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海外における新型インフルエンザ感染拡大阻止に向けた最新動向と新たな取組み課題等(N0.16)

  Last Updated: March 3,2021  わが国の優先者への新型インフルエンザ・ワクチン接種が11月から始まり、一部では死亡事例の報告が聞かれるが(11月20日現在の厚生労働省の発表では13例)、前倒しスケジュールも発表されるなど、具体的な対応は進んでいる。  一方、海外も同様に優先者への接種が進んでいるとされるものの、カナダでは11月20日に世界的に見ても最大手のワクチン・メーカーであるグラクソ・スミス・クライン(GlaxoSmithKleine;GSK)が製造した新型インフルエンザ・ワクチン“Pandemrix TM”について同社から「アナフィラキシー反応(anaphylactic reactions)」 (筆者注1) のリスクに鑑みて各州の保健機関への接種の中止要請およびカナダ国内での同社のワクチンの回収が行われている旨のニュースが報道された。  わが国のメディアではその内容についてあまり詳細には報道されていないため、来年に入ってのわが国の輸入ワクチン接種開始にかけての不安感もあり、改めてカナダ連邦や各州の保健機関の対応状況について正確と思われる情報を集めてみた。 (筆者注2)  この接種の緊急中断要請についてカナダ政府の保健機関サイトでは特段具体的に報じていない。また、保健機関というより公安機関であるカナダ公共安全省(Public Safety Canada)サイトで見てもワクチンの適格性・接種拡大計画が順調に進んでいる旨の 情報 が中心である。  しかし、一方ではカナダ国内の疫学関係者が10月21日の連邦保健省が発表したGSK製“Arepanrix”の販売承認に関する暫定決定は拙速であると指摘するなど(カナダの承認の前提となった 治験結果はベルギーで行った結果に基づくものである )、また州保健当局の対処にも混乱があるようである。  世界的に見て、ワクチンの安全性はWHOの世界的接種状況や重度の副作用(side effect)に関する 報告 にもかかわらず、引続き世界中で強い関心事項となっていることも事実である。また、欧州連合の分権化機関である 欧州医薬品庁(European Medicines Agency ) は、11月20日に 接種拡大勧告 を再度行っている。  世界的なパンデミックの中でH1N1ワクチン接種に係る緊急承認に伴...

カリフォルニア州司法長官のウェルズ・ファーゴ子会社3社とのARSに関する14億ドルの返還和解が成立

  Last Updated: March 3,2021   11月18日、 カリフォルニア州司法長官エドモンド・G.ブラウン(Edmond G. Brown Jr.) (長くカリフォルニア州知事をつとめている)とウェルズ・ファーゴの子会社3社が行ったオークション・レート証券(auction-rate security:ARS)を購入した投資家への14億ドル(約1,232億円)の返還和解が成立した。 Edmond G. Brown Jr.氏  このARS取引をめぐる投資家への返還について、例えば2008年8月21日にメリル・リンチがニューヨーク州司法長官やSEC等と 和解 しており、同年7月24日に同州のクオモ司法長官はUBSに対し 民事訴訟 を起こした後、8月11日に194億ドル(約1兆7千億 円)で和解するなど一連の和解事例があげられる。( ニューヨーク州の司法省長官サイト で見てもARSをめぐる和解は2008年7月以降続いており、今回のカリフォルニア州の和解もこれら一連の司法機関や法執行機関対応であることはいうまでもなかろう。  一方、2009年3月30日、ニューヨーク連邦地方裁判所はUBSに対するクラス・アクションについて 棄却命令(dismiss order)  (筆者注1) を下した。その理由は、前述した2008年8月11日付けのニューヨーク州や連邦の金融監督機関や法執行機関のUBSとの和解で、流動性のない証券を持たされた原告自身すでにUBSによる額面によるARSの買取を選択した以上、買値全額を受け取っているというものである(購入時1株当り25,000ドル支払い、和解により1株当り25,000ドル受け取る)。 (筆者注2)  今回のブログは、カリフォルニア州の和解のニュース・リリースの概要とそもそも問題となった“ARS”とはいかなる取引でどのようなリスクがあるのか等について改めて簡単に整理する。特に、リリースの最後に指摘しているとおり、2005年3月にSEC、米国四大会計事務所および 米国財務会計基準審議会(FASB) がいずれも“ARS”は現金同等と扱うべきでないことを決定した警告をウェルズ・ファーゴは無視した点が最大の起訴事由といえる。  また同様な監視強化の動きとしては、11月16日に証券監督者国際機構(IOSCO)  ...