Last Updated: April 30,2024 中国の最高裁にあたる 「最高人民法院(Supreme People’s Court )」 は、 2013年11月21日付け通達 で裁判情報の迅速性、透明性と独立性、個人のプライバシー保護等を担保するとともに国内の全「高級人民法院(32ある)」 (筆者注1) の判決文検索サイトを構築するため、早期公表にするオンライン・データベース規則を制定し、2014年1月1日から施行する旨公布した。 このニュースは、筆者は1月24日に米国の 大手ローファーム(Hogan Lovells)のニュース (筆者注2) で知ったのであるが、わが国においてこの分野に詳しいとされる 特許庁 、 京都大学国際法政文献資料センター 、 神戸市外国語大学学術センター図書館 等においても紹介されていない情報であることから、本ブログで取り上げた。 1. 人民最高法院の規則通達の要旨 最高人民法院关于 人民法院在互联网公布裁判文书的规定(2013年11月21日最高人民法院审判委员会第1595次会议通过)(以下「規則」という) の要旨を概観する。なお、条文番号は筆者が追加した。 ○規則の下で、国民の情報の入手権、司法の参加ならびに司法手続きの監視権を保証するため、全人民法院は全判決文(中国全体で3,000以上)につき判決日の7日以内にオンラインで公布し、一部例外を除き裁判の当事者名を本名で掲載することを義務付ける。(第8条) ○規則は、国家機密(涉及国家秘密)、個人のプライバシー(个人隐私的)、未成年が関与した刑事事件(涉及未成年人违法犯罪的)、調停を介した和解事件(以调解方式结案的)、その他オンラインでリリースすることが適さない事件(其他不宜在互联网公布的)については例外としてオンライン・データベースには掲載しない。(第4条) ○さらに、規則第7条は第4条に特に定める以下の例外の場合を除き、国民の知る権利に基づくアクセスを保証すべく裁判当事者の本名を保持する旨定める。 ・婚姻関係の事件および家族法事件の当事者名(婚姻家庭)、遺産紛争事件当事者および法定代理人名(继承纠纷案件中的当事人及其法定代理人) ・刑事事...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。