いうまでもなく我々が日ごろ持ち運ぶ各種モバイル端末については、「スマホ中毒」、「ネット依存症」等という言葉が深刻に受け止められる時代になった。 ところで100万以上あるといわれるモバイル・アプリケーション(以下「アプリケーション」)の実態をふまえ、そのプライバシー侵害やプライバシー・ポリシー自体が存在しない等といったいいかげんなビジネス自体が大きな社会的問題となりつつある。 この問題に正面から取り組んでいるのが、カリフォルニア州司法長官府である。資金面の重要性という観点からその効果を強調し過ぎという点が気にならないでもないが、今回のブログは、同府の2012年2月以来の具体的な活動内容を追いつつ、わが国としてきわめて遅れているこの分野の対策に取り組むうえでの参考とすべきと考え、急遽まとめた。 (注1) なお、いうまでもないが、本ブログの理念とするところである、一般メディアではフォローしていないリーガル・ブログとして、可能な限り内容の正確性を追った。すなわち、同州の法律、法執行機関の組織等の内容を正確に反映すべく、リンクや 仮訳 に努めた。 1.2011年12月13日 カリフォルニア州司法長官が「サイバー犯罪部(eCrime Unit)」の新設を公表 司法長官 カマラ・D・ハリス(Kamala D. Harris) は12月13日、司法長官府の検事や研究者部門とスタッフ要員およびID窃盗犯罪、サイバー犯罪や技術の使用を含む他の犯罪を特定し、起訴する任務を負う「サイバー犯罪部(eCrime Unit)」 (注2) の新設を 公表 した。 (注3) 本ブログの第3項で詳述する司法省府内のプライバシー保護専門部(Privacy Enforcement and Protection Unit)(以下「プライバシー・ユニット」の創設は 、「カリフォルニア州情報漏洩対策法(Security Breach Notification Law)」(SB-1386) (注4) の改正(2012年1月1日施行)に続く措置である。 (注5) ここで同法の改正の要旨や経緯、各州の立法状況等につき、ローファーム WSGR および Inside Privacyの記事 等にもとづき概観しておく。なお、今回の 改正法案(S.B.No.24) の提案議員である上...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。