Last Updated: October 8,2022 EU銀行監督委員会(Committee of European Banking Supervisors:CEBS) (筆者注1) は 、去る8月22日に欧州委員会からの助言要請を受けて商品取引会社および商品取引ビジネスに関するアンケート調査を10月20日締め切りで行う旨公表した。筆者は、このニュースについてCEBSからのリリース・メールで読んでいたが、一般向けのニュースといえるかやや疑問もありブログに載せることに躊躇していた。しかし、昨28日に経済産業省から発せられた「平成18年度の一般委託者を対象とした商品取引の実態に関する調査委託先の公募」を読んで、改めてこの問題が、国内・国外を問わず今後金融監督面だけでなく大きな社会問題化する懸念が気になり始め、急遽まとめてみた。 なお、筆者だけでなく多くの関係者が疑問視している点であろうが、わが国では金融サービスを広く横断的に定める「金融サービス法」ではなく、証券取引法に代る「金融商品取引法」が本年6月14日に公布され、一方、金融取引の消費者保護法である「金融商品販売法」は引続き機能している (筆者注2) 。 この問題は単に法律の名称の問題に止まらない。すなわち、EUの現状は金融派生商品を取扱う業者にまで自己資本比率規制等の網をかけようとしている動向を見るにつけ、わが国でも狭義の金融機関だけでなく監督省庁、関係業界が協力しあう取組みが喫緊の課題といえよう (筆者注3) 。 1.本アンケートの目的と背景 CEBSは、欧州委員会が バーゼル銀行監督委員会のバーゼルⅡ に 基づき、懸念材料とする商品先物ビジネス(Commodities Derivatives)や 類似の商品派生契約を業務として取扱う企業が、自己資本比率等慎重な経営・執行体制をとるために必要な事項や実態を取りまとめ、最終的に委員会報告の一部とする。 2.CEBSの分析対象機関 商品取引企業における経営や業務面の慎重性を欠くことにより生じるリスク(prudential risk)に関する基本的な情報分析を行うものであり、対象機関は商品先物取扱企業に止まらず、商品取引を子会社による業務の一部とする総合金融機関グループも対象とする。 さらに、EUの「2004年金融商品市場指令(...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。