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8月, 2022の投稿を表示しています

米国プライバシー保護強化策の新展開:“Do Not Track”からグローバル・プライバシー・コントロール(GPC)へ:内容と新たな課題

  Last Updated:September 13,2022  米国カリフォルニア州では、消費者プライバシーに関して 「2018年カリフォルニア州消費者プライバシー法 」(California Consumer Privacy Act of 2018: 以下、”CCPA”という) (注1) が制定され、同法は2020年1月1日から施行された。また同法は、2020年7月1日から、カリフォルニア州司法長官による法執行が開始された。(同法につき司法長官ロブ・ボンタ(Rob Bonta)以下、「長官(またはAG)」という)のリリース文やFAQsが 公表 されている)  去る2022年8月24日、長官は、 Sephora, Inc.社(以下、「Sephora」という) (注2) が CCPA に違反したという裁判申し立てを解決するために、同社との 和解命令 を行った旨発表した。 Rob Bonta カリフォルニア州司法長官  カリフォルニア州司法長官は個人情報の「販売(sell)」行為に焦点を当てた 初のCCPA法執行措置を発表 した。  この命令には、永久差止命令による救済(permanent injunctive relief)と120万ドル(約2720万円)の罰金が含まれる。この法的措置は、2021年6月に大手小売業者の司法長官が、消費者が グローバル・プライバシー・コントロール(Global Privacy Control:GPC」) を介してオプト・アウトを通知したときに個人情報を販売し続けるかどうかを決定するための法執行徹底作戦(enforcement sweep) (注2-2) に由来し、企業にプライバシー設定を通知するために使用されるブラウザ拡張機能であり、Webサイトが仕様をサポートしていることを示すために使用できるメカニズムとして機能する。この行動は、カリフォルニア司法長官府からの最初のCCPA法執行措置であるだけでなく、CCPAの下での個人情報の「販売」を構成するものに関する多くの議論の主題に焦点を合わせているため重要である。  今回のブログは、(1) Brandon Robinson 氏のブログ にもとづき、事実の背景、解析、裁判の内容、更なる課題等を仮訳する、(2)近年、消費者の個人情報保護をめぐる新たな基準案として注...

米国の国務省ボニー・デニス・ジェンキンス特命大使・軍備管理・国際安全保障担当国務次官とのオンライン記者会見とNPT問題

   ボニー・デニス・ジェンキンス特命大使 (注1) ・軍備管理・国際安全保障次官(Ambassador Bonnie Denise Jenkins, Under Secretary for Arms Control and International Security) (注2) は、特にザポリージャ原子力発電所に関連して、軍備管理と不拡散について説明、議論している。  彼女は国連のNPT問題の米国特命大使であり、当然多くの機会に米国の立場、考え等を表明し、議論の中心人物である。  彼女は採択の前日という重要な時期にこのようなオンライン記者会見に応じた背景は不明であるが、筆者はジェンキンス特命大使のメッセージの内容が気にいった。すなわち日頃お目にかかる、国務省長官や国務省のプライス報道官の説明よりもより丁寧である点である。  さらに、わが国のメヂイア記事には出ない点であるが、第10回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の中で最初の週に、米国と国連軍縮局(UNODA)は、数百人の外交官、政策立案者、市民社会代表を集め、核不拡散・軍縮における多様性、公平性、包摂性の役割について意見交換を行った。  8月3日に行われたこのイベントは暫定的な参加者リストによると、すべての軍縮・不拡散の意思決定プロセスに女性が平等で完全かつ効果的に参加するというコミットメントにもかかわらず、8月1日から26日まで国連本部で開催されるNPT運用検討会議への代表団長の5人に1人(18%)未満が女性である。比較のために、代表団の長の22%は2015年再検討会議で女性であった点である。  なお、今回のオンライン記者会見では8月26日にロシア1国の反対で最終文書の採択が決裂結果に終わった国連核不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons :NTP)の再検討会議の問題は言及されていない。  この問題については、筆者はLinkedin経由等で個人的にジェンキンス氏に直接照会するつもりである。  なお、記者等の写真は公表されている範囲で筆者の責任で引用した。 1.オンライン・ブリーフィング(オンライン記者会見)の内容 国務省サイト を引用、仮訳する。 司会者(ジョン氏) :皆さん、こんにちは、本日、国務省の...

米国の国務省ボニー・デニス・ジェンキンス特命大使・軍備管理・国際安全保障担当国務次官とのオンライン記者会見とNPT問題

   ボニー・デニス・ジェンキンス特命大使 (注1) ・軍備管理・国際安全保障次官(Ambassador Bonnie Denise Jenkins, Under Secretary for Arms Control and International Security) (注2) は、特にザポリージャ原子力発電所に関連して、軍備管理と不拡散について説明、議論している。  彼女は国連のNPT問題の米国特命大使であり、当然多くの機会に米国の立場、考え等を表明し、議論の中心人物である。  彼女は採択の前日という重要な時期にこのようなオンライン記者会見に応じた背景は不明であるが、筆者はジェンキンス特命大使のメッセージの内容が気にいった。すなわち日頃お目にかかる、国務省長官や国務省のプライス報道官の説明よりもより丁寧である点である。  さらに、わが国のメヂイア記事には出ない点であるが、第10回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の中で最初の週に、米国と国連軍縮局(UNODA)は、数百人の外交官、政策立案者、市民社会代表を集め、核不拡散・軍縮における多様性、公平性、包摂性の役割について意見交換を行った。  8月3日に行われたこのイベントは暫定的な参加者リストによると、すべての軍縮・不拡散の意思決定プロセスに女性が平等で完全かつ効果的に参加するというコミットメントにもかかわらず、8月1日から26日まで国連本部で開催されるNPT運用検討会議への代表団長の5人に1人(18%)未満が女性である。比較のために、代表団の長の22%は2015年再検討会議で女性であった点である。  なお、今回のオンライン記者会見では8月26日にロシア1国の反対で最終文書の採択が決裂結果に終わった国連核不拡散条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons :NTP)の再検討会議の問題は言及されていない。  この問題については、筆者はLinkedin経由等で個人的にジェンキンス氏に直接照会するつもりである。  なお、記者等の写真は公表されている範囲で筆者の責任で引用した。 1.オンライン・ブリーフィング(オンライン記者会見)の内容 国務省サイト を引用、仮訳する。 司会者(ジョン氏) :皆さん、こんにちは、本日、国務省のブリュッセル・メディア...

