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「トロイの木馬」戦略が抗菌薬耐性に対処するのに役立つとしたらどうか?EU議会 のThink Tankの研究者による斬新な提言を読む

   筆者はEU議会のThink Tankである「European Parliamentary Research Service (EPRS) 」から送られてきたルイサ・アントゥネス(Luisa Antunes)氏(フランス・パスツール研究所) (注1) によって書かれた レポート を読んだ。 Luisa Antunes氏  抗菌薬耐性感染症(Antimicrobial-resistant infections) (注2) は、2050年までに世界で2番目に大きな死因になると予測されている。新しい抗菌薬の開発、抗菌薬の誤用と乱用に関する意識向上キャンペーン、動物、人間、環境における抗菌薬の使用と耐性の監視への投資が増加しているにもかかわらず、抗菌薬耐性は増加し続けており、過去30年間、新しい抗菌剤クラスは1つも市場に出回っていない。 その答えは、すべての細菌に共通する自然の生理学的プロセスを混乱させる「トロイの木馬」戦略にあるのか?  筆者はこのレポートを読んで、当初、抗菌薬耐性と「トロイの木馬」との関係が理解できなかった。  しかし、2021年7月13日付けの塩野義製薬株式会社、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP) (注3) 、Clinton Health Access Initiative(CHAI ) (注4) の以下の 共同記者発表 を読んで、その意味が理解できた。   2019年11月に米国食品医薬品局(FDA)(製品名:FETROJA®が承認した塩野義製薬のセフィデロコル(cefiderocol)は、「トロイの木馬」と呼ばれる新しいメカニズムにより、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬である。本薬はFDAのほか2020年4月に欧州委員会(EC)(製品名:FETCROJA®)より承認を取得している。   今回の基本合意書の締結を通じて、低中所得国でのセフィデロコルのアクセスにおける様々な障壁を克服するために、塩野義製薬、GARDPおよびCHAIは、医師向けの臨床ガイダンス作成やトレーニングの実施等、適正使用を確実に実施するための手段を用いて対象となる各国政府やパートナー企業を支援する