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5月, 2009の投稿を表示しています

注目の新検索エンジン“WolframAlpha”データ版の客観的評価について

    Last Updated : March 5,2021  最近わが国のブログで紹介され始めた話題  (筆者注1) で、5月18日にサービス開始する “WolframAlpha” と“Google” はどちらが検索エンジンとして機能面等で優れているか、また“Google”の世界戦略はどのような影響を受けるのかといった問題につき各方面から解説が行われている。  5月11日に筆者に届いたドイツのメディア “SIEGEL ONLINE”(国際版) (開く前にプライバシーポリシーを承認すること)を読んでみると、ドイツらしいロジカルかつ辛口の記事が目に留まったので紹介する。Google自体話題性の多い企業であること(米国型企業戦略でもある)は言うまでもないが、“SPIGEL”が比較において使用した項目は単にわが国等関係者が従来指摘している以上に重要な視点が含まれているという判断から専門外ではあるが、あえてとりあげるものである。  なお、“SPIGEL”の記事では10項目に分けて比較等を行っているが、そのうち主要な7項目のみ取り上げる。 1.“WolframAlpha”の開発者の本当の開発目的は何か  米国の理論物理学者兼実業家 Stephen Wolfram   (筆者注2) が開発した検索エンジン“WolframAlpha”は、“ Google の 殺し屋”ではない。また検索エンジン機能だけでもない。「コンピュータ自身による知識エンジン(computational knowledge engine)」すなわち彼自身が自ら主張する「コンピュータの使用とウェブのための新しい理論的枠組み(a new paradigm for the use of computers and the Web)」である。その最終的な目標はコンピュータの先駆者が1950年代に指摘した約束(コンピュータ自身が質問し答えを出させる)の達成である。彼は数学パッケージソフトウェア“Mathematica”を開発した。同ソフトは、統計学者、科学者や数学者が課すあらゆる数学上の普遍的問題解決ツールである。同プログラムは膨大な処理能力を必要とするため、いくつかのコンピュータ雑誌がPCの容量と能力をテストするのに利用するほどである。 Stephen Wolfram 氏  “Wolfr...

米国の連邦議会行政監査局(GAO)が個人情報再販業者に対する機密情報安全性監督の強化策を勧告

  Last Updated: March 5.2021 〔再登録にあたり〕  本ブログは2006年9月24日(木)にgooブログにアップしたものである。しかし、数年を経過し法改正や内容の陳腐が目立つ。このため必要な範囲で内容の更新・見直しと併せ、新たにリンクを張るなど読みやすさにも配意して改訂を行った。   また、2021年3月5日の筆者は更新にあたり、GAOサイトを再度検証したところ2013年9月25日に再度、上院 「 銀行、住宅・都市問題委員会」に 「INFORMATION RESELLERS:Consumer Privacy Framework Needs to Reflect  Changes in Technology and the Marketplace」勧告報告 を行っていることが判明した。ただし、今回は内容にはあえて言及しない。 米国連邦議会行政監査局(United States Government Accountability Office;GAO) は、2006年6月26日に開催された連邦議会上院「銀行、住宅・都市問題委員会(Committee on Banking ,Housing and Urban Affairs ,U.S. Senate)」において、連邦や州の金融監督機関が行う“Gramm-Leach-Bliley Act;GLBA”等個人情報保護に関する重要な法律の運用に関し、最近急成長しつつある個人情報の再販事業者(Information Resellers) (筆者注1) が行うべき安全対策に関して、有効な監督機能を果たしていないとする 勧告報告(   Personal Information:Key Federal Privacy Law Do Not Require Information Resellers to Safeguard All Sensitive Data )  を行った。  GAOの活動や権限について、本ブログでも数回取り上げたことがあるが、GAOの連邦議会への発言力すなわち上院・下院議員への影響力は極めて強く、また取扱う問題の範囲が広く米国の行政機関への横断的な影響度は大といえる。  特にGAO報告の特徴は、関係企業、監督機関、消費者等からの情報収集が徹底...

