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ドイツにおける電子マネー(e-money card)の多機能化に向けた最新動向

  Last Updated:April 30,2024    ドイツの金融界全体の取組みとして GeldKarte.de がICカードによるプリペイド電子マネー (筆者注1) の本格的な導入計画が稼動し始めたのは、1996年4月であった。民間金融機関からなる ドイツ銀行協会(Bundesverband deutscher Banken;BdB) 、非営利金融機関である信用協同組合連合会( Bundesverband der Deutschen Volksbanken und Raiffeisenbanken;BvR ) 、 ドイツ連邦公営銀行協会(Bundesverbandes Öffentlicher Banken Deutschlands;VöB) (筆者注2) の3団体に属する約3,800の金融機関と郵政事業(Deutsche Postamtamt)の金融事業体である郵政事業会社(Deutschae Postbank AG)が、官民金融機関の約52,000支店とポスト・バンクの約17,000の郵便局窓口のほとんどが電子マネーの取扱いを始めた。当時、わが国から多くの視察団がドイツを訪問し各種報告書が公表されたが、最近はあまり見かけない。どちらかと言うと英国の地下鉄カード(Oyster card)のe-money拡大計画の挫折といった失敗が目につく (筆者注3) 。なお、後述するとおり、プリペイド式電子マネーGeldKarteは2024年末をもって girogo  カードに切り替わる。そのせいかどこのサイトを見てもGeldKarteの機能性に関する説明がない。かろうじて ドイチェバンクの概括的解説(Payment behaviour in Germany in 2017) が参考になろう。  一方、わが国のプリペイド式電子マネー・カードについてもsuicaの利用範囲拡大や銀行との提携による決済カード機能強化が図られているが、単一カードによる多機能性については、なお各関係業界の思惑もあり、難問が控えている。最近、筆者が気になっている点は家電量販店等のレジに並ぶ端末の多さである。このような現象は決して消費者や販売店の歓迎することではなかろう。  今回は、ドイツのプリペイド式電子マネーの現状を紹介するが、約6,400万枚 (筆者注4) のGeldKa...

オーストラリアにおける消費者金融教育と年金問題(その2:金融クイズの正解・解説)

     10月8日にオーストラリア証券投資委員会(Australian Securities & Investments Commission)の消費者向け専用サイト「fido」の 金融クイズ を出したが、その正解・解説を行っていなかった。次回のブログで正解・解説といっていたのにそのまま、別のブログ原稿の作成で多忙を極めていたといえば言い訳になるが、とり急ぎ原稿を作成したので掲載する (筆者注1) 。  一方、わが国では保険金の未払い問題や掛けすぎ火災保険が大きな社会的問題化し、監督機関である金融庁も保険会社に対する行政処分、検査マニュアルの改訂、総合的な監督指針の改正、保険販売勧誘のあり方に関する検討会等保険会社に対する厳しい姿勢を強めているが、高齢化社会の共通的問題として欧米主要国やEU加盟国でも保険や企業年金のあり方について大きな問題となっている。  例えば、ドイツの連邦経済技術省(BMWi)の10月27日付ニュースでは「保険仲介業者(わが国で言えば「仲立人」に関するEU指令( Insurance Mediation Directive;2002/92/EC) 」に準拠した国内法案について議会で読会に入っている旨リリースしている (筆者注2) 。実は、2006年4月に欧州委員会は同指令の国内法令化が遅れた6カ国を列挙した。その中の1カ国がドイツであった。  これに関し、ドイツにおける保険契約法の約100年ぶりの全面改正や保険監督法の改正について金融監督機関である BaFin(Bundesanstalt für Finanzdienstleistungsaufsicht; ドイツ連邦金融監督庁)や改正の背景となった2005年7月の連邦憲法裁判所判決等につき別途詳しく説明する予定であるが、今回はまず金融クイズの正解・解説を紹介する。同サイトの解説は極めて簡単なものであり、下記の解説は筆者が金融実務的な観点から補足した内容である。 【設問1】正解は②である。広告文中の比較レート(comparison rate)は他の住宅ローンとの比較ではなく、ローンの表面金利(loan interest rate)に加え申込手数料(loan establishment fee)や取扱い手数料(ongoing fee)を加えたもので、実質ローン金利の比較が可能となる...