Last Updated:April 30,2024 連邦取引委員会によるモバイル・ビジネス事業者が開発するモバイルAppに対するセキュリテイ・チェックはわが国に比べきわめて厳しい内容である。これら事業者のカテゴリーも映画のチケット販売業者であるFandangoや個人信用情報提供ニュービジネスであるCredit Karma等が対象になってきている。 去る8月19日、 FTCは被申立人たるFandango とCredit Karmaに対する責任を明示した最終和解命令(final orders settling:Decision and Order) (筆者注1) につき承認した旨 リリース した。 これらのニュービジネスの中身もさることながら、筆者が見て共通的な問題点は(1)セキュリテイ対策の不十分性と(2)消費者向けの説明文言の不適格性である。 これらの問題点は実はわが国の類似の事業者でもきわめて共通的に見られる内容であり、わが国の監督機関の不十分性を補完するとともに、個別企業に対する警告という意味で本ブログをまとめた。 FTCの両社との間の最終和解命令にかかるリリース文は、きわめて簡潔に2社の問題と最終和解命令の内容を説明している。そこで本ブログは実務面からFandangoに対する告訴状の内容を詳しく紹介すべく仮訳するとともに、今後20年間にわたる具体的法令遵守、職員・子会社等への徹底、FTCへの報告義務等を概観するものである。 なお、Credit Karmaのニュー・ビジネス自体についても、個人情報保護やプライバシー保護の観点から念入りに検証すべき問題と考えるが、それ自体が大きなテーマなので概要のみ取り上げる。 1.被申立人Fandangoに対する告訴状 (1)FTC最終合意命令にいたる経緯 FTCサイト 「 Fandango, LLC」 が次のとおりまとめている。 ○2014年3月28日: FTCとFandangoの同意命令を含む合意文書(Agreement Containing Consent Order) ○〃 : FTCの申立書(Complaint)...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。