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4月, 2013の投稿を表示しています

警察庁有識者会議が警察によるISPに対する“Tor”利用行為の通信遮断要請の具体化の勧奨報告書

   オーストラリアの人権擁護NPO団体 “Electronic Frontiers Australia Inc.(EFA)”  から手元に届いたニュースに、 毎日新聞英字版 や 日経新聞の記事 に基づく警察庁有識者会議の提言内容が紹介されていた (注1) 。有識者会議の報告書の内容は非公開 (注2) なため、不本意ながらその内容はメデイア記事のみに頼らざるを得ない。  今回のブログは、この問題に関するEFAのプライバシーに対する懸念・問題指摘をまず紹介するとともに、Torの実施・運用NPO団体である“Tor project .org”が欧米主要国の法執行機関・警察や関係機関との相互認識強化に関する情報を改めて提供するものである。特に後者の問題は有識者が“Tor system”につき、いかほど正確に把握しているか不透明であり、その意味でも報告書の早い公開が必須なことは言うまでもない。 1.EFAの課題指摘の内容  同レポートを 仮訳 しておく。 ・日本の警察庁(National Police Agency:NPA)は、自国のISPに「自発的に」Tor(インターネットを匿名でサーフィンするため広く利用されている有名なシステム) (注3) の使用を妨害するよう、明らかに依頼している。  NPA(それはTorシステムを悪用している犯罪を防止するための措置を調べていた)に向けた専門家による議論は、4月18日のレポートでサイト管理者の裁量のブロッキング・パソコン通信がそのような犯罪を防止することに効果的であるとしていると編集した。同会議の推奨に基づいて、NPAはインターネット・プロバイダー産業界や他の団体にその旨を自発的な努力をするよう求める。  これは、極端に危険な過剰反応といえる。確かに、一部の人々は、違法な行為の目的で、Torの匿名性を悪用する。まさに一部の人々が悪いことをするために「現金の匿名性」を悪用するのと同じである。  しかし、そうであるからといって、我々はこのため「現金」を非合法化しない。人々には彼らの個人識別(アイデンティティ)を保護するためのTorのような匿名化(anonymizing)しているツールを捜す多くの正当な理由がある。彼らが警察で組織犯罪または汚職に関して警告を鳴らすホイッスルブロアーであるならば、どうであろうか?。それが犯罪...

米国ボストン・マラソン爆発テロ事件等を悪用した詐欺スパムメールに対するIC3の警告や寄付の見直し論

  (本ブログは2013年4月27日に注書きを加筆した)  4月18日(日本時間の未明)、筆者の手元にボストン・マラソン爆発テロ事件の被害者救済を名乗るスパムメールが2つ届いた。 (1)送信者:Cornelius Webster <sddsdad@lserve.com>、件名:Explosion at Boston Maraton、本文:略す!!! (2)送信者:Tib Hensley<kotlyar@email.mot.com>、 件名:Video of Explosion at the Boston Marathon 2013、本文:略す!!!  また、米国時間4月17日の夜に起きたテキサス州ウェーコ近郊の肥料工場の爆発事故に関してもスパムメールが届いた。送信者:Maurice Adkins morpheus75@verhas.com、件名:Fertilizer Plant Explosion Near Waco, Texas、本文:略す!!!  筆者自身これほどIT詐欺師が迅速に活動を始めていることを肌で感じたのは初めてであり、SNS等の急速な利用拡大に伴い、わが国内でも警告の必要性を感じていたところに、FBIから IC3(インターネット犯罪苦情センター:Internet Crime Complaint) の本文で述べるとおりの 警告文 が送られてきた(IC3については、本ブログでも 2009年4月 、 2012年9月 に取り上げている)。  FBIだけでなく、この問題は “Network World” といったITメディア、“ Huffington Post UK”といった政治系メディア も具体的に取り上げ、さらには米国商事改善協会(BBB)  (注1) という業界自主規制団体が安易な寄付行為を戒める観点から助言を行うなど、広い論議を呼んでいる。  わが国でも最近時にサイバー犯罪に対する法執行機関の専門家教育が指摘されていることはいうまでもないが、この分野はフォレンジックス問題と同様明らかに米国等に遅れを取っていることは言うまでない。  最新情報として簡単に事実関係と詐欺メールの見分けかたについて解説する。なお、誤っても上記の真の発信者宛メールをクリックしないよう注意されたい。  なお、わが国のメディアでも取り上げら...

フィンランドの国を挙げての世界的な産業ビジネス戦略の中身を解析する

    筆者の手元には毎日、欧米やアジア等多くの国から政府、議会(議員)、各種産業団体、シンクタンク、NPO、大学等が発するメールが届く。  時間の関係でそれらの内容を逐一読むわけには行かないが、注目に値すると思われるテーマについては丁寧に解析するように努めている。  今回紹介するフィンランド政府からのニュースを詳細に解析し、また関連するとサイトを注意深く読むと、軽く読み飛ばすにはもったいないと思える内容である。すなわち、人口約550万に満たない小国がこれだけの経済力(GDPは49,350万ドル)と教育水準が維持できている本当の理由が垣間見えたと思えたからである。  わが国はなおGNPが世界第3位といっているが、中長期に見た場合、果たしていつまで過去の貯蓄を食いつないでいけるのであろうか。国際ビジネスだけでなく、教育を含めたわが国の更なる喫緊の検討課題を考えるヒントが見える気がした。  また、わが国のメディアや行政機関だけでなく研究機関を含めEUの小国の解析は極めて貧弱といえる。筆者なりに補足しながらフィンランドの初歩的研究を試みる。 1.フィンランド政府の大型中国ビジネス訪問団に関する リリース の概要 仮訳 ( 中国語版  )  欧州外交・外国貿易大臣である アレクサンデル・ストゥブ相(Alexander Stubb, Minister for European Affairs and Foreign Trade) は、フィンランドの会社の輸出と国際化の一層の促進を図る狙いで、中国への大規模チームによる訪問旅行を4月10~12日に実施する。  この旅行の間、代表団は江蘇省・上海や四川省・成都を訪問する。江蘇省・上海近郊では約200のフィンランドの会社が、また江蘇省では約40の会社が営業活動を行っている。急速に発展している成都は、特にITテクノロジー・セクターのための面白い市場エリアである。フィンランドのビジネス代表団(フィンランドの全国的な貿易および国際的な投資開発推進団体である “Finpro” (筆者注1) によって集合された)は、全部で31社からなる。これらは、クリーン化技術、電気通信、IT技術、造船、金融、都市計画、観光旅行や幸福増進部門等を代表する企業である。  中国は、アジアにおけるフィンランド最大の取引相手国である。わが国と間の貿...

