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9月, 2011の投稿を表示しています

オーストラリア連邦裁判所がACMAによる初めてのSMSスパム裁判の有罪判決を確定

    わが国では、本ブログも含めオーストラリアの裁判所判決を詳しく引用する例は少ない。今回の紹介する連邦裁判決は、スパム犯罪に対する特徴のある判決である。  すなわち、“Safe Divert”と呼ばれる詐欺手口を使い、香港を拠点とする出会い系サイト会社3社およびその幹部やオペレーター計5人が被告、携帯電話の活用、SMSチャット・ゲートウェイを利用、被告8人中7人に対する罰金刑合計額が2,225万豪ドル(約17億8千万円)と極めて高額であること等である。  今回のブログは、これら犯罪の手口を解説するとともにスパム問題の規制・監督機関である 「オーストラリア連邦通信メディア庁(Australian Communication & media Authority:ACMA)」 や 「連邦競争・消費者委員会(Australian Competition and Consumer Commission :ACCC)」 のスパムに対する近年の法執行や起訴の状況について紹介することが目的である。  米国であれば、この種の犯罪の起訴や法執行は「連邦司法省」や「FBI」の独壇場になると思うが、オーストラリアではまず通信メディア庁(ACMA) (筆者注1) による法執行・規制が優先している点がわが国の姿勢と共通性があるとも考え、紹介するものである(法執行の詳細な説明もACMA自身が行っていることも欧米各国とも異なる対応であり、興味深い)。  また、法執行時のプレスリリースには必ずその根拠法令や最近時の関連法執行に関する解説を注記するのは英国と同じスタイルである。わが国も参考とすべき点であろう。  取りまとめにあたり、以前にも 本ブログ (筆者注2) で取り上げたACCCが運営する詐欺阻止専門サイト“SCAM watch”等も参照した。 (筆者注3)  なお、この情報と併せ 「オーストラリア連邦裁判所(Federal Court of Australia)」 の 判例等検索サイト の先進性・機能性についても紹介する予定であったが、機会を改める。 1.ACMAの最近時の詐欺犯罪規制の実態 (1)オーストラリアにおけるスパム規制法や規則ならびに関係法令 A.  「2003年スパム法(Spam Act 2003)」 は2004年4月10日に施行した。国際的なスパム...

オーストラリア連邦裁判所がACMAによる初めてのSMSスパム裁判の有罪判決を確定

    わが国では、本ブログも含めオーストラリアの裁判所判決を詳しく引用する例は少ない。今回の紹介する連邦裁判決は、スパム犯罪に対する特徴のある判決である。  すなわち、“Safe Divert”と呼ばれる詐欺手口を使い、香港を拠点とする出会い系サイト会社3社およびその幹部やオペレーター計5人が被告、携帯電話の活用、SMSチャット・ゲートウェイを利用、被告8人中7人に対する罰金刑合計額が2,225万豪ドル(約17億8千万円)と極めて高額であること等である。  今回のブログは、これら犯罪の手口を解説するとともにスパム問題の規制・監督機関である 「オーストラリア連邦通信メディア庁(Australian Communication & media Authority:ACMA)」 や 「連邦競争・消費者委員会(Australian Competition and Consumer Commission :ACCC)」 のスパムに対する近年の法執行や起訴の状況について紹介することが目的である。  米国であれば、この種の犯罪の起訴や法執行は「連邦司法省」や「FBI」の独壇場になると思うが、オーストラリアではまず通信メディア庁(ACMA) (筆者注1) による法執行・規制が優先している点がわが国の姿勢と共通性があるとも考え、紹介するものである(法執行の詳細な説明もACMA自身が行っていることも欧米各国とも異なる対応であり、興味深い)。  また、法執行時のプレスリリースには必ずその根拠法令や最近時の関連法執行に関する解説を注記するのは英国と同じスタイルである。わが国も参考とすべき点であろう。  取りまとめにあたり、以前にも 本ブログ (筆者注2) で取り上げたACCCが運営する詐欺阻止専門サイト“SCAM watch”等も参照した。 (筆者注3)  なお、この情報と併せ 「オーストラリア連邦裁判所(Federal Court of Australia)」 の 判例等検索サイト の先進性・機能性についても紹介する予定であったが、機会を改める。 1.ACMAの最近時の詐欺犯罪規制の実態 (1)オーストラリアにおけるスパム規制法や規則ならびに関係法令 A.  「2003年スパム法(Spam Act 2003)」 は2004年4月10日に施行した。国際的なスパム...

米国連邦取引委員会(FTC)が両親や家族のためのなりすまし詐欺等から子供の個人情報保護ガイダンスを公表

    わが国では2003年(平成15年)5月30日に成立、2005年4月1日に全面施行された「 個人情報の保護に関する法律(平成15年5月30日法律第57号)」の教育現場で起きた最大の課題は現場での「過剰反応問題」であろう。  全面施行にあたり、各省庁はそれぞれ現場での混乱を避けて法律の的確な運用を行うべくガイドラインを作成したことは読者も記憶にあろう。しかし、それでも現場では混乱が起きた。特に両親や家族にとって学校や教育機関が保有する子供の個人情報の内容やその具体的な取扱いがどのようになっているのか、知りたくても十二分に知りえない部分があったことが混乱を広げたように思える。 (筆者注1)  その背景には毎度のことであるが、(1)ガイダンスの内容が一般人には理解しやすいレベルのなっていないこと、(2)さらに現場の教育担当者も問題の本質を理解できないため教育実務が混乱を極めたことであろう。  今回のブログは、9月1日に米国の消費者保護機関である 「連邦取引委員会(Federal Trade Commission)」 が策定、公表した 「消費者向け警告リリース」 の意義を解説することである。特に、子供と「なりすまし詐欺」被害という一見結びつかない問題の本質ならびに被害に遭わないための施策を具体例として紹介することにある。 1.学校におけるあなたのお子さんの個人情報を保護する意義 (1)学校生活に戻ってみよう。新しいノートの購入、お弁当のパック、通学方法の確認、必要書類―登録簿記入、詳細な健康状態や予防接種の記入 (筆者注2) 、親の許可同意書(permission slips)  (筆者注3) の記入等、年に1回の儀式として緊急連絡先等を記入する。これら学校が指定する様式は個人情報でかつ機微情報の記入を必要とする。  詐欺師等は、あなたの子供の名前やこれら機微情報を悪用する。例えば、子供の社会保障番号は連邦政府による給付や支援措置(government benefits)  (筆者注4) 、銀行の口座開設、クレジットカードの口座開設、ローンや公益事業の申し込みならびに住居の賃貸等に利用するのである。  FTCは子供がなりすまし詐欺の被害者に遭わないよう数年間もしくは子供が就職、奨学金や自動車ローンを利用するまでの間、検知されないリスク対策の...