米国金融監督機関であり、また銀行破綻時の預金の支払(Deposit Payoff)や承継銀行への資金援助(P&A)等を行う連邦機関公的である「連邦預金保険公社(Federal Insurance Deposit Cooperation:FDIC)」 (注1) は、1月12日付けで監督対象銀行のCEO(最高経営責任者)宛ての 特別警告通達 を発した。 詐欺電子メールの内容はごく簡単である。「FDICを名乗って「愛国者法(USA PATRIOT ACT)」(本ブログ (注2) 参 照 )に基づき、あなたの口座が疑わしい口座に該当し、連邦国土安全保障省(Department of Homeland Security:DHS)、連邦政府や州政府等と協同してテロ資金等のチェックを行うため「ID Verify」を行う必要がある。 FDIC(を名乗る詐欺師)の確認が完了するまでは、あなたの預金については取引銀行が破綻しても保険金は支払われなくなっている。従って、最大1分で完了する口座情報を入力するFDICが行う「ID Verify」 (注3) の手続を至急とってください。 確認済み通知が送られ、あなたの保険金支払いの停止措置は解除される。この「ID Verify」を無視するとあなたの預金保険金補償が中止され、あなたの口座履歴のすべてが解析のためワシントンD.C.のFBIに送られる。また、無視した場合は地方、州や連邦政府またはDHSから事情聴取されることになるかも知れない。」 この文面は2004年1月にメディアで流された詐欺メールの内容である(今回と同様にFDICも金融機関向けに警告通達を発布した)。今回、FDICはその内容までは公開していないが、おそらく同一の内容であろう。FDICやFBI等公的機関の名前を使いながら預金者の心理の不安を煽る手口である。 多くの被害者は口座番号や暗証番号等機微情報を送信し、気がついたら取引口座の残高がなくなっていたという典型的な 「フィッシング詐欺(phishing scam)」 である。わが国の状況と最も異なる点は、FDICが監督しかつ保険金の支払が発生するリスクについて預金者の危機感が極めて高いことである。 すなわち米国における金融機関の経営破綻はその資産規模や個人経営的な性格等から従来から極めて日常的であり、...
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