Last Updated :July 16 ,2020 8月10日付けのFINRA (注1) からのニュースリリースで、 米国スタンフォード大学高齢化センター(Stanford University Center on Longevity) (注2) と 金融取引業規制機構(FINRA)投資家教育基金(Investor Education Foundation) が法執行機関、政府および金融詐欺研究グループのための学際的支援機関となる「金融詐欺」阻止のための専門研究調査センターを立上げたとの情報を得た。 米国における金融詐欺は、ねずみ講(ponzi schemes)からオンライン・フィッシング詐欺(online phishing scams)まで広がり、また住宅取得計画等にもかかる経済的社会問題として米国民は毎年数10億ドルの被害に遭っている。特に高齢者にその被害リスクが高まっているというのがその問題認識の背景といえる。 今回のブログは、(1)同センターの具体的に目標とする課題について解説するとともに、(2)同センター諮問委員会の構成メンバー、(3)本年11月3日~4日にワシントンD.C.で開催される創立記念会議(inaugural conference:The State and Future of Financial Fraud)の概要、および(4)背景の一因となったこれらの高齢者問題の詐欺行為に対するFINRAのシティグループ・グローバル・マーケテイング部 (注3) への罰金処分の概要、最後に(5)今回の金融詐欺の被審人であるシティグループ・グローバル・マーケッツ部の元従業員タマラ・ランツ・ムーン(Tamara Lanz Moon:女性43歳)に対するカリフォルニア州北部地区連邦検事局の起訴概要を紹介するものである。 1.設置目的 同センターの設立目的等から抜粋する。この中でも明記されている通り、被害者の心理面や社会政策的な問題を重要視しており、従来の金融詐欺に関する取締り、法執行、司法機関や行政機関の取組みとは一線を引く内容と考える。 (1)・誰が最も金融詐欺に騙されやすいか。 ・どのようにしたら効果的に詐欺から人々(高齢者や社会的弱者)を守れるか。 ・詐欺師は犠牲者を説得するのにどのようなテクニックを用いる...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。