Last Updated: March 5, 2021 わが国のメディアも欧州疾病対策センター(ECDC)が毎日更新・発表している新型インフルエンザの世界的な感染拡大情報に注目している。本ブログのN0.12で紹介したとおり、WHOが7月22日以降各国別の感染確認件数統計の公表を中止し、WHOの世界6つの地域事務局(regional office)(アフリカ、アメリカ、東地中海、欧州、東南アジア、西太平洋)からの累計確認数と死者数の集計方式に改定したことが、ECDCの個別国情報の意義があらためて浮かび上がった理由の1つといえよう。 しかし、ECDCも従来独自に集計してきたEUやEFTA加盟国以外の各国の確認済累計感染者数の公表につき「8月9日」をもって中止している。その最大の理由は、ECDCの説明によるとわが国と同様世界の主要国が感染数の公表が出来ていないという最悪の状況になったことであろう。さらに疫学上の重要課題といえる監視情報の混乱の実態は、ECDCの独自の統計とWHOの集計時の誤差の解釈のあり方の問題も浮かび上がってきた。例えば、8月13日現在のWHOの世界統計では累積確認感染者数は182,166 人、死者は1,799人である。一方、ECDCが8月22日に公表したEU加盟国(EFTAを含む)感染者数は42, 099人(うち死者は80人)、その他の国々の感染者数は208,496人(うち死者は2,459人)である。世界全体では累計確認感染者は250,595人、死者は2,539人である。 (筆者注1) 一方、わが国の厚生労働大臣のコメントを待つまでもなく、新型インフルエンザの本格的な流行は本年秋以降といわれていたが、実際は夏から始まっている。都道府県ごとの集計でみた感染発生事例の累計疑似症患者数は8月16までの2009年第33週は1.69(患者報告数:7,750)となり季節性インフルエンザの全国的流行開始指数値(1.00)を上回った。第33週の受診患者数は約11万人と推計され、そのほとんどが新型インフルエンザであると国立感染症研究所は推定している。8月18日までの累計入院患者数は230人である。 本文で述べるとおり、世界的な感染拡大傾向はこの数週間は従来拡大が続いていた北半球の北米や英国等は低下傾向にあり、わが国の増加傾向はアジア地域や中南米の傾向に...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。