米国の全米気象サービス局(NWS)の非気象に関する「緊急情報通知システム」の運用開始

     5月6日に米国FEMA(連邦緊急事態管理庁)  (筆者注1) から届いたニュースの中で2009年4月30日から運用開始し、5月、6月は段階的運用を拡大するとのニュースがあった。気象学や災害問題の専門家でない筆者は「何のこと」と思いつつ、「非気象」の緊急メッセージ(non-weather emergency messages)という言葉が気になり自分なりに調べてみた。  そこで見られたのは国家としての自然災害以外に対する社会的な危機情報の安全、効率的な情報収集による危機管理情報ネットワーク拡大とインフラ整備である。商務省全米海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration;NOAA) (筆者注2) 気象サービス局(National Weather Service:NWS)が中心となって取組んでいる新たな国家プロジェクトである。 (筆者注3)  また、5月6日にFEMAは大規模災害緊急事態通報システム・サイト “Disaster Management”ポータルに “HazCollect” (All-Hazards Emergency Message Collection System)を追加しており、当該“HazCollect”の運用州の拡大予定やQ&A等が詳しく説明されている。 (筆者注4)  なお、HazCollectは20015年4月1日にNWS本部の改組に伴い、内容が変更されている。  今回のブログでは単に“HazCollect”の役割や目的だけでなく、情報化社会における大規模災害以外についても正確かつ迅速な緊急情報伝達のあり方について米国の取組みや問題点について解説を試みる。  なお、当然であるがわが国でも電子政府や大規模災害、疾病等に対応するため関係機関で人為ミスを含むこれらの課題はすでに検討されている(内閣府が整備を進めている防災情報共有プラットフォームである 「中央防災無線網」 等)と信じたいが、2009年2月9日に開催された内閣官房「防災分野における地理空間情報の利活用推進のための基盤整備に係るワーキンググループ」第2回会合で(財)全国地域情報化推進委員会の 説明資料 のスライド29頁(自治体は現状、防災現場で紙や口頭で収集した情報を防災情報システム...

米国FRB、OTS等によるクレジットカード規制の厳格化等に係るレギュレーション等の改正

  Last Updated: March 6,2021 〔前書き〕  本ブログの原稿は、2008年12月20日に一部書き上げていた。しかし、仕事の関係で棚上げになっていたが、2009年4月30日に連邦議会下院でクレジットカード・ユーザー保護法案(HR 627)が通過、近々上院も通過する旨のニュースが入ってきた。  約半年遅れでありニュース価値としてはいかがかと思うが、念のため同時期のブログを検索してみた。やはり米国のクレジットカードの金利に関する専門的なものは見当たらなかった。筆者はHR 627をめぐる原稿を書き始めていたが、FRB等のレギュレーションを正確に理解していないと今回の法案そのものの意義が理解できないであろうから、あらためて取りまとめることとした。 〔本文〕  2008年12月18日に米国連邦準備制度理事会(FRB)、財務省貯蓄金融機関監督局(OTS)および信用組合管理庁(NCUA)は、「サブプライム・クレジットカード」等の被害拡大阻止や金利内容の表示等透明性確保について、クレジットカード利用者保護強化の観点から関係行政規則の最終案を承認、公表した (筆者注1)。 各最終案は連邦取引委員会法(Federal Trade Commission Act:FTC Act)に基づくもので、ほぼ同様の項目・内容である。したがって、今回はFRBの4つのレギュレーションについて規則改正の経緯および内容について説明する(4つのレギュレーションの施行日はいずれも2010年7月1日である)。  (筆者注2)(筆者注3)  特に12月18日の FRBのプレス・リリース や最終案を丁寧に読むと理解いただけると思うが、消費者がいかに複雑な取引スキームを理解できるか、「消費者テスト」や「実証研究」の結果や顧客への各 種通知文書様式やサンプルモデル例 (連邦官報5426頁以下)を同時に公表している。関係規則(レギュレーション)の改正だけでないこのような実践的対応が、今後わが国の金融監督行政のあり方にも影響が出てくることを期待したい。  また、これと時期を同じくして、12月19日付で連邦預金保険公社(FDIC)および連邦取引委員会(FTC)は今回取り上げた「サブプライム・クレジットカード」の取扱い業者である“CompuCredit Corporation(アトランタ...