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米国のトップレベル大学の統治ガバナンスの特徴を踏まえたわが国大学の先進的改革の在り方を考える

   2022年7月1日、M・エリザベス・"リズ"・マギル氏(M. Elizabeth “Liz” Magill)がペンシルベニア大学の第9代学長に就任した。 M.Elizabeth “Liz” Magill学長  学長に昇りつめたマギル氏のこれまでの経歴を見るにつけその大学の経営手腕は極めて優れたことはいうまでもないが、他方でわが国の大学と比較して教員人事、資金調達、政治的キャリア等多方面の先進的取り組みはうらやましい。  今回のブログは、以下の点を整理し、日米の法科大学院大学の経営戦略比較や関連する問題比較を試みるものである。 (1) マギル氏これまで歩んできた経歴の概観 (2)米国の大学経営における教務偏重だけでないガバナンス重視政策の実態 (3)スタンフォード・ロー・スクールの優れた修士、博士課程プログラムの内容  なお、米国大学院(ロー・スクール)の社会的に開かれた教育内容、実務経験内容については、 筆者のブログ でかつて取り上げたので本ブログでは省略する。 (4)公立大学の経営のあり方特に地方自治体の関与のあり方の日米比較 (5)国会議員の秘書の資格要件に関する日米比較 【はじめに】  優れた法学者であり、大学関係者に活力を与えるリーダー的存在であるマギル氏は、バージニア州立大学(UVA)で最高執行責任副学長兼法学部長(provost) (筆者注1)(筆者注2) を務め、またそれ以前はスタンフォード大学ロー・スクールのリチャードE.ラング法学教授および法学部長を務めた後、ペンシルベニア大学に着任した。UVAとスタンフォード大学の両方でのマギル氏のリーダーシップ能力・経験は、両方の大学に機関に変革的な変化をもたらしたといえる。 1.マギル氏のこれまで歩んできた経歴の概観  バージニア州立大学で最高執行責任副学長 (provost)兼法学部長として成功を収めた在任中、マギル氏は大学全般の教育と研究活動を監督し、12の学校 (schools)、大学の図書館、美術館、公共サービス活動、 各研究所(institutes)および各センター(centers) 、外国留学プログラムの学術管理を指揮した。  UVAにおけるマギル氏の高度に熟練した人材採用能力は、採用検索を主導し、学部長の半数以上を募集し、大学の歴史の中で最も多様な学部長のグループを確立...