2月23日、ホワイトハウスが発表した「ネットワーク世界の消費者のプライバシー保護強化の包括的枠組み」については、わが国のメディアでも大きく取上げられた。 米国が突然のようにこのようなプライバシー憲章を持ち出した背景は去る1月25日に EU委員会司法担当委員ヴィヴィアン・レディングがEU市民のオンライン・プライバシー強化とEU内の企業のデジタル経済の向上を目指して2010年以来取組んできた「1995年データ保護指令の包括的改正案」等を正式にリリース 「Commission proposes a comprehensive reform of data protection rules to increase users' control of their data and to cut costs for businesses」 したことが第一に挙げられよう。 (筆者注1) 筆者は、この問題につき去る2月17日、某学会の研究会で報告し (筆者注2) 、近々その内容をブログにまとめるべく作業を進めていた。その作業中に米国の具体的な動きが急速に展開したので、急遽順番を変えて米国の最新動向を優先的にまとめることにした。特に、Googleが3月1日実施予定する新プライバシー・ポリシーや利用規約に関する問題は、オバマ政権の政策強化問題だけでなく、米国の全州司法長官会議、人権擁護団体、ITビジネス事業者(MozillaやMicrosoft)、アカデミー研究者等の追及は米国外も含め大きな社会問題となりつつある点が留意すべき事項であり、本ブログでも出来るだけ具体的な内容を織り込んで解説したい。 1.ホワイトハウスが発表した 「ネットワーク世界の消費者のプライバシー保護強化の行政上の包括的枠組み(Consumer Data Privacy in a Networked World:A Framework for Protecting Privacy and Promoting Innovation in the Global Digital Economy: Administration’s framework 」 の内容 ○“Administration’s framework”として次の4つの主要素があげられている。 (1) 消費者のプライバシーにかかる権利章典...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。