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6月, 2021の投稿を表示しています

ペンシルベニア州の公立学校の当時14歳女子学生が行ったSnapchatと教育委員会の処分をめぐる連邦最高裁判決の意義とこの問題の重要性

     わが国のメディアでも報じられたとおり、連邦最高裁判所は6月23日、州の公立学校には、学生がキャンパス外で言ったことを罰する一般的な権限がないと判示し、部活動禁止処分は合衆国憲法修正第一に反すると判示したが、一方で学校側が、一定の範囲で生徒の校外の言論を規制することは可能であるとする点も明示した。  8-1のこの判決は、学 校の子供たちがソーシャルメディアやテキストメッセージを通じてほぼ絶えず互いに連絡を取り合っている時代に、憲法修正第一の保護範囲を拡大した。 今回の決定は、すべての学生の学外の表現を保護するものではなかったが、最高裁判所は、将来の事件で解決される例外を制限することを提案した。    また、スティーブン・ブレイヤー最高裁判事は、「合衆国憲法修正第一が学校に与える 裁量権」は、学外の表現の特殊な特徴に照らして、「減少されるべき」と補足意見を書いた。  一方、クラレンス・トーマス最高裁判事は、停学を支持したであろうと述べ反対意見を述べた。    当時ペンシルベニア州の公立学校の9年生(日本の中学3年生)だったブランディ・レヴィ(Brandi Levy)は、ある土曜日にコンビニエンスストアでSnapchatに投稿したメッセージを理由として罰せられたが、連邦最高裁はレヴィの勝利を認めた。 Brandi Levy氏  彼女は極めて下品な四文字言葉を使って「f ---学校f ---ソフトボールf ---チア-チームf ---全部」と書いた。学校のチアリーディングコーチの1人がメッセージを発見したとき、レヴィは2年生の間ずっとジュニア代表チームにおいて出場停止になった。  彼女と彼女の両親は訴訟を起こし、連邦控訴裁判所は、彼女のメッセージがキャンパス外に投稿されたため、彼女は学校当局の手の届かないところにあり、罰せられないとの判決を下しました。今回、最高裁判所はそこまでは明確にしなかった。  6月23日の判決は、学生の表現に関する裁判所の以前の決定をインターネット時代に併せ見直した。1969年、連邦最高裁判所は、生徒と教師は「校舎の門で言論または表現の自由に対する憲法上の権利を放棄することはない」と判示した。生徒の表現は、学校の仕事と規律を実質的に混乱させない...

バイデン政権は1977年海外官吏への贈収賄行為防止法の執行の増強と拡大を優先させる大統領覚書を発布

    2021年6月3日、ホワイトハウスは国家安全保障上の中核的利益として贈収賄法執行強化に関する 「大統領覚書(memorandum ) 」 (筆者注1) を発表した。この覚書は、「贈収賄は米国の国家安全保障、経済的公平性、世界的な反貧困と開発努力、民主主義そのものを脅かす」と説明している。これは、贈収賄との闘いに前例のない機関間の動向に焦点をあて、これらの努力のための資金を増加することを示している。    連邦議会の民主党と共和党の拮抗の中での政権運用を担うバイデン政権としても、このような覚書や行政命令は今後とも多用せざるを得ないと思われる。    このような中で、筆者が読んだいくつかのローファームのレポート中でビジネス界にとって推奨すべき点を比較的詳しく解説しているNational Law Revew ”Biden Administration Prioritizes Increased and Broadened Anti-Corruption Enforcement” を中心に、Smith Pachter McWhorter PLC.のブログ 「Biden Administration Prioritizes Transnational Anti-Corruption Efforts」 を 併せ 仮訳 、引用することとした。  なお、引用したNational Law eviewのブログの注書についても併せて 仮訳 のうえ、本ブログでも筆者の責任で判決要旨等を補足のうえ、引用した。 1.6月3日「大統領覚書(memorandum ) 」の概要と企業として留意すべき点  現在、ビジネス関連の贈収賄・汚職を対象とした捜査は、主に「1977年海外官吏への贈収賄行為防止法(「Foreign Corrupt Practices Act :FCPA」) (筆者注2) および ”15 U.S. Code § 78dd–1 - Prohibited ...

