Last Updated :March 6,2021 FBIが、虹彩や顔貌等個人の身体特性に関する世界最大規模(10億人以上)のデータ・ベースの構築に着手し始めているとのニュースを12月22日付け ワシントンポスト紙 が報じた(アメリカ合衆国の人口は2000年時点で約2億8千万人である)。 筆者の知る限り、今世界で大きな生体認証のデータ・ベース化の動きは英国のDNA情報システムやフランスで法律が成立した移民に関するDNAデータ・ベースであるが、EU等では人権やプラバシー問題として危機的な懸念が論じられている。今回の米国も同様であるが、これらの取組みの背景にある問題の本質が単に前科者やテロリストだけでなくごく軽微な犯罪者や雇用時に経営側がそれらの情報を入手しうるといった点 (筆者注1) についても可能としている点である。 英国(アイルランド等)やフランスにおけるDNA情報ついてのブログを執筆中に筆者の国際ネットワークからFBIの記事が伝えられてきたので、緊急記事として紹介する。 なお、今回のワシントンポストの記事(記者はスタッフ・ライター(専属記者))の内容は、筆者が独自にFBIの刑事司法情報サービス部(Criminal Justice Information Service Division:CJIS)のデータやアイルランド ( 筆者注2) の実情さらに海外の生体認証システムに大きく関与しているわが国のITメーカーの実態等 (筆者注3) にはほとんど言及しておらず、センセーショナルなテーマなわりには取材不足の感は否めず、世界的メディアの視点としてはお粗末な気がする。これらのレベルの記事を鵜呑みにして紹介するわが国の大手マスメディアにも責任があるが、今回はこれ以上論じない。 いずれにしても、DNAや生体認証に係る情報セキュリティの問題は極めて広くかつ技術的・倫理的さらには政治的に深刻な問題といえる。わが国の関係部門の専門家による議論が深まることを期待する 。 (筆者注4) 1.FBIの次期IAFIS(自動指紋識別システム)戦略の概要 米国ではFBIを中心とする全米規模の指紋犯罪歴記録・検索システム(Integrated Automated Fingerprint Identification System:IAFIS)が稼動してお...
わが国のメディアの多くが海外メディアの受け売りに頼る一方で、わが国のThink Tankのレポートも中央官庁等の下請けが多い。筆者は約18年かけて主要国の法制研究、主要Think Tank、グローバル・ローファーム、主要大学のロースクール等から直接データ入手の道を構築してきた。これらの情報を意義あるものにすべく、本ブログで情報提供を行いたい。