約束を果たすべき(その2完)

  4.米国ではインドの核兵器問題が依然として協力推進を邪魔をしている  インドが民間原子力協定の商業的約束を実現する方法を模索しているとしても、バイデン政権が自ら目標を定めたことは賞賛されるべき目標であるが、同政権にはこの協定から生じるもう一つのより大きく、より重要な課題がまだ残されている。それは、米国の大戦略におけるインドの核兵器計画問題に対処することである。  民間原子力協定の根本的な前提は、インドの核兵器は米国の地政学的利益を脅かすものではなく、そのためバランスを維持するためにインドとの民間核貿易を復活させたり、アジアの自由を支持する権力に関し、ニューデリーとの協力を深めることを妨げるものとして扱われるべきではないというものだった。 この確信は、中国が世界舞台で米国の最も重要な競争相手であると認識されるずっと前に、ブッシュ大統領の対インド政策の劇的な転換を促した。  強硬な中国の力がインド太平洋地域における最も差し迫った戦略的脅威であることが十分に明らかな今日、アジアにおける有利な地政学的均衡を維持することが米国にとってますます重要になっている。理想的な世界では、急成長する米印関係により、ニューデリーは米国と協力して最も危険な不測の事態に対処できるようになるだろう。その中には、アジアにおける米国の条約同盟国に対する中国の脅威や、台湾との戦争の可能性から生じるこれまで以上に困難な問題も含まれるだろう。  米国の同盟国であるオーストラリアと日本はすでにこれらの基準を満たしているが、インドは満たしていない。したがって、現在進行中の米中対立の文脈において、米国にとってのインドの価値は主に、独立して中国に立ち向かうニューデリーの能力に由来している。もしインドがそのような能力を持っているなら、ニューデリーが効果的に中国とのバランスをとるためにワシントンの支援に執拗に依存する必要がなければ、中国がアジアで力を発揮する能力を制限することになるだろう。  ブッシュ政権が「インドが21世紀の世界大国になるのを助ける」という野望を宣言して以来、ワシントンでの相次ぐ政策は、ニューデリーがしばしば米国の国益にもたらすジレンマにも関わらず、まさにその目的によって動機付けられ、インドの能力構築に倍増した。インドが必要に応じて独自に中国をチェックメイトできるよう十分な力を蓄積できる...

米国とインドは民間原子力協定の締結に向けた対話の再開:両国は20年以上の遠い昔の夏の約束を果たすべき(その1)

   去る11月27日、被者の手元にカーネギー国際平和基金のタタ戦略問題担当議長 (Tata Chair for Strategic Affairs) 兼上級研究員である アシュリー・J・テリス(Ashley J. Tellis)  氏 (筆者注1) から以下のメール(*)が届いた。 Ashley J. Tellis 氏  その要旨は、米印民間原子力協定の履行に向けてインドとの対話を再開したその意義や課題をまとめたというものである。  一方で、世界の核兵器問題に関し、核兵器禁止条約の第2回の締約国会議は、ニューヨークの国連本部で、日本時間の11月28日0時すぎから始まった。この会議には、締約国ではないもののオブザーバーとして参加を表明している国が少なくとも20か国にのぼり、アメリカの核の傘のもとにあるドイツやベルギー、オーストラリアなどが参加しているが、日本は参加していない。  今回のブログは、Ashley J. Tellis氏のレポート内容をできるかぎり正確に内容をフォローすべく、例えばわが国メデイアでほとんど報じられない インドの原子力損害賠償法(India’s Civil Liability for Nuclear Damage Act (CLNDA) of 2010) の内容・問題点等に言及する。  なお、Ashley J. Tellis氏は2023年5月18日から3日間ポルトガル・リスボンで開かれたビルダーバーグ会議(Bilderberg Meetings, Bilderberg conference, Bilderberg Group, Bilderberg Club)の参加者(No.116)でもある。このいわゆる秘密国際会議は、1954年から毎年1回、世界的影響力を持つ人物や企業、機関の代表が130名から150名ほど集まり、世界の重要問題や今後の主に政治経済や社会等を主なテーマに完全非公開で討議する秘密会議。(Wikipedia から一部抜粋) なお、 スイスのメデイアswissinfo.ch「米国務長官も参加 完全非公開のビルダーバーグ会議って?」(日本語版)参照、なお、swissinfo.chサイトの中で「ビルダーバーグ会議」へのリンクがなされているがエラーとなる。下記の筆者が指定するURLを使われたい。  公式サイトから見た「ビ...

