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7月, 2020の投稿を表示しています

GAFAの規制強化法案や反対する通信品位法(Communications Decency Act)第230条の擁護派の動向,議会下院司法小委員会のGAFAによる独占禁止法問題公聴会の模様

   7月28日、筆者の手元にTechCrunchのニュース 「Twitter restricts Donald Trump Jr.’s misinformation 」 が届いた。このニュースにつきNHKは29日の昼のニュースでトランプ大統領自身がTwitterアカウントの一時凍結と解説 (筆者注1) したが、もともと虚偽情報をツイートしたのは息子でトランプ大統領はretweet(他人のtweetのコピーして再投稿)責任を問われたのみである。  初めに、この問題を正確に紹介するのが今回のブログの第一目的である。しかし問題は、それだけにとどまらないのである。  筆者が本ブログの連載で取り上げた大統領選挙がらみのGAFAバッシングが進み、一方で連邦議会や大統領等に対抗するGAFAの活動も激しくなっている。   今回筆者が取り上げるのは、米国の新型インフルエンザ感染問題の陰に隠れた問題として、(1) Trump Jr.’s misinformation retweetの事実関係の解説、(2)大統領行政命令に始まる独占的プラットフォーム(GAFA)の規制強化法案の上程の動きと具体的な法案の概要、(3)これとは 反対するグループの運動(通信品位法(Communications Decency Act)第230条の擁護派)の活動の中身 、(4)連邦議会下院司法小委員会が長年取り組んできたGAFAによる独占禁止法(anti-trust)問題と7月29日に開かれた公聴会の模様、(5)日本語版Twitterサイトの問題点などをフォローする点である。  これらの問題自体、米国のビジネス界と政府や議会、大統領選挙の行方も極めて絡んで混乱しつつある現状を整理することと、さらに時間があれば筆者がなおFacebookやTwitterアカウントを作成・利用しない理由にも言及する。 1.大統領の息子(Donald John "Don" Trump Jr.)がコロナウイルスのパンデミックについて虚偽的で潜在的に生命にかかわると主張する動画を共有した後、Twitterはドナルド・トランプJr.のアカウントを一時的に凍結    TechCrunchのニュースを 仮訳 する。なお、 Financial Times 記事 「Twitter、Covid-19ビデオでトラ...

米国商務省は、FCCに対しオンラインプラットフォーム企業の責任範囲を明確にし、検閲から保護するための規則制定の請願書を提出」(米国大統領選挙の重要課題その2)

   7月27日、米商務省・国家電気通信情報局(NTIA)は、ウィルバー・ロス米国商務長官に代わって、 通信品位法(Communications Decency Act)第230条 に関する規制を明確にするよう規則作成の請願書(petition for rulemaking)を連邦通信委員会(Federal Communications Commission :FCC)に提出した旨、 リリース した。  この請願書は、オンラインプラットフォーム企業によるオンライン検閲の防止に関する 2020年5月28日の大統領行政命令 に応じて提出された。これは、オンラインプラットフォームが法律(Communications Decency Act)の下で特に概説されていない方法でコンテンツへのアクセスを制限する場合、通信品位法第230条の保護を主張できる時期を明確にするようFCCに求めている。  この問題の動きの背景は、明らかにトランプ大統領に選挙対策である。自身は日頃思いつき、場当たり的な言動訴繰り返すドナルド・トランプ米大統領が5月28日、Facebook、Google、Twitterなどのオンラインプラットフォームによる「検閲(censorship)」を取り締まるための大統領行政命令に署名した点にある。この動きは、大統領が「郵送投票は実質的に不正な行為だ」(郵送投票は自身の陣営に不利であると信じ切っている)  (筆者注1) と主張した2件のツイートに対しTwitterが"要事実確認"のラベル付けをしたことをきっかけとしたものである。ツイートをばらまきながら、一方では、オンライン・プラントフォームのやり方が検閲であるとする、きわめて身勝手な行動である。  今回の連邦行政規則第1.401条に従い、合衆国憲法修正第一との関係で聖域とされてきたがこの問題につき大統領選挙の争点もあるこの問題に取り組み始めたことは言うまでもないが、一方、FCCは極めて透明で公正なFCCの規則制定手続を行う機関であることも間違いない。 (筆者注2)  今後の大統領選挙の今後を見極め上で見極める重要な問題である、引き続きウォッチする。 1.商務省のリリースの概要  ウィルバー・ロス商務長官は、「多くのアメリカ人は、オンライン・プラットフォームを利用して情報や接続を維持し、重要な問題につ...

