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9月, 2020の投稿を表示しています

FBIやCISAは2020年11月の大統領選挙や同時に行われる米連邦上下院、州議会、地方自治体の選挙に関し連邦選挙犯罪やサイバー妨選挙妨害等について有権者に警告

  Last Updated : Febuary 25,2022  公正な選挙は米国の民主主義の基礎であり、FBIは9月24日にすべてのアメリカ人の投票権を保護することに取り組んでおり、連邦選挙犯罪とその回避方法について有権者を教育し、違反行為の疑いを報告するよう有権者に奨励するために、この 警告 を出した。またFBIは国土安全保障省( Department of Homeland Security :DHS)の下部機関であるCISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)とともにサイバー犯罪者が選挙インフラを侵害しようとする試みは遅くはなるが、投票を妨げないことを国民に知らせるために、その影響内容等を詳しく 発表 した。  今回のブログはこれらの発表内容をできるだけ詳しく解説し、わが国でも同様の法律違反や選挙妨害が生じることは時間の問題であると思われることから、国民だけでなく関係機関に対しあえて警告をならすものである。 1.FBIの選挙犯罪のカテゴリー分類と連邦犯罪の概念  9月24日、FBI犯罪捜査部の部長補(assistant director for the Criminal Investigative Division)カルビン・シヴァーズ(Calvin Shivers)氏は「毎年、アメリカ人は指導者を選び、選挙を通じてその主義等を聞かせる。これらの選挙は、有権者の声が本当に聞こえるように自由で公正であり続けなければならない。アメリカ人が投票する準備が整うにつれて、FBIは各市民に警戒を続け、有権者を標的にした犯罪計画を直ちにFBIに報告するよう求めている」と語った。 Calvin Shivers氏 (1)選挙犯罪(Election Crimes)とは 選挙犯罪は選挙の正当性を脅かし、我々の民主主義に対する国民の信頼を損なう。選挙犯罪は、次の4つの大きなカテゴリーに分類できる。 ①投票詐欺(Ballot fraud) ②選挙運動資金法違反(Campaign finance violations) ③似非後援会犯罪(Patronage offenses) ④公民権侵害(有権者の弾圧や有権者の脅迫など)( Civil rights violations, such as voter suppr...

米国のウィリアム・P・バー連邦司法長官は、シカゴでの記者会見で2020年7月8日に開始した「レジェンド作戦」の更新結果を発表

   筆者は 8月22日ブログ で「レジェンド作戦 は、連邦法執行機関が州および地方の法執行当局と協力して暴力犯罪と戦うもので、持続的で体系的かつ協調的な法執行イニシアチブである。この作戦は、最近の暴力に悩まされているアメリカの都市を支援するトランプ大統領の公約の結果として、ミズーリ州カンザスシティで7月8日に最初に開始されたものである」と解説した。  ところで、9月9日、米国のウィリアム・P・バー連邦司法長官は、シカゴでの記者会見で2020年7月8日に開始した「レジェンド作戦」の更新結果を 発表 した。  この作戦の開始以来、州裁判所や地方裁判所で起訴された被告を含め、2,000人以上の逮捕者が出ている。そのうち約592人の被告が連邦犯罪(federal crimes)  (筆者注1) で起訴されている。さらに、アルコール、タバコ、火器および爆発物取締局(Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives : ATF)は、587丁の火器、1.2キロ以上のヘロイン、および5キロ以上の メタンフェタミン を押収した。麻薬取締局(DEA)は、約70キロのメタンフェタミン、16キロ以上のヘロイン、7キロ以上のフェンタニル(fentanyl)  (筆者注2) 、12キロ以上のコカイン、268丁の火器、約519万ドルの薬物収入を押収した。FBIは241丁の火器を回収した。また、連邦保安官局(U.S. Marshals Service)は169丁の火器を回収し、殺人で163人、性的暴行で120人を含む1,810人の逮捕を行った。  シカゴでは、同作戦開始前の5週間と比較して、作戦の最初の7週間で殺人が50%減少した。実際、2020年4月から2020年7月末にかけて、シカゴは致命的な銃乱射事件が着実かつ悲惨な増加を経験しているが、8月には急速に減少した。  バー司法長官は2020年7月8日、連邦法執行機関が州および地方の法執行当局と協力して暴力犯罪と闘う持続的で体系的で協調的な法執行機関のイニシアチブとして、レジェンド作戦を開始した。この作戦名は、ミズーリ州カンザスシティで6月29日の早朝に寝ている間に撃たれて殺された4歳のレジェンド・タリフェロ(LeGend Taliferro)に敬意を表して命名さ...

NCLAはCDC立退き猶予命令に挑戦:CDC命令は、裁判所にアクセスする権利を放棄させ、連邦優位条項の制限逸脱、重大な委任禁止教義の懸念、連邦の指揮禁止原則や判例違反を主張

