筆者は去る 3月7日付けのブログ の最後で米国やNATOが北大西洋条約第5条(集団防衛)の適用について具体的に検討を進めている旨、解説した。 この問題については、NATOにとって最後の切り札であり、もし適用を誤ると第三次世界大戦に突入するという大問題である。さらに国連の議決ともかかわる微妙な問題だけに慎重な検討がなされているようである。 この点につき 米国CNNが3月7日付け記事 で簡単な要約を行っている。重要な問題であり、ブリンケン国務長官も東欧の関係国を回る中で強く協調している点でもあり、その概要を紹介する。また、同長官のラトビア外相との共同記者会見でも明言していることから今回のブログであえて取り上げた次第である。 1.北大西洋条約第5条(集団防衛) 【外務省の解説】北大西洋条約第5条(集団防衛)欧州又は北米における一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなす。締約国は,武力攻撃が行われたときは,国連憲章の認める個別的又は集団的自衛権を行使して,北大西洋地域の安全を回復し及び維持するために必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を個別的に及び共同して 直ちにとることにより,攻撃を受けた締約国を援助する。(外務省の解説から引用) 2. CNN記事 北大西洋条約第5条(集団防衛)に関する部分を抜粋、仮訳する。 (1) 北大西洋条約第5条(集団防衛) とは何か? 第5条は、NATOの1つのメンバー国に対する攻撃は、すべてのメンバー国に対する攻撃であるという原則である。これは、1949年にソビエト連邦のカウンターウェイトとして設立されて以来、30人のメンバー国 (注1) による同盟の要となっている。 この原則は、潜在的な敵対者がNATO加盟国を攻撃するのを阻止することを目的としている。第5条は、同盟全体の資源が単一の加盟国を保護するために使用できることを保証する。これは、同盟国なしでは無防備になるであろう多くの小国にとって極めて重要である。たとえば、アイスランドには常備軍がない。 米国は最大かつ最も強力なNATO加盟国であるため、同盟のどの国も事実上米国の保護下にある。 そのような武力攻撃およびその結果としてとられたすべての措置は、直ちに安全保障理事会に報告されなければならない。安全保障理事会が国際の平和と安全を...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。