ドイツBNETZAが電力ネットワーク開発計画枠組案(NEP),2014年オフショアー・ネットワーク計画案で意見公募

  Last Updated: Feburary 16,2021    わが国の原発問題の行方は極めて不透明な展開が続く中、脱原発を政府の政策目標として掲げ、世界中から注目を集めるドイツの標記問題につき、広く国民の「信を問う」行動が始まった。  ドイツの脱原発の具体的な取り組みについては、わが国では今一正確な情報が少なく、また情緒的な指摘も多いことから、今回のブログは連邦ネットワーク庁(Bundesnetzagentur:BENETZA)が4月5日に リリース した資料の具体的な内容につき法的側面を中心に斬新的なエネルギー政策のポイントを紹介する。  また、今回のレポートは10年、20年という長期スパンで取り組んでいるドイツの現状を踏まえ、中長期的なエネルギー政策の中核をなすわが国として検討すべき課題を整理する意味で、専門外ではあるが参考情報としてまとめてみた。法的整備も含め、論ずべき点が多い課題であるが、エネルギー政策は当該国を取り巻く自然環境を100%配意したものでなければならないといえる。  なお、ドイツの代替エネルギーの取組みに関しては、わが国において紹介している資料・データにつき限られた範囲であるが併せて紹介する。本文で引用する国会図書館のレポートも限定した法律のみ言及しており、特に法的側面から関係法につき広く解説したものが少ないだけに今回の作業の意義はあると感じた。 1.BENETZAのコンサルテーション・リリースおよび諮問文の概要 (1)連邦ネットワーク庁は4月5日、「電力ネットワーク開発計画枠組案(Netzentwicklungsplan Strom:NEP)」および2014年に新規導入した「オフショアー・ネットワーク開発計画(Offshore-Netzentwicklungsplan:O-NEP)」のシナリオの枠組みを公表した。ドイツ国民は、 2013年5月17日 を期限として態度を決めることになる。  NEPおよびO-NEPの年度ごとの準備内容は法律で求められている。これは、ネットワークの拡大に伴い条件が変更されたときに適切な対応をとりうるよう確実性を保証するものである。  これら手順は2024年、2034年にかけてのネットワークの拡大に必要を決する上で推定されるものである。4つの送電系統運用者(Übertragungsnetzbetre...

オランダで急速に広がるウィルスや寄生虫を媒介するヒトスジシマカ問題

    中国の「鳥インフルエンザH7N9型」問題が騒がれる一方で、筆者の手元にオランダの主要都市で急速に拡大する東南アジアで収穫した竹(bamboo plant)や車のタイヤを介してオランダに移ってきたといわれる「タイガー・モスキート(ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)」がオランダのアムステルダム、ロッテルダムやユトレヒト等で見つかった。ただし、コロニー (筆者注1) は見つかっていないとのニュースが届いた。  この問題は米国やヨーロッパだけでなく、起源をたどるとわが国とのかかわりが深い問題でもある。筆者はこの分野ではまったくの門外漢であるにもかかわらず、あえてレポートするのは生態学と感染症問題に対する理解を改めて訴えることが目的である。  さらに、この問題はわが国でも従来から国立感染症研究所感染症情報センター等が取り上げ、警告を鳴らしている問題であることも再認識した。今回のブログはオランダの メディア記事(Dutch News .nl) をもとに、欧州感染症研究センター(ECDC)の解説やわが国の国立感染症研究所感染症情報センター(IDSC)のレポート等を適宜引用、補足説明を加えながら、ここでまとめて紹介するものである。  なお、門外漢ついでに引用すると筆者は、本ブログで2009年4月30日から同年11月24日まで計16回にわたり「海外における新型インフルエンザ感染拡大の最新動向と新たな研究・開発への取組み」を書いた。自分なりに独学で勉強したり、海外の主要疫学専門サイト等をつぶさに読んだことは現在でも意義のあることと考える。誤解や正確性を欠く点については専門家の指摘を期待する。 1.オランダのメディアの記事概要  ECDCによれば、この攻撃的かつ日中に刺す蚊は約20のウィルスや寄生虫(parasites)を運ぶ「ヒトスジシマカ」がオランダでも居を構えた(筆者注2)。タイガー・モスキートは東南アジア固有のもので中国の観賞竹材や中古タイヤ (筆者注2) 等を介してオランダに到達し、その範囲が拡大している。すなわち、アムステルダム南北部、ロッテルダム近くのウェストランドやさらにユトレヒト州、北ブラバント州の一部やリンブルグ州で検出されているが、コロニーはまだ特定されていない。  RTL Nethrtland (筆者注3) ニュースの取材に対し、E...