筆者の手元に 6 月 18 日付の ABC news が届いた。 ( 注 1) 表題を読むだけでこれまで好調であったオーストラリアの不動産取引が COVID-19 の影響をもろに受けて急速に住宅価格の暴落の懸念が RBA 内でも広がっており、政府財務省などが音頭を取って進めている「 HomeBuilder プログラム ( 新しい住宅の建設または既存の住宅の大幅な改修を行った適格な所有者(最初の住宅購入者を含む)に 25,000 豪ドル ( 約 1,833 万円 ) の助成金を提供するもの ) 」の見直しに影響を与えたといった指摘も出始めている。 今回のブログは、従来詳しく論じられていない準備銀行の内部実態に言及しつつ、わが国で積極的に活用されていない情報公開制度の具体的活用方法のアドバイスにも寄与させるべくまとめるものである。 以下で、 ABCnews 記事の仮訳を行う。また、言うまでもなく筆者の責任で項目立てならびに関係データへのリンクや補足を行った。 【 6 月 18 日の ABC news 記事のキーポイント】 ・ FOI ( 注 2) の下で関係者が取得した 6 月 17 日に公開された RBA の内部文書「 COVID-19 の住宅市場に与える影響 (Impacts of COVID-19 om the housing market) 」は住宅価格の急激な下落を警告する内容である。 ・ 2020 年 4 月、 RBA のエコノミストが同僚に手紙を出し、緊急時に株式市場での取引が行われるように住宅市場を停止するよう求めた。 ・ 建設業界の状況の悪化に関する RBA 報告 は、 連邦政府 ( 財務省 ) の「 HomeBuilder プログラム」 ( 注 3) の発表に影響を与えた可能性がある。 1.オーストラリアの中央銀行 RBA の開示請求に応じた内部文書の内容 準備銀行のエコノミストは、連邦政府に不動産業界の閉鎖を要請し、コロナウイルスに触発された住宅市場の暴落の知見を回避するために、既成中古住宅の販売を「一時停止 (shut down) 」することを検討した。 オーストラリアの 中央銀行 RBA の内部文書 ( 2020.3.11 に開示申請、 6.17 回答・公開
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。