全米にわたるプライバシー・ポリシーと法執行に係る中心的規制・監督機関である 連邦取引委員会(FTC) は、2010年12月1日にプライバシー保護面からビジネス業者が取るべき実践要求事項に関する報告書草案を公表していたが、2012年3月26日、広く関係者からの意見等を踏まえた最終報告書 「急速に変化する環境下におけるプライバシー保護:ビジネス界および連邦議会への勧告(事務局案)(Protecting Consumer Privacy in an Era of Rapid Change:Recommendations for Businesses and Policymakers)」 を取りまとめた旨、 リリース した。 筆者は、 2010年12月31日の本ブログ でこの報告書問題を取り上げた。当時の準備報告書の英文タイトルは“Protecting Consumer Privacy in an Era of Rapid Change: A Proposed Framework for Business and Policymakers ”であった。その後も、2012年に入りGoogleの新プライバシー問題やEUの情報保護規則案の公表等、プライバシー保護をめぐる監督機関とマーケティングやIT業界等ビジネス界との鬩ぎ合いはますます混迷の度合いを深めている。 実は、2010年の報告書の取りまとめ目的は、第一に連邦議会に対し、(1)包括的なプライバシー保護立法、(2)個人情報データの安全性とその漏えい時のデータ主体などへの通知義務立法、(3)個人情報のブローカー規制立法に向けた具体的な行動を勧告することにある。また、同時に消費者の個人情報を扱う企業等がプライバシーを保護するために遵守・実行すべき準則・自主的行動基準を明示するものであった。 一方、2012年 2月23日のWSJ記事 等に見るとおり最近時、 連邦政府(ホワイトハウス) 、商務省、FTCや連邦議会の具体的な動きの中で、従来消極的であったウェブ運営会社のトラッキング規制への自主的取組みが具体化したことが今回のFTCの最終報告取りまとめの背景にあげられる。 今回のブログは、(1)先の予備的報告書に対する関係先からの各種意見、指摘事項を踏まえ見直し項目や内容、および(2)連邦議会による包括的なデータ主...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。