Last Updated: March 23,2021 筆者は、3月17日付けの朝日新聞(東京本社版)朝刊やNHKニュースを読んだ。1面「LINE個人情報保護 不備」および35面に「LINE 海外流失リスク露呈」である。 その解説内容の説明不足もさることながら、EUの一般情報保護規則との整合性を謳うわが国の規制のありかた自体を問われる問題である。 今回のブログは問題の本質すなわIT企業のコンプライアンス遵守姿勢の本質的欠如、国際的に見た各国保護機関の厳しい処分の実態、さらに、最近時特に目立つメディアの勉強不足とその改善のためのIT近代化に向けた提言を行うものである。 なお、わが国の国会の議論は総務省のLINE社に対する報告徴求ができるとする「電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第166条第1項 (注0) に基づくものがほとんどである。この点は3月19日総務省が「LINE株式会社に対する報告徴収」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000114.html)と報じたとおりである。 しかし、すくなくとも第166条第1項を読んで感の良い読者はすぐ気が付くであろうが、この条文自体同法の雑則規定である。つまり、この条項に基づく罰則もない規定なのである。 したがって、筆者としては、この問題につき本来は本文で述べるとおり個人情報保護法を根拠にLINE社の責任を追及すべき点を改めて訴えたい。 1.筆者なりの補足説明 (1) LINEの委託先の監督責任に関する法律 「個人情報保護法(平成十五年法律第五十七号 個人情報の保護に関する法律)(以下、「保護法」という)」 )「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン 」や委員会の告示内容について、個別に検証する。 以下に一部抜粋する。 A.個人情報保護法 第二十二条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。 第四十二条 (勧告及び命令) 第四十二条 個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が第十六条から第十八条まで、第二十条から第二十二条まで、第二十三条(第...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。