ドイツ連邦両議会は「ロビー活動登録法」の締め付けを強化する一部法改正を可決

   ドイツでは、この数年連邦議会および連邦政府に対するロビー活動の透明性確保のための施策として「ロビー活動登録法(Lobbyregistergesetz) :以下「登録法」という」 (筆者注1) が 2021 年 4 月 27 日に成立、公布、2022年1月1日施行された。   この法律については、わが国では国立国会図書館が2021年4月に 簡単な解説 を行っている。  ところで筆者の手元に、最近ドイツ連邦参議院(Bundesrat)のKOMPAKT  (筆者注2) の標記議会決議(Beschluss )のニュース (https://www.bundesrat.de/DE/plenum/bundesrat-kompakt/23/1038/06.html?view=renderNewsletterHtml)が届いた。これにより「ロビー活動登録法」の更なる規制強化法案が可決されたことになる。   さらに筆者が独自に調べた範囲で補足すると、連邦議会(Bundestag)の登録法の改正の解説サイトも併せて読む必要性を感じ、あらためて 連邦議会サイトの法解説 等を読んでみた。そこで一部法改正の内容、経緯につき要約すると以下のとおりとなる。   Ⅰ.連邦議会サイトの改正法の解説  1. ロビー活動登録法の改正案が提出  2023年6月23日(金)、連邦議会はSPD(ドイツ社会民主党:Sozialdemokratische Partei Deutschlands) (筆者注3) 、同盟90/緑の党(ALLIANCE Bündnis 90/Die Grünen)Bündnis 90/Die Grünen) (筆者注4) およびFDP (筆者注5) が提出した 「ロビー活動登録法改正案(20/7346)( Gesetzentwurf der Fraktionen SPD, BÜNDNIS 90/DIE GRÜNEN und FDP:Entwurf eines Gesetzes zur Änderung des Lobbyregistergesetzes)」 を初めて審議した。 さらに、ディー・リンケ議員グループからの 「ロビーの透明性とロビー連絡先の開示に関する独立審査機関」と題された動議(20/288)   (筆者注6) と、AfD...

米国FBI、イスラエルとハマスの紛争中に慈善詐欺が米国民の善意を悪用する可能性があると警告

   2023年11月24日、筆者の手元に米国連邦捜査局(FBI)の 警告リリース が届いた。本ブログではこれまで慈善詐欺に関する連邦司法省やFBIの注意喚起を取り上げてきたが、わが国でも同様の詐欺が広がることが予想されることから引き続き取り上げる。  米国連邦捜査局(FBI)のカリフォルニア州サクラメント現地事務所は、 イスラエルとハマスの紛争中に関し犯罪者 が偽寄付を募っていると国民に警告している。これら 慈善詐欺 は、善意の地域コミュニティおよび人生を変えるような大災害(life-changing catastrophes)の影響を受けやすい弱い立場にある人々の両方を犠牲にしている。  これらの詐欺は、戦争、自然災害、広範囲の伝染病などの紛争が激化している時期に特に蔓延する。犯罪者は多くの場合、これらの危機を、人道活動を支援しようとする個人を搾取する機会として利用する。これら犯罪者は、既存の慈善団体、または新たな紛争に関連する新しい慈善団体の創設者と関係があると主張する。  また地元コミュニティは、被害を受けた家族のために寄付金を集め、その寄付金を個人的な利益のために、または国内または国際的な犯罪企業の支援に使用すると主張する犯罪者個人によって標的にされる可能性がある。  外国のテロ組織では、ソーシャル・ メディア・ プラットフォームを使用して偽の慈善団体を設立し、知らないうちに寄付者を誤ってその活動に関し入手した慈善寄付金を振り向けることがよくある。彼らはその後、①ソーシャル ・メディアへの投稿、②電子メール、違法な勧誘電話(cold call)や電子メール、またはクラウド・ファンディング・ Web サイトのリクエストを通じた勧誘等が行われる。 *慈善詐欺の被害者にならないようにするにはいかなる点に留意すべきか。 ダイレクト・ メッセージ、電話、電子メールを含むすべての望まない一方的なコミュニケーションには疑いを持って対処されたい。 電子メール内のリンクを安易にクリックしたり、一方的な電話が公式の情報源からのものであると考えるのではなく、受け取った個人は必ず慈善団体の公式 Web サイトに直接アクセスして連絡先情報を入手してほしい。 新しい慈善団体についてはオンラインで徹底的に調べ、寄付する前に電話番号または電子メール・アドレスを確認されたい。オンラ...