トランプ大統領やバー司法長官によるニューヨーク州南部地区連邦地検(SDNY)の連邦検事の解任手続きにかかる憲法やこれまでの最高裁判例との関係を検証

   多くの米国等メディアやわが国のメディア (注1) が報じた「6月19日の夜遅く、ウィリアム・バー(William P. Barr)司法長官は、トランプ大統領がジェイ・クレイトン(Jay Clayton)SEC委員長をジェフリー・バーマン(Geoffrey Berman)連邦検事  (注2) の後任としてニューヨーク州南部地区連邦地検(SDNY)の連邦検事に指名する予定であると発表」やこれに対するバーマン検事の反論など、トランプ政権の混乱する恣意的人事施策につき各種報じられてきた。 Geoffrey Berman氏  しかし、その中で筆者が最も理解できなかった点はバーマン検事の反論の中で自分は大統領から任命されたのではなくニューヨーク連邦地方裁判所の裁判官から任命されたのであるという点であった。  その法的根拠は如何という点であり、これにつき筆者が日頃熟読している法律専門解説サイト「The Volokh Conspiracy」の6月20日の解説記事David G.Post氏  (注3)  の「Who Can Fire the US Attorney for the Southern District of New York? The answer may surprise you.」」を読んで目から鱗が落ちた気がした。  しかし、なおバーマン検事の2回にわたる声明を読むと、さらなる疑問がわいてきた。すなわち、6月19日にはトランプ大統領と司法長官の協議にもとづく解任措置に対し、連邦議会上院の承認が出るまでは暫定代理の連邦検事はありえないといっていたのに、翌20日にはSDNYの連邦検事代理(No.2)であるオードリー・シュトラウス(Audrey Strauss )氏6/22(26)( https://www.justice.gov/usao-sdny/meet-acting-us-attorney )に席を譲ると表明した点である。 Andrey Strauss氏  まさに、法律論では解決できない世界ではあろうが、現SEC委員長が公認候補と指名されている重要なポストだけに連邦議会上院での承認手続きの透明性も含め、いずれにしてもしかるべき専門家による法律的にきちんとした説明をしてもらいたいと考える。  今回のブログは、(1) Da...

欧州司法裁判所がSchremsⅡ判決でEU市民の第三国へのデータ移送に関しプライバシー・シールド決定の無効判断および標準的契約条項に関する決定の有効性判断(その1)

   7月16日、米国商務省ウィルバー・L.ロス長官は、この欧州連合司法裁判所(CJEU)のシュレムスⅡ事件に関する7月16日判決についての 声明 を発表した。 Wilbur L.Ross氏  その内容は本文で詳しく述べるが、わが国内でこのCJEU判決の解説を代表的なものを読んでみたが、果たして原告が指摘した問題点等が明らかになっているようには思えない。  つまり、2015年6月欧州司法裁判所判決により米国とEU欧州委員会が協議を重ねた「セーフ・ハーバー決定」が 無効 と判断され、これを受けてさらなる協議を行い作成したプライバシー・シールドの枠組みも再度 無効 とされた点である。  この2つの裁判は申立人がオーストリアに居住するオーストリア国籍のマクシミリアン・シュレムス(Maximillian Schrems:通称Max Shrems)氏 (筆者注1) である点、申立て内容もほぼ同じである。  このような点のほかGAFAなどの活動をめぐる各国のDPAの厳しい締まりの実態が明らかとなる中でさらなる疑問がわく。  すなわち、(1)CJEU判決を受け、欧州データ保護会議(European Data Protection Board:DPB)は加盟国の監督機関からの照会に対応したりCJEU判決のさらなる解析を目的とするFAQを7月23日に 公表 したが、その内容は如何、(2)この判決はGDPRの解釈、運用の一層の迅速な厳格化を求めるものである(SCCsやBCRといえども無条件での運用継続は不可である)が果たして企業実務から見たら具体的な対応の中身は如何(最大規模のローファームのレポートが恰好の材料を提供している)を次回以降取りあげる予定である。  また、関連テーマとしては、(3)プライバシー・シールドの枠組み (筆者注2) や運用の実態は如何、特にCJEUが大きな懸念を指摘するオンブズ・パーソン・メカニズム(Ombudsperson mechanism)の法的有効性や恒久オンブズ・パーソンである米国務省国務次官キース・J.クラック(Keith Krach)氏とはいかなる人物か, その現政権や議会からの独立性は保証されているか (筆者注3) 、、(4)CJEUが最も問題視する米国 FISA(Foreign Intelligence surveillance Act)...