ニュージーランドの銀行等における小切手の廃止と高齢者等のデスクリミネーション(discrimination)問題

  ソルダムの実  手形や小切手という金融取引のペーパーレス化が強く指摘され始めてからかなりの年数が立つ。2021年3月18日一般社団法人全国銀行協会は 「手形・小切手機能の電子化状況に関する調査報告書~約束手形の利用の廃止等に向けた自主行動計画等の策定に向けて~(2020年度)」 を公表した。その要旨で「本調査報告書は、2018年12月に取りまとめられた 「 手形・小切手機能の電子化に向けた検討会報告書」(以下「検討会報告書」 という。) において提言された中間的な目標である「全面的な電子化を視野に入れつつ、5年間で全国手形交換枚数(手形・小切手・その他証券の合計)の約6割が電子的な方法に移行すること」の進捗状況をモニタリングするとともに、わが国企業を巡るデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた課題や、検討会報告書取りまとめ時には想定していなかった新型コロナウイルス感染症に伴う書面・押印・対面手続の見直しに関する社会的要請を踏まえ、手形・小切手機能の「全面的な電子化」に向けた今後の取り組みについて取りまとめたものである」と記されている。 (注1)   筆者も、かつてこの問題にかかわった関係で今後の検討内容・動向を注視する予定であ る。 ところで、 筆者の手元に ニュージーランド金融市場局(Financial Market Authority)からのニュース記事 が届いた。  「 ニュージーランド会社登記局(New Zealand Companies OfficeNZCO)は、2021年6月23日以降、小切手を受け入れることができなくなります。これは、 NZCO自身 を含むほとんどのニュージーランドの銀行が小切手の使用を段階的に廃止するという決定に従うことを意味します。また、6月26日から、NZCOが受け取った小切手が返却されます。小切手に代わる支払い方法については、 NZCO のウェブサイトのヘルプガイドをご参照ください。」と書いてある。  これだけの文章で、その意味することを理解できる日本人は皆無に近いと言えよう、。実際、 この問題は日常生活、金融取引、慈善活動だけでなく永住、企業設立等広く社会的影響を持つものである。  これらの問題については、わが国では本来的には J ETROが対応するべきもの...

2021年7月9日、商業・娯楽・小売業・飲食業における生体認証情報の収集と利用に関するニューヨーク市の新しい法律が施行

   筆者の手元に6月18日付け”Steptoe & Johnson LLP”の解説記事 「2021年7月9日、商業・娯楽・小売業・飲食業における生体認証情報の収集と使用に関するニューヨーク市の新しい法律が施行される」 が届いた。しかし、新法の内容の解説としては”Nixon Peabody International LLP”の 「Biometric Data Restrictions: New York City Today, New  York State Tomorrow?」 がより詳しい内容である。  したがって、今回のブログは後者の内容を中心に 仮訳 、補足しながら、解説を試みる。  なお、筆者は2017年8月19日付ブログ 「米国で生体認証情報プライバシー法を採択した第三番目の州であるワシントン州の立法内容の検証する 」 で詳しく論じている。本ブログと併せて読まれたい。 〇ニューヨーク市行政法典(New York City Administrative Code)(2021年ニューヨーク市行政法第3号:ニューヨーク市行政法典第22-1201条~22-1205条)の制定経緯と施行予定  顔認識等生体認証技術の使用は、小売店や娯楽施設など、さまざまな公共の生活で急速に成長している。このテクノロジーの使用の増加に伴い、その使用によって取得された情報が、それを所有する人々によってどのように保存、共有、および使用されるかについての懸念が高まっている。このような懸念に対処する州の法律立法はこれまでに限定されてはいるが(イリノイ州 (筆者注1) 、テキサス州 (筆者注2) 、ワシントン州 (筆者注3) には現在そのような法律がある)、 ニューヨーク市行政法典(New York City Administrative Code)(2021年ニューヨーク市行政法第3号:ニューヨーク市行政法典第22-1201条~22-1205条)(以下「NYC法」という) にこのほど新たに追加された。  NYC法は2021年7月9日に発効し、ニューヨーク州議会の両院で同様の法律...