フロリダ州連邦地裁の治安判事がドナルド・トランプ氏の領地マー・ア・ラーゴでのFBI捜査宣誓供述書の公開を命じた

   米国フロリダ州南部地区連邦地方裁判所の治安判事は連邦司法省に対し、連邦捜査官が機密文書を探すためにドナルド・トランプ元米大統領のフロリダ州領地(Mar-a-Lago)を捜索した際によりどころにした宣誓供述書(affidavit) (筆者注1) の編集版を公開するよう 命じた 。 CBS newsから引用 【キーポイント】 ①Mar-a-Lagoの検索宣誓供述書の編集版は、8/26の正午(ワシントン時間)までにリリースされる。 ②宣誓供述書には、FBIが捜査令状を執行する根拠に関する重要な情報が含まれている可能性が高い ③連邦司法省は、今回の公開が進行中の犯罪捜査を損なうリスクがあるとして、釈放に反対している。  米国の治安判事(US Magistrate Judge) ブルース・E ・ラインハート(Bruce E.Reinhart) からの指示命令は、連邦法執行機関(連邦司法省)が宣誓供述書の捜査が進むにつれて秘密にしたい部分を封印して提出した数時間後に出された。  提案された修正を見た裁判官は、同省は8月26日の午後12時(土曜日の午前2時(東部標準時)までに編集版または黒塗りバージョンを提出しなければならないと述べた。  この命令は、現在進行中の犯罪捜査の一環として、8 月 8 日に FBI 職員が Mar-a-Lago を捜索するようになった原因について、少なくともいくつかの追加の詳細を一般市民がすぐに知ることができることを意味する。すでに公開されている文書は、最高機密レベルでマークされた情報を含む、機密文書のプロパティ 11 セットから FBI が取得したことを示している。( ABC news などから抜粋,仮訳した)  ところで、筆者はいくつかの疑問が湧いた。(1)事実関係のより詳細な内容、(2) 治安判事(US Magistrate Judge)がなぜこの時期にあえて司法省公開を求めたのか、(3) 治安判事ブルース・ラインハートにより捜査内容の封印が解かれた:トランプの機密記録の取り扱いに関する司法省の調査の中心にいる治安判事の家族への嫌がらせの実態、(4) 米国国立公文書記録管理局(US National Archives) (筆者注2) と連邦司法省、FBIとの捜査上の関係は如何、(5) トランプ陣営が主張する「...

ケンタッキー州ルイビル市の女性が隣人への脅迫的な通信文を郵送したとして連邦大陪審によって起訴

   筆者の手元に米連邦司法省ケンタッキー州西部地区連邦検事局の8月 23日の リリース が届いた。  ケンタッキー州ルイビル市( Louisville  )の連邦大陪審(federal grand jury)は8月15日の週に、2020年11月と12月に他人を傷つける旨の脅迫を含む郵便通信で地元の女性スザンヌ・クラフト(54歳)を起訴すべきとする起訴状を裁判所に返送したという内容である。  8月22日付けの法廷文書と陳述書によると、 スザンヌ・クラフト ( Suzanne Craft, 54歳)は、米国郵政公社を通じて、近所に住む家族に複数の脅迫的な通信を送った。これらの通信の多くは、暴力や人種差別的な中傷の脅威内容を含んでいた。  これだけの内容では、事実関係などがいまいち理解できなかった。さらに(1)スザンヌ・クラフトの具体的な違法行為の内容、(2)クラフトは、2020年7月の罪状認否の際に、最初の起訴に続いて接近禁止命令(no-contact order)を受けたが違反して、法廷侮辱罪で2回有罪判決を受けるなど詳しい内容が地元紙で確認できた点を補足した、さらにわが国でも最近DVに関し注目をあびているわが国の「接近禁止命令」も運用内容を正確に理解すべきという観点から内容を洗い出してみた。 Ⅰ.FBIの起訴にかかるリリース内容  被告クラフトは、米国法典第18編第876条(c)  (筆者注1) に違反して誘拐または傷害の脅迫を伴う州間通信の5つの訴因(accounts)で起訴された。被告は2022年8月19日、ケンタッキー州西部地区連邦地方裁判所の連邦治安判事の前に初出廷し、8月22日の審理の後、クラフトは裁判を待たずに拘留するよう命じられた。被告は有罪判決を受けた場合、最高25年の拘禁刑に処せられる。連邦制度には仮釈放はない。連邦地方裁判所の判事は、米国量刑ガイドラインおよびその他の法的要因を考慮した後、判決を決定する。  連邦捜査局(FBI)と米国郵政監察局(United States Postal Inspection Service)が事件を調査している。 なお、起訴は単なる申し立てであり、すべての被告人は、法廷で合理的な疑いを超えて有罪と証明されるまで、無罪と推定される。   Ⅱ.ケンタッキー州大手メデイア(cou...