  筆者は去る9月5日、 「トランプ政権の下でのCDCの全米の何百万人もの住宅テナントの立ち退きを2020年末まで禁止・猶予する新規則・命令の発出につき大いなる疑問」 を取りあげた。そのブログでは2021年1月以降家主からの訴訟が大量に発生するであろうと指摘されていたが、今回見るようにすでに裁判闘争は始まっているといえる。  9月8日、米国の法学者グループの ブログREASON  は「米国の超党派の非営利公民権団体である 「新市民自由同盟(New Civil Liberties Alliance:NCLA)」 は、 ジョージア州北部地区連邦地方裁判所 に、全国的な「立ち退き猶予・禁止」を課す米国保健福祉省・疾病予防センター(CDC)の権限に異議を申し立てる 訴状 を提出し、 暫定差し止め命令(temporary restraining order) または予備差し止めを求めた」旨報じた。  前例のない権限範囲の逸脱をもって、CDCは2020年9月4日付けで「COVID-19のさらなる拡散を防ぐための住宅立ち退きの一時的な停止」命令を出したと指摘した。   NCLAの訴状(全27頁) によると「原告リチャード・リー・ブラウン(Richard Lee Brown: Rick Brown )対 連邦保健福祉省アレックス・アザー(Alex M. Azar II)長官他 (筆者注1) は、裁判所にアクセスする権利を侵害し、 連邦優位条項 (Supremacy Clause ) (筆者注2) の制限を超え、重大な 委任禁止教義 (non-delegation doctrine)   (筆者注3) の懸念を提起し、「 連邦による州郡等に対する指揮禁止原則 (anti-commandeering principles)   (筆者注4) (筆者注5) と判例を含む違法なCDC命令の執行を止めるよう連邦地方裁判所に求めたのである。 HHS Secretary Alex Azar氏  NCLAへの訴訟依頼人(client)、バージニア州ウィンチェスター市の家主(landlord)リック・ブラウン(Rick Brown)氏は、未払いの家賃8,092ドル(約86万円)、毎月の維持費、彼の財産の損害、および不動産を使用したり、月額少なくとも925ドルの公...

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EU議会「市民の自由・司法・内務委員会」が9月3日にCJEUのシュレムスⅡ決定に続く、EUと米国の個人情報フローの将来についての議論の概要

  筆者は去る7月25日の ブログ で欧州司法裁判所の 「Schrems Ⅱ判決」 を取り上げた。この裁判は2015年6月欧州司法裁判所判決により米国とEU欧州委員会が協議を重ねた「セーフ・ハーバー決定」が無効と判断され、これを受けてさらなる協議を行い作成したプライバシー・シールドの枠組みも再度 無効 とされた点である。 (筆者注1)   その後のEU内でのEU-US間の個人情報フローの在り方の検討の動向が気になっていたのであるが、このほどグローバルに活動しているAlston & Bird LLPの弁護士Paul Greaves氏がブログ 「European Parliament Committee Meeting Provides Insight into the Future of EU-US Personal Data Flows」 で最新情報を取り上げた。  つまり、9月3日、EU議会の「市民の自由・司法・内務委員会(LIBE委員会)」は会合を開き、7月16日の CJEUのシュレムスⅡ決定 に続く、EUと米国の個人情報フローの将来について議論した。特に、この会合にはシュレムス裁判の原告である マックス・シュレムス (Max Schrems,)  (筆者注2) 、 ディディエ・レンデルス(ベルギー) (Didier Reynders) 欧州委員会・司法担当委員  (筆者注2) 、 アンドレア・イェリネク (Andrea Jelinek) (欧州データ保護会議(EDPB)議長)が出席した。   Paul Greaves氏はブログの冒頭でセッション中に行われた重要なステートメントの一部を説明するものであり、これらはかならずしも発言順番に表示されないと注記している。  今回の本ブログはPaul Greaves氏のブログを仮訳するとともに欧州委員会に改めて加わったマックス・シュレムス氏の主幹サイトの内容等も引用し、今後の議論の行方を探るものである。  なお、後半で紹介するシュレムス氏の意見は極めて示唆に富む内容であると考える。今後もフォローしたい。 1. ディディエ・レンデルス欧州委員会・司法担当委員の発言内容 Commissioner for Justice Didier Reynders (1)欧州委員会は、...

「トランプ政権の下でのCDCの全米の何百万人もの住宅テナントの立ち退きを2020年末まで禁止・猶予する新規則・命令の発出につき大いなる疑問」

  Update September 7,2020  9月3日、筆者の手元に米国の法学者グループによる専門ブログ“The Volokh Conspiracy” 「Trump's Eviction Moratorium Could set a Dangerous Precedent [Updated]」 が届いた。筆者はバージニア州ジョージ・メイソン州立大学およびAntonin Scalia Law Schoolの憲法、財産法、移民法等の教授であるイリヤ・ソミン(Ilya Somin)氏である。  ソミン教授はCDCの規則命令の裏にあるトランプ政権の立ち退き一時猶予(Moratorium)は危険な前例を作るかもしれない。これは、連邦主義と権力の分離を損ない、かつ家主等の財産権を危険にさらす可能性のある権力拡大(power grab)である。  すなわち、9月4日(金)、連邦政府の保健福祉省・疾病対策センター(CDC)は、全米の何百万人もの住宅テナントの立ち退きを年末まで禁止・猶予する新規則命令(agency order) “Temporary Halt in Residential Evictions to Prevent the Further Spread of COVID-19” を発行した。この法的な問題を乗り切れば、新しい政策は連邦主義、権力の分離、財産権をむしばむ危険な前例を作るだろう。特に保守派の人々は、民主党大統領が同じ圧倒的な権限を継承するとき、それを後悔する理由を持つことになろうと述べている。  このブログは、同大学教授でありかつブログの仲間であるジョシュ・ブラックマン(Josh Blackman)教授のレポート2020.9.1 REASON Josh Blackman 「The Statutory Authority for the Nationwide Eviction Moratorium」 等も受けたものであり、トランプ政権の選挙対策は実際は本当の意味の弱者保護ではないといった問題等を指摘している。  今回の本ブログは、ソミン教授やブラックマン教授に論説を紹介する前に ハンナ E. マッド(Hannah E. Mudd)氏( Danna McKitrick P.C(.法律事務所))がCDC命令を簡潔に紹介しているので、まずその内容を...