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5月, 2024の投稿を表示しています

児童のプライバシー保護強化にかかるコロラド州「2021年コロラド州プライバシー法(CPA)」の改正法案SB 41とそのモデル法たるコネチカット州立法SB 3の概要

    筆者は個人情報保護法とりわけ児童の保護強化に関する米国州や英国の立法の実態をブログで紹介してきた。具体的には米国の州については、 2024.4.2 ブログ 「フロリダ州、オハイオ州およびウタ州等の未成年者のソーシャル・ メディア・ プラットフォーム利用にかかる厳格な規制州法立法とそれらを巡る憲法違反裁判等の最新動向」 、英国については 2024.4.6 ブログ 「英国の個人情報保護機関である英国情報コミッショナーは SNS 等オンライン利用にかかる子供のプライバシー保護強化のための具体的施策に関し 2024 年から 2025 年の優先事項「児童規範戦略」 を発表」 で取り上げた。    今回のブログは、コロラド州「 2021 年コロラド州プライバシー法( CPA )」の 改正法案SB 41 を可決した情報をローファーム (Husch Blackwell LLP) の解説記事および同州議会の法案上程者の解説を概観する。なお、 Husch Blackwell LLP) 解説が取り上げているとおり、法案 ” SB41” はコネチカット州の立法をモデルにしていることから、あえて今回のブログでは 2023 年 6 月に署名された コネチカット州の SB 3 についても併せ解説を試みる。 Ⅰ.コロラド州の児童データプライバシー法案 (SB41) 1 . コロラド州議会が児童データプライバシー法案を可決 を仮訳 著者はHusch Blackwell LLPのassociate (注1) 弁護士Shelby E..Dolen(シャビー・.Eドーレン)氏である。 Shelby E.Dolen 氏  5月8日の州議会閉会に先立って、コロラド州議会は児童のデータプライバシーの保護を追加する「2021年コロラド州包括プライバシー法(CPA)」の 一部改正法案SB 41 を可決した。 コロラド州知事ジャレッド・ポリスの署名が成立すれば、 2025 年 10 月 1 日に発効 することになる。この法案は、未成年者(18歳未満)にオンラインサービス、製品、機能を提供する事業体に新たな義務を課すことになる。 この法案は、2023年6月に署名された コネチカット州のSB 3 をモデルとしている。  以下の記事では、SB 41 に基づく義務の概要と、SB 41 (注2

米コロラド州は米国内で最初の州として人工知能 (AI) の使用を規制する法案 (SB24-205) を可決、その内容を概観する

      コロラド州は、 米国内で人工知能 (AI) の使用を規制する法案 (SB24-205) を可決した最初の州となった。 この法律は、さまざまな分野にわたる AI テクノロジーの 倫理的 、 法的 、 社会的 な影響と予測される事態に対処することを立法目的としている。    筆者は、かつて 2 月 3 日付けブログ 「 AI 立法 のトレンド : 米国の州法案の発展を概観」 、 3 月 6 日付けブログ 「わが国の AI 立法の在り方を見据える観点から EU の AI 規則案( AI 法案: Artificial Intelligence Act )の最終段階を改めて探る ( その 1) 」 、 「同 ( その 2 完)」 を投稿した。    今回のブログは、これらを受け (1) ローファームの解説を仮訳するとともに、 (2) コロラド州議会の法案上程者の解説の仮訳を試みるものである。特に生成 AI については倫理的な問題だけでなく法的にも大きな課題をかかえていることから、筆者なりに注記を加えながら補筆した。 1. Lexblog 「 Colorado Passes AI Regulation 」 の 仮訳   法案全条の原文 参照。  同法は消費者と対話することを目的とした高リスク AI システムの開発者または導入者を含む、コロラド州でビジネスを行うすべての人物が対象となる。 この法案では、「高リスク AI システム」を、結果的な意思決定を行う上で重要な要素となる AI システムと定義している。 特に、重要な決定を下さない限り 、顔認識( facial recognition, ) (注1) 、マルウェア対策、データストレージ、データベース、ビデオゲーム、チャット機能を使用しない不正行為対策技術は(とりわけ)含まれていない。  この法案には、AIの開発と導入における 倫理基準 、 透明性 、 説明責任 の促進に重点を置き、政府、教育、企業内でのAIの使用を管理する包括的な枠組みが含まれている。 この法案は、意思決定プロセスにおける AI の使用に関する開示を義務付け、AI 開発を導くための倫理基準を定め、AI 関連のバイアスやエラーが発生した場合の救済と監視のメカニズムを提供します。 これらの救済メカニズムには、消費者が高リスク