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ハワイ島の活火山のマウナロア(Mauna Loa)火山で38年ぶりの噴火の最新情報

  Last Updated : 1st  December ,2022  11月28日(月)の午後9時46分、筆者の手元に 米国地質調査所(USGS)   (注1) からハワイ島の活火山のマウナロア(Mauna Loa)火山で噴火が始まったという情報が入った。  内外の記事情報にもとづき以下のとおり、補足する。   米国地質調査所(USGS) が設置した監視カメラの画像では火口から噴出したマグマの溶岩流がみられ、気象衛星GOESからの観測では噴煙は高度1万2000mに達しているものとみられる。ハワイ島ではキラウエア火山で溶岩を流出する噴火を長期間続けていたが、マウナロアで噴火が発生するのは1984年以来で38年ぶりとなる。  今回のブログは、(1)最新のUSGS等の観測情報、(2)マウナロア火山に関する国際的な観測・研究体制、特にVog(火山の噴火によって放出された二酸化硫黄やその他のガスや粒子が、日光の存在下で酸素や水分と反応して発生する大気汚染の一種)等の国際的多角的共同研究体制の概要、 (3)nature brifing解説記事の仮訳、(4)この38年間でハワイ島の近隣住民数等の変化は如何、を解説する。 1.ハワイ火山観測所の現状報告(米国地質調査所の最新情報) 以下で、仮訳する。 ハワイ火山観測所の現状報告 米国地質調査所 2022 年 11 月 28 日月曜日、ハワイ標準時 (HST)午後 4:55 (2022 年 11 月 29 日火曜日、02:55 UTC) マウナロア火山 (VNUM #332020) 北緯 19 度 28 分 30 秒、西経 155 度 36 分 29 秒、標高 13681 フィート (4170 m) 現在の火山警戒レベル: WARNING 現在の航空カラーコード: 赤  マウナロアの噴火は北東地溝帯で続いている。 3 つの割れ目が噴火し、午後 1 時 30 分時点で、3 つの割れ目のうち最も低い部分のみが活動していた。最も高い噴水の高さの推定値は 100 ~ 200 フィート (30 ~ 60 m) であるが、ほとんどは数ヤード (メートル) の高さである。割れ目は溶岩流を北東に送り、リフト ゾーンに平行になっている。 2 つの高い割れ目からの溶岩流は斜面を下ったが、サドル ロードから約 11 マイル...

「トロイの木馬」戦略が抗菌薬耐性に対処するのに役立つとしたらどうか?EU議会 のThink Tankの研究者による斬新な提言を読む

   筆者はEU議会のThink Tankである「European Parliamentary Research Service (EPRS) 」から送られてきたルイサ・アントゥネス(Luisa Antunes)氏(フランス・パスツール研究所) (注1) によって書かれた レポート を読んだ。 Luisa Antunes氏  抗菌薬耐性感染症(Antimicrobial-resistant infections) (注2) は、2050年までに世界で2番目に大きな死因になると予測されている。新しい抗菌薬の開発、抗菌薬の誤用と乱用に関する意識向上キャンペーン、動物、人間、環境における抗菌薬の使用と耐性の監視への投資が増加しているにもかかわらず、抗菌薬耐性は増加し続けており、過去30年間、新しい抗菌剤クラスは1つも市場に出回っていない。 その答えは、すべての細菌に共通する自然の生理学的プロセスを混乱させる「トロイの木馬」戦略にあるのか?  筆者はこのレポートを読んで、当初、抗菌薬耐性と「トロイの木馬」との関係が理解できなかった。  しかし、2021年7月13日付けの塩野義製薬株式会社、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP) (注3) 、Clinton Health Access Initiative(CHAI ) (注4) の以下の 共同記者発表 を読んで、その意味が理解できた。   2019年11月に米国食品医薬品局(FDA)(製品名:FETROJA®が承認した塩野義製薬のセフィデロコル(cefiderocol)は、「トロイの木馬」と呼ばれる新しいメカニズムにより、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬である。本薬はFDAのほか2020年4月に欧州委員会(EC)(製品名:FETCROJA®)より承認を取得している。   今回の基本合意書の締結を通じて、低中所得国でのセフィデロコルのアクセスにおける様々な障壁を克服するために、塩野義製薬、GARDPおよびCHAIは、医師向けの臨床ガイダンス作成やトレーニングの実施等、適正使用を確実に実施するための手段を用いて対象となる各国政府やパート...

5億7500万ドルの暗号資産詐欺とマネーロンダリング・スキームで逮捕された2人のエストニア国民を巡る国際的共同捜査・起訴と暗号資産詐欺等を巡るわが国の法的取り組み

   2人のエストニア国民が不正な暗号資産マイニング契約を世界中の数十万人の投資家に販売した。  2022年11月20日、EU加盟国である エストニア共和国 の首都タリン(Tallinn)で、2人のエストニア国民が、 共同謀議(conspiracy) 、 電信送金詐欺(wire fraud) 、 マネーロンダリングの共同謀議 につき起訴した計18の訴因で逮捕された。 起訴状 は10月27日にワシントン州西部地区の大陪審によって差し戻され、逮捕後、本日開封された。 外務省サイトから引用  このリリース文を読んで筆者がまず気になったのは、(1)わが国で被害者がいるのか, (2)国際化、大規模化するfintech financial crimesに対処するためのわが国の法執行、取締機関は法制整備も含め十分機能しているのか、(3)米国連邦司法省やエストニア警察および国境警備隊の国家刑事警察のサイバー犯罪局の起訴事由いかなるものか、(4)わが国の資金決済に関する法律等は改正が繰り返されるが、はたして規制法としての有効性は如何、(5) コンピュータ・ネットワーク利用した新たなねずみ講犯罪手口等、(6)刑法第246条の 詐欺罪 、 出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律 の適用問題等である。  これらの問題はいずれも重要性が高くまた、情報不足などもありそれだけで論文が書ける内容なので別途まとめる予定である。 1.米国連邦司法省・連邦検事局リリース リリース文 を補足しながら、仮訳する。  起訴状によると、セルゲイ・ポタペンコ(Sergei Potapenko)とイワン・トゥロギン(Ivan Turõgin)(2人とも37歳)は、数十万人の被害者にHashFlare( 解説例1 、 解説例2 )と呼ばれる暗号通貨マイニングサービスで契約を購入し、ポリビウス銀行(Polybius Bank) (注1) と呼ばれる仮想通貨銀行に投資するように誘導したとされている。被害者は被告の会社に5億7500万ドル(約810億7500万円)以上を支払った。その後、被告は複数のダミー会社(shell companies)を使用して詐欺収益を洗浄し、不動産や高級車等を購入した。 Sergei Potapenko Ivan Turõgin  司法省の刑事部門の ケネス...